恋は盲目なのである 1
「ロリコンや あぁロリコンや ロリコンや」
リリィ、嘆きの一句。
シェイクスピアは言う、「ほどほどに愛しなさい。長続きする恋はそういう恋だよ」と。
ジョルジョ・クールとリーヌは言う、「もはや愛してくれない人を愛するのは辛いことだ。 けれども、自分から愛していない人に愛されるほうがもっと不愉快だ」と。
スタンダールは言う、「愛情には一つの法則しかない。それは愛する人を幸福にすることだ」と。
オードリー・ヘップバーンは言う、「美しい唇である為には、美しい言葉を使いなさい。美しい瞳である為には、他人の美点を探しなさい」と。
この言葉通りに、一切与える事など出来なかった。この言葉通りに、一切守る事など出来なかった。この言葉に、一切頷けなかった。
愛はほどほどに? いや、死ぬほど愛してる。
愛してくれない人を愛するのは辛い事? 自分が相手していない人に愛されるのが不愉快? いや、そんな事ない。いや、僕は辛くないし、第一彼女は僕の事大好きなはずだから。不愉快なわけない。
愛する人を幸福に? ...僕は彼女を幸福になんて出来なかった。ただ、陰で見つめていただけだった。
美しい言葉を使え? 僕は、彼女が間接的に関わると、そんな言葉を使えなくなる。他人の美点を探せ? 僕は彼女の美点しか見つけられない。
ねぇリン、ごめんね。ちゃんと幸福に出来なくて。リン...
**
僕の名前は紀将院 奏斗。
僕は、彼女が小学五年生の時から、彼女を見つめていた。街で見かけた彼女に、一目惚れをしたんだ。
無邪気で可愛くて優しい彼女は、僕を一瞬で虜にした。名前も学校も家柄も調べた。
彼女の名前は、蛇名リン。新稲小学校の五年生で、家柄はよく金持ちのお嬢様らしい。
ちなみに僕の家は財閥で、父は現在、日本一大きいと言われる会社の社長だ。
僕は彼女を見つけて高校を辞め、彼女の全てを知ろうとした(僕は次男だから、別に何も言われなかった)。だが、陰で見ているだけで、中々話しかけられない。写真を撮って部屋の壁にあまりなく飾ったり、布団や抱き枕などに印刷したりしか出来なかった。
「ねぇ蔭山、好きな人が居るんだけど...何時も陰から見てるだけで...どうやって気持ちを伝えれば良いか分からないんだ。蔭山は知ってる? 方法」
「はい、存じ上げますよ」
僕は、専属執事の蔭山に相談してみた。すると、品行方正な彼は笑顔で答える。
「まずは、話しかけてみる事ですね。それか...手紙なんてどうでしょう?」
「話しかける...手紙...」
彼女と話をしたいという願望を叶えるべく、彼のアドバイス通り、僕は彼女に話しかけてみた。
下校途中のランドセルの彼女。既にこの時には、僕が彼女を愛し始めて一年の時がすぎていた。つまり、彼女はもう六年生というわけだ。
童顔はあまり卒業していなかったが、何処か大人の雰囲気があった。
「あ、あの...!」
「え...?」
突然目の前に現れた僕に、彼女は驚いて唖然とした顔をした。キョトンとした彼女も可愛い。
「えっと...新稲駅が何処か、教えて、くれないですか?」
「私、新稲駅知らないです。じゃ!」
「あ...待って...」
彼女は走って行ってしまった。きっと、照れてるんだろう。だって、この街の人間が新稲駅を知らないはずないからねーー。
そして手紙。最初は、彼女への愛を綴った手紙を毎日一枚ずつ送ったが、返事がなかったので、箱に大量に手紙を入れて送った。これなら、もう彼女も無視出来ないはず。
すると、彼女は警察に行った。調べてみると、ストーカーの被害届らしい。大量の手紙やつけられるという。可哀想に。そんなストーカーは、僕が退治しないとね。
六年の二学期に入っても、僕等の関係に変わりはなかった。
ただ、僕の彼女に対する愛が募り募ったという事だけだ。
そろそろ、強引な手に出ようと思う。これ以上このすれ違いのような関係を繰り返していると、僕が保たないからね。
「ねぇ蔭山...好きな子を監禁したいんだけどさ...どうやれば良いと思う?」
「...奏斗様、私は貴方様が何時それを言うのか、楽しみに待っていましたよ?」
蔭山は、僕にカップにお茶を注ぎながらニヤリと笑う。
「多少乱暴な手を使っても構わないでしょうか」
「ちょっと待って...何で楽しみにしてたの?」
「何でって...奏斗様は強引ですし、それにこんなに執着してたら嫌でも予感出来ますよ」
僕の部屋には床以外、彼女の写真が隙間なく埋め込まれていた。でも、こんなもの普通じゃないのかな。
「じゃあ、蔭山お願い。下校途中でも登校途中でも構わない。彼女を僕の前に連れて来て」
「かしこまりました。奏斗様」
僕の心は高揚としていた。やっと、面と向かって彼女と話せる。思い切り愛でる事が出来る。
**
気がつくと僕は、地下室に居た。目の前には、気絶する可愛らしい彼女。あぁ、やっと触れる事が出来るーー。僕の手はスルスルと、鎖で繋がれる彼女を包み込んだ。
彼女は温かかった。僕は彼女の温もりを感じ続けていた。
永久にこのままでいたい。彼女の瞳には、僕しか映らないようにしたい。彼女の体には、僕しか触れられないようにしたい。
永久に愛でたい。永久に一緒にいたい。
「ん...んん...っ!」
しばらく彼女を抱きしめていると、彼女はゆっくりと目を覚ました。そして、僕を見て驚きの声を上げる。
「だ、誰! っ...鎖?!」
彼女は僕や鎖から逃れようと足掻いた。ハハ、恥ずかしがってるんだろうな。可愛い。
「リン...ずっと話したかった...」
「誰!! 離して!」
「何で? ...そっか、照れてるんならそう言ってよもう」
僕は愛しの彼女に息を優しく吹きかけると、両手から解放した。顔を赤くしてるかと思いきや、涙目になって震えている。
こんな彼女には、食べてしまいたい欲をかき立てられるが、今は我慢だ。
「ずっとこうやって触れたかったよ。リン」
今思う。私の作品、変態多い。




