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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
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7-141 死んだ社畜は対策を考える 4


「なら、再生させるためにどんどん攻撃した方がいいということか?」

「ええ、そうですね。ですが、きついのであれば、強制はしませんが……」


 ウォーさんの言葉に肯定しつつも、俺はそう告げる。

 彼は先ほどまでドラゴンの攻撃を受け流すように動いていた。

 それは最初の真正面から受け止めることはそう何度もできることではないということを表しているのだろう。

 だからこそ、そう告げたのだが……


「なめるなよ、グレイン君」

「え?」


 だが、ウォーさんから返ってきたのは予想外の言葉だった。

 思わず呆けた声を出してしまう。

 そんな俺にウォーさんはさらに言葉を続ける。


「この場では俺たちが一番のベテランだろう。それなのに、新人たちより働かないでどうする」

「いや、そういうつもりじゃ……」

「俺たちにだって、先輩としてのプライドがあるんだ。それをないがしろにするようなことは言わないでくれ」

「……わかりました」


 彼の言わんとしていることは理解できた。

 たしかに、俺の言っていることは彼の冒険者の先輩としてのプライドを傷つけてしまったのかもしれない。

 これは俺が反省するべき点だろう。

 だが、それでも俺にも言いたいことはある。


「ですが、相手が相手です。ドラゴンを相手に最初のような行動を中々とれないのも事実でしょう?」

「たしかにそうだな」

「最初の攻撃が一番ダメージを通していたと思います。ですが、あんな危険と隣り合わせの攻撃は今後使うのは厳しいと思います」

「たしかにグレイン君の言う通りだ。だが、俺たちがあんな攻撃しかできないと思っているのか?」

「え?」


 ウォーさんの言葉に俺は再び驚かされる。

 あれ以外に攻撃方法があるのだろうか?

 いや、あるのだろうけど、ドラゴンを相手にすることができるほどなのだろうか?


「これでもかなり経験を積んできているんだ。攻撃があれだけだと思うなよ」

「いや、流石にそんなことは思っていませんが……ドラゴンを相手に効果があるんですか?」

「わからん」

「わからないんですかっ!?」


 ウォーさんの言葉に俺は驚愕の表情を浮かべる。

 ものすごく期待したのに、肩透かしを食らった気分である。

 だが、そんな俺の反応にウォーさんが真剣な表情で答える。


「俺たちだって、ドラゴンと戦うのは初めてだからな。俺たちの攻撃がドラゴンに通用するかどうかなんて使ってみるまではわからないんだよ」

「……たしかにそうですね」


 これは俺の考えが悪かった。

 ドラゴンと戦うことなんてあまり──どころか、ほとんどないに等しいのに、ドラゴンに効果のある攻撃を知っているはずがない。

 万が一知っていたとしても、ドラゴンにも種類があるため、その種類を一致させないとほとんど意味がなくなるのだ。


「まあ、俺たちに任せてくれ」

「わかりました。ですが、あまり危険なことはしないでくださいね」

「ああ、わかってるよ」

「とりあえず、どんなことをするんですか?」


 俺は彼らの今後の行動を聞いておくことにする。

 流石にパーティー単位でまったく違う行動をとるわけにもいかないからな。


「俺たちはドラゴンの攻撃手段を減らそうと思っている」

「攻撃手段、ですか?」


 予想外の内容だった。

 てっきり機動力を潰そうとしているのだと思っていたが……

 普通に考えれば、このドラゴンの一番の強みはあの巨躯だ。

 それが動いているので俺たちに危険があるので、それを防ぐために機動力を潰すのが先決だと俺は考えていた。

 しかし、ウォーさんたちは違うようだ。


「俺たちはあの尾をどうにかする」

「尾、ですか?」

「ああ。あの尾はドラゴンが動くたびに鞭のように動いている。しかも、柱のように太いから攻撃範囲もかなり広い。あれをどうにかしとくべきだろう」

「たしかにそうですね」


 ウォーさんの言葉に俺は頷く。

 彼の言っていることはもっともである。

 俺はドラゴンの動きを封じるために機動力を潰そうとしたが、彼は仲間に攻撃が来る回数を減らすために攻撃手段を減らそうとしたのだ。

 これは考え方の違いのせいだろう。

 どちらが正しい、とかそういう話ではない。


「それにグレイン君の話を聞いて、希望が見えてきたからな」

「俺の話で、ですか?」

「ドラゴンは再生をするたびに体力が減っているのだろう? だったら、俺たちが尾を斬っていけば、それだけドラゴンの体力が削れていくわけだ」

「なるほど、そういうことですか。ですが、あれはあくまで俺の予想ですよ?」

「それぐらいわかっているさ。だが、グレイン君の言っていることはもっともだと思ったから、俺たちはそれを信じて行動しようと思ったのさ」

「わかりました。では、それでよろしくお願いします」

「おう」


 ウォーさんが信じてくれているので、俺も彼を信頼することにする。

 一緒に戦っているのだから、仲間を信頼しないといけないだろう。

 彼らには彼らのできることをやってもらおう。

 俺たちには俺たちのできることがあるのだから……






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