5話「決意ある者はどんな奴だってたくましい」
先ほどの男を斬ったことで私たちは各自周りにいた者に対して攻撃を与える。しかしそんな中でアポロニアだけはその場で泣き崩れていた。有川さんは翼の中でそんな彼女のことを守った。
「いきなり殺すのはまずかったかな?」
「あら、最低男さんにもそんな人のような感情ってあるのね。でも悪くなかったと思います。あのぅ、先ほどから汚い息で空気吸わないでもらいます?空気が汚れますわ」とユキさんは敵を倒しながら私に対しての後に敵に対して言う。
「そうすっよ。兄貴。アポロニアのあの涙は喜びの涙です」とどう見ても折りたたみの傘をボタンを押して傘を閉じたり開いたりしている敵を驚かせているテンマが言う。
そんな驚いてたじろぐ奴らを私たちが攻撃する。しかしここには遠くから攻撃する者もいた。
「ブリザード」
氷の竜巻が私たちを襲う。離れた壁際にアポロニアと似たような本を持っている男や女がいた。
「ん?やべぇ、凍る……」
私はそう言って有川さんを見るが、彼女はアポロニアを守ってるままだった。
「そっちが竜巻ならこっちは雲よ」
ユキさんは得意な雲を出す。しかしその雲は私たちの上に止まる。そしてその雲は雷を私たちにぶつけた。
「うおっ、痺れるぞぅ」とテンマは言う。
「おい、ダメイド。何してくれんだよ?」
「てへぺろー」と舌を出して片目を一瞬閉じてウィンクしながらユキさんは言う。彼女自身も食らってるから何も言う気も起こらない。
「ゴーストハンマー」
唯一、自由自在に動ける幽霊の花咲さんは氷の竜巻から離れてどこから持ってきたのかは分からないが、大きなハンマーをブリザードを打ってきた相手たちに叩きつけた。ブリザードは止まった。
それにしても目が疲れる。先ほどからあらゆるところでシステムメッセージが攻撃した記録などを私に教えてくる。そんな中で私は攻撃しないといけない。
「マジカルアロー」
その声が後から鳴り響く。
敵に向かって真上から無数の弓矢が飛ぶ。私たちには降りかからない。真上には白い魔方陣が大きくあった。その魔法の使用者が私たちに声をかける。
「決めました。私、誰であろうとも倒します」
アポロニアだった。私が振り返って見たアポロニアの顔は一人の王様としてたくましくかっこよかった。
私たちは残りの敵を倒して行き、目の前に見える大きな扉の前に立ち尽くす。その門は黒光りをしていた。
「みんな、心の準備はいいか?恐らくこの先にこの城の最後の敵がいる」
「兄貴、おれぁ、もう兄貴と共に旅をする時から心の準備は出来てますっすよ。なぁ?」とテンマは周りの女の子たちに声をかける。有川さんや花咲さん、ユキさんは首を縦に頷いた。
「アポロニアは?」
「大丈夫……たぶん」
アポロニアのその声は若干女の子が大人に甘えた時に言う声に似ていた。まさかな……。
「安心しろ。何があっても俺が助けてやる。もし俺でもダメならテンマを筆頭に彼女たちがいる。だから安心しろ」
「……うん」
私はアポロニアの頭に軽く手を乗せてなでてやる。
そして私はその扉をテンマや真上を飛ぶ花咲さんと共に押して開ける。
その扉に触れると何か苦しい思いになった。その扉の先の姿がついに私たちの目に映ったのだった。




