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ある王国の陥落  作者: みやぴー
第一章

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1/10

村人の見た陥落


 俺たちの暮らしが悪いのは、国王のせいだ。

 村のみんなも、そう言っている。なぜかって?


 奴らは、俺が汗水たらして(くわ)を握っている最中、豪華絢爛(ごうかけんらん)な宮殿で、贅沢三昧しているらしい。

 去年から今年にかけては、雨が少ない。雪の日だって少なかった。

 みんな薄々感じていたが、水不足は現実のものになった。


 そういう時の蓄えだ。この村にはそういう時のために、みんなで食料を溜め込んでいる倉庫がある。

 今年がダメでも来年がある。まあ、なんとかなるだろう。

 そう思っていた。


 なのに、ここにきて重税だ。

 豊作の年ならまだしも、このタイミングで上げるなんて、意味がわからない。

 法外な割合を乗せられてはたまらない。


 しかも、今年は村から3人も徴兵に出さないといけないときた。重い、重すぎる負担だ。

 そんな話、去年までなかっただろうに。

 農民にとっては、一人労働力たる人間が取られるってのは、死活問題なんだ。

 残酷なようだが、子供が取られるのとはわけがちがう。

 

 もう、倉庫の中身も空になりつつある。

 それは、税のせいだけじゃない。不安は人間を誤らせる。つまり、盗難だ。

 

 平和だったこの村に、不穏な空気が立ち込めている。

 誰か、溜め込んでいるやつがいるらしい。

 みんな苦しんでいるのはわかっているから、俺は犯人探しは好きじゃねえ。だが、みんなの目が血走っている。

 すぐに大捜索が始まった。仕方ないから、俺もそれに参加した。


 そうこうしていたらなんと、俺の家から倉庫にあるはずの食料が三袋も見つかった。

 身に覚えがねえ。こいつは、()められた。すぐにわかったね。

 しかし誰も信じちゃくれねえ。

 その場で処刑されなかっただけマシだ。


 おかげで村八分だ。

 徴兵に息子三人が全部取られた。それで、なんとか許された。

 ひどい話だ。

 俺の見立てじゃ、徴兵に息子を取られる予定だった副村長の仕業だと思っている。

 それか、息子が一人しかいねえ、奥の家の親父だ。

 が、やっぱり誰も信じちゃくれねえ。証拠もねえ。


 俺は女房には先立たれてるから、これで一人になっちまった。

 誰かを恨むなら、誰を恨めばいいんだ。

 わかんねえ、きっと国王のせいだ。

 いっそのこと、死んじまえばいいのに。


 釈放されて、息子たちのために帰ってくる家を守っておくかしばらく悩んだが、もうここにいたって仕方ねえ。

 あいつらも、帰って来づらいしな。俺を恨んでいるに違いねえ。


 もうどうしようもなくなって、わずかばかりの食料を持って、都に向かうことに決めた。

 都に行けばきっと、仕事の一つくらいあるだろう。


 俺は、途中で死ぬだろうか。死ぬなら、どうやって死ぬのが一番マシだろうか。いや、希望を捨てちゃいけねえ。生きてりゃきっといいこともある。


 そんなことを考えながら旅をしていたが、意外にも無事に街に辿り着いた。


 みんな、掲示板っぽい壁に群がっている。

 俺は文字が読めねえから、そこにいた若えのに読んでもらったんだ。

 そしたら、こんなことが書かれていた。

 

「勇者、悪逆非道の限りを尽くすエルディア王国国王に、正義の鉄槌(てっつい)を下す」


 俺は思わず、ざまあみやがれって、そう言っちまったんだ。

 そうでも言わねえと、やってられなかった。




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