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(2-1) 父親 修造・・

冬になると、信行は毎週上越方面のスキー場に滑りに行った。ある時、毎回立ち寄る肉屋のコロッケ売り場に寄ると、店のおばさんが、女性から手紙を預かり、その手紙を信行に渡した。手紙を書いたのは、石打駅で数回すれ違った女性だった。手紙の内容は、スキーを教えて欲しいと・・・そしてスキー場で待ちわせをする。その事がきっかけになり、2人は恋に落ちていった。ある時久美子は「私、農家の長女なの・・・」

深刻な表情で言った。

第2章 2-1  


「渋滞がひどいな~・・・」


関越自動車道を走行していた信行はため息をついた・・・

本庄児玉から渋滞が始まり、交通情報ラジオからは、所沢まで渋滞だと報じていた。

渋滞の原因は、帰省ラッシュだった。信行は毎年の事だと諦めていたが、気になるのは、久美子と交わした約束だった。


「家に到着したら電話を下さいね」

「夜中になる可能性があるから、明日電話する」

「電話をかけてお願い・・・」

「家に着くのは夜中だよ・・」

「いいの待ってるわ。無事着いたのか心配だから・・」


信行は久美子の思いやりが、いじらしかった。やっと、渋滞が緩和して、練馬に着いた。


横浜までまだ時間がかかると考えた信行は・・


「久美子が連絡を待っているから途中で連絡をしよう・・」


時間を確認すると、夜中の1時を過ぎていた。豊玉陸橋を過ぎたところの公衆電話から久美子に電話をした。

(注、当時は携帯電話がまだ普及していなかった)


「ツルル~~!ガシャン」

「信行さん?」


すぐに受話器に出た。


「電話、遅くなってゴメンね」

「家に着いたの?」

「あと少しで着くよ・・」


まだ横浜まで時間がかかるが、信行は、久美子を安心させるために嘘をついた。


「そう安心したわ・・・」

信行が


「電話の側にいてくれたのだね?」

「そうよ・・電話の側で信行さんに手紙を書いていたの・・・」

信行が


「なにを書いたの?」

「届いてからのお楽しみね」


久美子の明るい声が返って来た。

信行が手紙が届くのをを楽しみにしている。と云うと、お返事くださいねと言った。久美子のいじらしい言葉に、抱きしめてあげたい衝動にかられたが、信行の側には久美子はいなかった。


信行から電話があり、安心した久美子は、書きかけの便箋を片付けていると・・・


「久美子、こんな夜中に何をしているのだ?」


久美子が後ろを振り向くと、久美子の父、修造が立っていた。

「お父さん・・友達からの電話を待っていたの・・もう寝るわ・・」


「ああ・・お休み」


久美子を包み込むように優しく言った。



続く

(注、この物語は、フェクションであり、名前等の名称は、作者の創作により書かれています。万が一、実在したり、現存したりした場合、ご連絡頂ければ、速やかに対処いたします。尚、地名等は、リアル性を持たせる為に実在の駅名、土地名を使用していますのでご了承ください)


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