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幕明け
始まりの鐘が鳴る。
幕が明ける。
「まただ。」
そう呟いた言葉は、誰にも届かず、ただ闇夜に溶けていく。
「次こそは、絶対に」
幾度となく繰り返したその言葉を今回もまた口にする。
「救ってね。」
1人でに呟くその少女のことを、私は絶対に忘れてはいけない。
***
「賑やかだな」
少女は、誰もいない壇上を瞬きもせずに見つめていた。
周囲には大勢の人がいる。それらは、年老いたお爺さんから、10歳にも満たない子供。ましてや、人ですら無いナニカ。そんな混沌とした場所に少女も居た。
少女も含め、この場に集まった彼らは皆、この学園に入学する事を望んでいる。
そう、ここは学園なのである。
その時、カツンカツンとヒールの音を鳴らしながら壇上に上がる女性がいた。その女性は、腰まで伸びた癖のない美しい黒髪を、結ぶでもなく、ただ背中へと流していた。
「そろそろかな。」
「皆様、静粛に。」
凛とした美しい声が、ここら一体に響き渡る。
瞬間騒々しかった人々は、全員前を向き、この瞬間を待ち侘びたとばかりに息を呑んだ。
「これより、入学試験を始めます。」
驚いた者、泣きそうな者、怒っている者、喜んでいる者、反応は様々だ。一方少女は、……いや、人ではないナニカの心は恐ろしいほど凪いでいた。




