第25話 平和だと思った四秒間
【緊急速報】若返ったら、“昔の持ち物”までついてきた!?
― 望月茜、初登校前にまさかの“青春の遺産”を大量発掘!! ―
家に。
帰ってきた。
つむぎ。
てちてち。
ソファへ。
お気に入り。
いつもの場所。
でも。
ぴたっ。
止まる。
ソファ。
見る。
廊下。
見る。
また。
ソファ。
見る。
『……』
『もっと。』
『幸せになる方法。』
『ある。』
にやっ。
赤ちゃんとは。
思えない。
笑顔。
その頃。
望月と。
中瀬。
キッチン。
何か。
話している。
内容は。
よく。
聞こえない。
つむぎ。
その隙に。
てちてち。
書斎へ。
椅子。
よじ登る。
よいしょ。
机へ。
さらに。
引き出し。
手を伸ばす。
ぶらーん。
少しずつ。
少しずつ。
引っ張る。
あと少し。
あと少し――
するっ。
「あ。」
ぽすっ。
椅子へ。
落ちた。
「……」
一秒。
考える。
もう一回。
挑戦。
今度は。
成功。
引き出し。
開いた。
中には。
並んでいた。
中瀬の。
高級ペン。
学校で使う。
お気に入り。
とても。
大事にしている。
つむぎ。
一本。
ひょいっ。
ソファへ。
戻る。
そして。
かぷっ。
幸せそうに。
かじり始めた。
もちろん。
誰も。
気付いていなかった。
その頃。
キッチン。
中瀬。
ぽつり。
「……」
「元に。」
「戻ったのかも」
しれませんね。」
望月。
「戻るわけ!」
「ないでしょ!!」
勢いよく。
否定。
でも。
その途中で。
ちらっ。
リビングを見る。
ソファ。
小さな足。
一本だけ。
見える。
『いる。』
安心。
「……」
「二週間の赤ちゃんには。」
「見えないもん。」
中瀬。
「……」
静か。
二人。
考える。
どうして。
赤ちゃんに。
なったのか。
どうして。
突然。
変わったのか。
分からない。
分からないこと。
だらけ。
その時。
望月。
ぱあっ。
「そうだ!!」
中瀬。
「?」
「私たち!」
「最初から!」
始めよう!!」
「……」
「普通。」
最初から』
始めますよ。」
望月。
聞いてない。
「マニュアル!」
「作ろう!!」
中瀬。
「……」
「つむぎちゃんの!」
「全部を!」
「書いていくの!!」
「分かったこと!」
「気付いたこと!」
「全部!!」
「そうすれば!」
「助け方も!」
「分かるし!!」
一拍。
望月。
中瀬へ。
顔。
近づける。
ひそひそ。
「……それに。」
「国からのお金も。」
「もらえるかも。」
中瀬。
「……」
「お金が。」
目的ですか?」
望月。
ぶんぶん。
首。
振る。
「違う!」
「全然!」
「違う!」
「でも!」
「せっかくだから!」
「もらえるなら!」
「もらおうかなって!」
にこっ。
ものすごく。
無邪気な顔。
全然。
無邪気じゃなかった。
中瀬。
「……」
目。
こする。
少しだけ。
疲れた顔。
静か。
数秒。
「……」
「望月さん。」
「あなた。」
「オカルトじゃなくて。」
「演劇をやるべきでしたね。」
少し。
間。
もう一度。
望月を見る。
「……」
「やっぱり。」
「今のは。」
「忘れてください。」
望月。
きらっ。
「ふふん。」
「やっぱり?」
「この才能。」
「世間に知られたら。」
「大変だもんね♪」
中瀬。
「はい。」
即答。
「そのまま。」
「知られない方が。」
「平和です。」
望月。
「……」
ぴくっ。
ぴくぴくっ。
「中瀬ぇぇぇ!!」
がたっ!!
椅子。
ひょいっ。
ぶんっ!!
中瀬。
「危なっ!」
どさっ。
椅子。
直撃。
そのまま。
床。
ごろん。
望月。
「バカ!」
「意地悪!」
「ひねくれ者!」
中瀬。
椅子。
頭に。
乗ったまま。
「……」
『何で。』
『こうなったんだろう。』
その頃。
リビング。
つむぎ。
壁。
ぺたっ。
よじ登る。
危ない。
とても。
危ない。
目線の先。
棚。
その上。
テレビのリモコン。
あと少し。
あと少しだった。
しばらくして。
中瀬。
ふと。
気付く。
「……」
高級ペン。
ない。
学校で使う。
お気に入り。
全部。
消えた。
残っているのは。
生徒が。
置いていった。
古いペン。
返してもらおうとも。
思っていない。
そんなペン。
一本。
手に取る。
「……」
「これで。」
いいか。」
机。
古いノート。
一冊。
どん。
望月と。
向かい合って。
座る。
ペン。
何本か。
並べる。
静か。
望月。
ノートを見つめる。
『……』
『どうして。』
『こんな古いノートを?』
『まさか……』
『中瀬くんの!!』
『学生時代の日記!?』
目。
きらきら。
その頃。
中瀬。
『祖父さん。』
『ノート。』
『借りますね。』
『怒らないでください。』
心の中で。
手を合わせた。
望月。
「中瀬くん。」
「なんで。」
「七本も。」
「ペンがあるの?」
中瀬。
「一本くらい。」
「書けるかなって。」
「どれか。」
「分からないので。」
望月。
「なるほど。」
『きゃぁぁぁ!!』
『中瀬くんの!』
『学生時代の日記に!』
『私が書いてるぅぅぅ!!』
全然。
違った。
望月。
一本。
ペン。
かちっ。
試す。
かけない。
もう一本。
かちっ。
かけない。
もう一本。
「……」
「これも。」
だめ。」
中瀬。
静かに。
見ている。
望月。
最後の一本。
かちっ。
するする。
書けた。
「あっ!」
「これ!」
「書ける!」
中瀬。
「それですね。」
望月。
嬉しそう。
ノート。
ぐるぐる。
線。
描く。
文字。
書く。
ただ。
書けることが。
嬉しい。
中瀬。
その様子を。
見ながら。
思う。
『……』
『本当に。』
『つむぎちゃんのこと。』
『ちゃんと。』
『知りたいんだな。』
少しだけ。
笑う。
望月。
全然。
気付かない。
『字まで。』
『きれい……』
『ペンの持ち方も。』
『なんか。』
『ずるい。』
見惚れる。
……。
はっ。
『だめ!!』
『こんなのでも!』
『負けたくない!!』
謎の。
対抗心。
燃え始めた。
その頃。
中瀬。
『よし。』
『せっかく作るなら。』
『ちゃんとしたものにしよう。』
静かに。
決意していた。
中瀬。
ノート。
自分の前へ。
すっ。
引き寄せる。
ペン。
持つ。
望月。
「あっ。」
「え?」
ノート。
ひょいっ。
取られた。
中瀬。
椅子。
引く。
がたっ。
座る。
さらさら。
書き始める。
望月。
「……」
見つめる。
手。
ペン。
字。
全部。
きれい。
『……』
『すごい。』
『落ち着いてる。』
『字まで。』
『こんなに』
『きれいなんだ……』
少しだけ。
見惚れる。
でも。
すぐ。
ぶんぶん。
首を振る。
『だめ!!』
『こんなのでも!』
『負けないんだから!!』
中瀬。
何も。
知らない。
ただ。
思う。
『望月さんが。』
『ここまで』
『本気なら。』
『ちゃんと。』
『作ろう。』
一ページ目。
タイトル。
書く。
『つむぎ』
『観察メモ』
その下。
番号。
一。
「髪の色」
二。
「年齢と」
「変化の周期」
横に。
小さく。
『なぜ?』
三。
「親友」
「正体は?」
四。
「能力」
「できること」
書き終える。
中瀬。
望月を見る。
「……」
「まずは。」
「この四つから。」
「どうでしょう。」
望月。
ノートを見る。
一秒。
二秒。
三秒。
「……」
ぱあぁぁぁっ。
顔。
一気に。
明るくなる。
「すごい!!」
「中瀬くん!!」
「すごすぎる!!」
「ありがとう!!」
その瞬間。
ぎゅぅぅぅっ!!
中瀬の首。
抱きつく。
勢い。
すごい。
ぎゅーーっ。
ぴょん。
ぴょん。
飛び跳ねる。
嬉しくて。
止まらない。
中瀬。
「……」
目。
ぱちっ。
ぱちっ。
固まる。
完全に。
停止。
『……』
『え。』
『近い。』
『近い。』
『近い。』
声も。
出ない。
体も。
動かない。
望月。
全然。
気付かない。
ノートを見る。
中瀬の字を見る。
嬉しくて。
また。
ぴょんっ。
ぎゅっ。
中瀬。
『……』
『息。』
『できない。』
でも。
言えない。
その頃。
リビング。
つむぎ。
高級ペン。
かぷっ。
かぷっ。
幸せそう。
『平和。』
そう思った。
――。
その平和は。
あと四秒しか。
続かなかった。
読んでいただき、本当にありがとうございます~!!♡♡
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Pixivではキャラクターデザインやイラストも投稿しています!
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また次回もよろしくお願いします~!!♡♡




