帰宅と出発
薄汚れた看板にはこう書いてあった。
「この先 主都 アルティエ」
やっと着いた、とセネルは思った。田舎から何日も歩きっぱなしで、今にも倒れそうなぐら疲れていた。
後ろを振り返ると、行商人が近づいてきていた。中年のおじさんだ。すれ違う時、セネルはぺこりとおじぎしたが、おじさんの方は逃げるように速足で行ってしまった。
そりゃそうだろう。今のセネルの格好は「かっこつけた汚らしい不良」だ。つまりかっこ悪い。ぶかぶかのシャツに腰パン、おまけに乱れ放題の長髪。都会に来るのは初めてじゃないが、本人は服装をちっとも気にしてない。まあ旅をしてきたわけだし、仕方ないとは言える。
ついでに、背中のばかでっかい斧がセネルを危ない野郎だと強調している。一応武器だが、どっちみち凶器だ。
そんなセネルの旅もやっと終わった。アルティエはもう目の前だ。
1年ぶりの…15歳まで過ごした……第二の故郷………アルティエ。
…あまり何も変わってなかった。相変わらず、建物と人は多いがのんびりとした雰囲気のある不思議な都会。
道の幅がやけに広いのは馬車が通るためだ。そして歩道には市場のように様々な出店が並んでいる。あと早朝なので、鳥の鳴き声が聞こえてくる。
耳を澄ましながら、セネルは町の中心から離れるように歩き続けた。派手な極彩色の屋根の繁華街を通り過ぎ、閑静な住宅街を抜け、目指すは空地の多い町の東側。
そこ、正確に言うと、そんな東側のはずれにある王立武道道場がセネルの目的地だ。




