6話「真実だろうが何も関係ねえ、アポロニアはアポロニアだ」
私たちが扉を開けるとそこには一人の女性がいた。
「お母さん」
アポロニアは彼女に向かってそう叫ぶ。
「あんた、誰?あぁ、寝ているところを馬車から捨てたアポロニアか。やっぱり私は今でも思うよ、あんたなんて生むべきじゃなかったって」
私はそれを聞いた途端、胸の奥から何かが沸き上がってきそうだった。悲しみ?哀れ?いいや、違う。これは怒りだ。
「お久しぶりですね、マルコニア女王陛下……。いや、元女王陛下」
「貴様はテンマか。何をのこのこと帰ってきた?」
「私の元故郷だからな」
「どの口が言うか?私の夫を殺したくせに」
「元正義の騎士団長である私にとってはいいことをしたと思ったのにな。だってあんたが彼を禁断の黒魔術に染めたのでございましょう?」
「なぜそう言い切れる?」
「だって正義だから。あんた、魔王と不倫してんだろ?そんな情報どうして知っているかって俺の騎士団をほぼ全滅させて聞き出したんだよ。まっ、そいつはこっちに帰ってくるまでに死んだけどな。ちなみにこれらのことをすべて話したのは今ここにいる者だけだけだがな。まっ、まさかあの時に黒魔術が働いていたアポロニアの父親を殺した時にアポロニアがいたのは驚きだったけどな」
「だってその子。私と魔王の子ですから」
そう言って彼女はにっこりとほほ笑む。アポロニアは衝撃を受けてその場に座り込んだ。私はアポロニアの頭を軽く撫でて言う。
「真実だろうが何も関係ねぇ、アポロニアはアポロニアだ!!」
私は長い剣”国境”を持って剣を振るう。しかし彼女は見くびることも無く魔法を使用する。
「ブロークンソード」
私の剣が敵持つところと鉄のところを境に折れてしまった。
「ムーンプロージョン」
上に眩しい光がすると思ったら爆発したようだ。私たちは何とか有川さんの翼で防がれる。
「スカイドラゴン」
空からドラゴンが突撃してくる。
「そうはさせないわ。天候変化の雲」
ドラゴンの体に雲が集まる。
「第一変形……落命の頂き」
雲に包まれたドラゴンは眩しい光とともに消滅する。まるでその光は落雷のいかづちに似ていた。
「魔法と幽霊は似た者よ、ゴーストマジック」
花咲さんは何体かの自分を作った。
「ゴーストプロージョン」
花咲さんの声とともに偽の彼女たちは爆発する。しかしアポロニアの母親の結界で免れてしまう。
「ったく。この玉でもくらえ」
ぬるぬるの玉を彼はゴムにかけて打った。気が付かなかったのだろう、彼女の母親の足元に当たる。
「お母さん、ごめんなさい……」
アポロニアはそう言って全速力で彼女の前に走った。
「私は自分の道を歩みます」
「がんば……って……」
アポロニアの双剣が彼女の首筋を刻む。それと同時に黒い霧がもわっと現れて上に上がっていく。その黒い霧がドクロマークに見えた。そのままアポロニアの母親は倒れ伏せた。それと同時に黒から白へと城の中が変わって行く。扉は黄金だった。今いる私たちを映しているかのようだった。




