表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/28

(3) 待ち合わせ

長いトンネルを抜けると景色が森林に変った・・・・

信行は、薄いピンク色の封筒をバックから取り出したが、開封するか迷っていた。


その理由は、自分宛てではなく、間違いの可能性もあるからだった。いつまでも悩んでいてもしかたがないので、意を決して開封することにした。封を切った。


中の手紙を取り出し、目を通した。手紙の内容は・・・・・



「突然お手紙を差し上げる失礼をお許し下さい。先週、新潟行列車の中から手を振りました者です。覚えていらしゃるでしょうか?

本当は直接お渡しすればよいのですが、もし受け取ってもらえなかった事を考えると、直接お渡しする勇気がでませんでした。この手紙を差し上げた用件なのですが、スキーを教えて頂けませんでしょうか?誠に身勝手なお願いですが、よいお返事をお待ちしています。・・・・西郷久美子」

  


手紙を読み、信行は驚くと同時に嬉しく思った。家に戻るとその日のうちに返事を書いた。


「拝啓、西郷久美子さま お手紙本当にありがとうございました。思いがけないお誘いに心躍る思いです。もちろん、ぜひ一緒に滑りましょう。今週末の日曜日に石打スキー場に行きますので、都合が宜しければ、第一ゲレンデ前の丸山食堂で9時頃お待ちしております・・・田中信行」


翌日の朝一番に投函した。


 待ち合わせ当日、信行が丸山食堂の中に入ると、ストーブの前に女性が座っていた。女性は、信行に気が付くと、慌てて立ち上がり、信行に向かって頭を下げた。

信行が・・・


「西郷さんですか?」

「はい、今日は無理なお願いをして申し訳ないです。ご迷惑でしたか?」


恐縮した表情で言った。


「いえ・・・手紙を頂いて嬉しかったです。早速滑りに行きましょうか。着替えをしますので・・・」


信行は少し慌てて奥の部屋に入り、着替えをした。久美子はすでにスキーウエアだった。

 二人はリフトに乗った。信行は久美子に


「手紙に書かれていた住所は、長岡市でしたが長岡は、新潟市の方ですか?」

「そうですけど、長岡は、新潟市の手前です」


信行は、有名な浦佐スキー場が在る近くですか?と聞くと、浦佐と新潟市の中間ぐらいかしら・・・と答えた。


「ぢゃ~ぁ、スキーがお上手なのでは?」


その問いかけに久美子は、都会の方は、雪国に住んでいる人が全て、スキーが上手だと思っているみたいですが、スキーをしない人の方が多数ですし、私みたいに下手なスキーヤーの方が多いのです。その証拠を今お見せします。と笑った。


 リフトを降り、先に信行が滑り、それに続いて久美子が滑った。信行が滑りながら後ろを振り向くと、久美子が言った通り、初級者より少し上手なくらいの足前だった。

下で待つ信行の横で止まった久美子は・・・


「ねっ!言った通り下手でしょ」

無邪気に笑った。信行は、無邪気に笑う久美子を見て、心がざわついた。


続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ