クラスメイトの憂鬱 3
「蛇名さん...どんな魔法が使えるの?」
「え?」
俺には、少なからず人のステータスが見れる。通常のよりも、少しだけ上級のスキル「覗き見」という何とも不甲斐ないスキルなんだが、相手のステータスが少しだけ多く見れるようになる。
蛇名さんのも当然見てみた。すると、「ユニークスキル」というものがあったのは見えたが、全ては表示されなかった。兵士の人達によると、「ユニークスキル」は一億人に一人の割合なほど珍しいものらしい。
蛇名さんがそれを隠している原因は、さっきの会話の中にあるだろう。「戦いたくない」ーーまぁ、戦いたくても王子が許さないだろうな。
「『ユニークスキル』、あるんだろう?」
「あ、そっか。君には人のステータスを見るスキルがあったんだっけね」
「...蛇名さん、何か口調変わってない?」
「私はこっちが素なんだけどね。基本的に、普通の口調にしてるだけ。でも、そこまで変わらないと思うよ? 君呼ばわりだとかそういうのぐらいだし...」
「いや、蛇名さんのイメージ的には大きな変化です」
「君等の中で私ってどうなってんの...」
蛇名さんに実際に聞いてみると、俺等の抱いていたイメージとは少なからず違った。話がズレた、とりあえず本題に戻ろうと思う。
「それで、『ユニークスキル』だけど...」
「あぁ、私のそれは『魔法作成』、魔法を創るスキル」
「ちょ、ちょっと見せて!」
「良いよ」
蛇名さんはイスから立ち上がると、深呼吸をして俺に聞いた。
「どんな魔法が良い? 勿論、この世界に存在しないものね」
「じゃあ...曲流して。そうだな...『Twilight』の『ピックアップユー』で」
「分かった。『ユニークスキル発動 魔法作成 異空間移動』!」
蛇名さんは床に手をついた。すると、そこから何か波動のようなものが三回流れた。途端、床に水たまりが出来たかのように歪んだ。途端、俺の目の裏に何かが横切った感覚がした。多分気の所為だろう。
蛇名さんはその水たまりに手をツッコんだ。俺は驚いた。腕が水たまりの中にキチンと収まっている。蛇名さんは何かを探しているようだった。
「あーあったあった」
彼女は急に笑顔になると、腕を水たまりの中から出した。手には、CDプレイヤーのようなものが握られている?!
何であっちの世界のものがこっちにあるんだよ!!
完全に腕が水たまりから離れると、床は元に戻った。
「ふー、探すの大変だったな」
「...」
「どうした? あ、ちょっと待って。今つけるから」
笑顔でそう言うと、CDプレイヤーを弄り始めた。よくよく見ると、「放送室」と書いてある。しばらくすると、音楽が流れ始めた。。
『大好きなんだ大好きなんだ そうやって君が笑うのがさ この世界の中で 一番輝いているんだろうーー
「良い曲だよね。『Twilight』は私も好きなグループなんだ」
「ちなみに、さっきの魔法はなんですか」
「ん、あれ? 『異空間移動魔法』ね。これで、学校の放送室からこれを借りて来た。無許可だから心痛い」
「...蛇名さん力があれば、この戦争だってすぐに終わらせられるのに」
「言ったでしょ? 私は戦いたくない。利用されるのもまっぴらごめんだから。どうしても『サイトリール』を平和にしたいのなら、君が魔王を倒すんだよ」
蛇名さんは俺を指差してニコッと笑った。俺も笑い返して頷いた。
「うん、それが正しいぞ少年よ。だが、一度責任を背負ったのだから、終わるまでその荷物を降ろす事は決して許されないんだよ?」
「分かってる」
その翌日、蛇名さんは消えた。




