63 子供たちの贈り物
ローゼさんが目を細めて、「とっても素敵よ。ありがとう」とアランの頭を撫でる。
次に、ミレットが私の前にやってきて、小さな手で花冠を差し出す。
「エストねーちゃん、これあげる! 私、頑張って編んだんだから!」
その真剣な顔と一生懸命作った花冠を見たら、胸がぎゅっと締め付けられる。
「ミレット、ありがとう⋯⋯本当に嬉しいよ」
受け取ると、ミレットがパッと笑って抱きついてくる。
子供たちが次々と花冠を渡し、みんなに感謝の言葉を伝える。
「レオクスさん、新しいお家ありがとう!」
「ウィルにーちゃん、案内してくれてありがとう」
「アンリエットさん、ずっと一緒にいてね」
「グランハルトさん、かっこいいよ!」
ミハイルさんが頬をかき、「初めて会った俺にも!? ありがとう、すごく嬉しいよ」と野生味入り混じる麗しい姿で、茶色の髪をなびかせながら丁寧に一礼をすると、その姿に女の子たちの顔が真っ赤になる。
あれをやられたら、私もやばいかもと、ミハイルさんの魅力を再確認させられた。
レオさんが花冠を手に、「君たちの笑顔が一番の宝物だよ」と穏やかな眼差しで見つめる。
ウィル君が花冠をかぶり、「いつでも気軽に呼んでね」と優しく微笑むと、子供たちがキャッキャとはしゃぐ姿が愛らしい。
アンリエットさんは涙ぐみながら、「みんな、ありがとう。私も頑張るからね」と花冠を胸に抱く。
グランハルトさんは無言で受け取るけど、目を少し潤ませた姿に、彼なりの優しさが伝わる。
「ねえ、みんなで庭に出てみない?」
私の提案に、子供たちが「うん!」と元気に返事する。
ローゼさんが私の手を握り、「エストさん、行きましょう」と微笑む。
美しく手入れされた庭には、色とりどりの花が咲き乱れ、芝生に陽光が降り注ぎ、子供たちが自由に走り回る。
アランが手を振るから近づくと、花を頭にぽんっと乗せられる。
「え、ちょっとアラン!」と声を弾ませて抗議すると、ミレットが「私もやる!」と襟元に花を引っ掛けてくる。
「もう、二人ともやんちゃすぎ!」
ミハイルさんがそんな私たちを見て、「こんな光景が国中に広がれば、どんなにいいでしょう」と呟いた。
ウィル君はお花畑の王子さまにされ、女の子たちに囲まれてお姫さま抱っこに応じている。
アンリエットさんが、花壇の花を摘む子供たちに少しあたふたしている。
レオさんが優しく、「ここはもう、あなたたちの家ですから」と話すと、彼女は緊張が解けたように顔をほころばせ、「私も混ざってきますね」と駆け出していく。
グランハルトさんは木陰で静かに見つめている。
目が合うと、「一緒にどうですか?」と声をかけた。
「いや、俺はここでいい」とぶっきらぼうに返すけど、花冠をかぶった姿に不器用の思いやりを感じる。
ミレットが新しい花冠を持って駆け寄り、私の頭に乗せてくれる。
「ありがとう! これ、大切にするね」
ミレットが照れながら隣に座り、小さな手で私の手を握る。
ローゼさんが「私にも作ってくれる?」と聞くと、ミレットが「うん、ローゼねーちゃんのも作るよ!」と張り切る。
私も「ローゼさんには、特別可愛いのをプレゼントしたい」と立ち上がる。
ミレットと花を選びながら編む。
「エストねーちゃん、上手だね!」
「ミレットだって上手だよ。ローゼさん、喜んでくれるかな?」
「うん、絶対喜ぶよ!」
完成した花冠をローゼさんに渡すと、「二人の心が込められていて、宝物のように愛おしいです」と目を細める。
その優しい声に、「ローゼさんに似合うように頑張りました!」と童心に返って答えた。
ローゼさんが花冠をかぶり、「まるで、エストさんとミレットのファッションショーに出た気分です」と楽しげに声を弾ませるから、「ローゼさんは最高のモデルですから!」とテンションが上がった。
夕陽が庭をオレンジ色に染める頃、子供たちは芝生に寝転がって笑い合う。
アランとミレットの賑やかな声が響き、幸せな空気が広がる。
アンリエットさんは子供たちと寝転がり、「こんな幸せな日が来るなんて」と目を潤ませる。
グランハルトさんが「悪くないな」と柔らかく笑う。
ーーこの花冠って、あの子たちが前の廃教会で過ごした日々を想いながら、私たちへの感謝を込めて作ったものなんだ⋯⋯。
胸が熱くなり、涙がこぼれそうになるけど、アランの「エストねーちゃん、もっと遊ぼうぜ!」とミレットの「ねえちゃん、大好き!」に、泣くより笑いたくなる。
「私もみんなのこと大好きだよ! ここから幸せを作っていこうね」
そう叫んだら、子供たちが「エストねーちゃん!」と駆け寄ってきて、その勢いで芝生に倒れ込んだ。
「ローゼさんも一緒に倒れちゃえば良かったのに」と冗談を言うと、穏やかに目を細めて、「エストさんがいてくれるから、こんな素敵な日になったんだと思いますよ」と手を差し伸べてくれた。
「じゃあ、これからも一緒に幸せを集めていきましょう」とその手を取ると、「それでは、約束ですよ」と柔らかく返してくれる。
「これからもずっと一緒にいてくださいね」
「あら、エストさん。告白なら殿方になさってくださいね」
「もう、ローゼさんったら!」
ローゼさんと見つめ合って笑ったその瞬間が、私にとって、かけがえのない時間だった。




