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襲撃⑥

 一方ジョシュア達とは別行動となりパーティー会場に到着したカストロ達は凄惨たる現場を前に、皆言葉を失い立ち尽くしていた。


「……なんなんだこれは……」


 暫く立ち尽くしていたカストロが重い口を開いた。


「……! こ、これは……うぅ……」


 女性隊員は口を押さえながら物陰まで走り、嘔吐してしまう。


 技術開発局付けで試作品の評価が主な任務であり最前線に立つ事は確かに少ない。

 とはいえまがいなりもに戦場を駆け抜けてきたカストロ中隊の隊員達が言葉を失い、あまつさえ嘔吐までしてしまう様な惨状がそこには広がっていた。


 そんな折、怪しい人影を追ったジョシュア達から連絡が入る。


「こちらジョシュアです。拐われた女性は救出しましたが、残念ながら敵には逃げられました」


「そうか。だがここを襲った奴ら相手に無事なら上出来かもな。こっちの惨状は、まさに地獄だ」


「地獄……ですか?」


 ややため息をつきながら億劫そうに語るカストロに対してジョシュアが尋ねた。


「ああ……地獄だ。この会場にどれぐらいの人がいたのか? 誰がいたのか? 確認するだけで相当な忍耐力と時間が必要だろうな……なんせ《《どれが誰のパーツかわからないんだからな》》」


 そう言ってカストロは首を振り深いため息をついた。


「……それってどういう意味ですか?」


「言葉のままだ。とりあえずこっちはもういいからお前達は一旦戻って待機だ。俺達もじきに戻る」


 ジョシュアの質問に短い言葉で返したカストロだったがその表情は困惑と恐怖に満ちていた。


『このまま終わる訳じゃないだろう。これは宣戦布告。始まりだ』


 そう思い、カストロは息を飲んだ。


――

 ジョシュアが基地に戻ると数時間前に出撃したはずの魔法兵団が帰還して来た所だった。

 

 ジョシュアがその様子を呆然と見ていると前から赤い軍服に身を包み、一際美しいブロンドの髪をなびかせて小柄な女性が歩いて来る。

 セシルだ。


「何こんな所で呆けてるのよ。それとも無事初陣から帰還した私を出迎えてくれたのかな?」


 人差し指でツンっとジョシュアの肩の辺りをつついて僅かに口角を上げてセシルが語りかけた。


「いや、随分お早いお帰りだな。まさかもう片付けて来たのか?」


「ふん。私達はセントラルボーデン随一の戦力を誇る魔法兵団よ。当然じゃない」


 セシルが胸を張り鼻を鳴らすと、ジョシュアは驚愕の表情を見せた。


「ははは……まぁそう言いたいんだけど、残念ながらそう上手くは行かないのよね。実は私達が到着した頃には敵の姿は見当たらなかったのよ。ジュランテルにいた人の話によるとテロリスト達は私達が到着するちょっと前に急に撤収したらしいのよ」


 そう言ってセシルは苦笑いを浮かべながら首を振る。

 セシルはジョシュアの方を向き更に続けた。


「それでこっちはこっちで大変だったって聞いたけど?」


「ああ、その事だが被害はかなりのもんだったようだ。俺は現場には行かず犯人らしき奴らを追ったんだが相手は人狼だったよ。しかもアナベルの名前も出てきたしな」


 そう言ってジョシュアはセシルに今回の件を説明してみせた。

 ガルフとシャルザークという人狼二人と対峙した事。セシルが教えてくれた風の魔法が実戦で役立った事。そしてガルフが言っていた『面倒な奴らが帰ってくる前に』というセリフ。


「人狼ねぇ……それにしてもタイミング的に面倒な奴らって私達魔法兵団の事じゃない?……ジュランテル襲った奴らも、そのガルフって奴らも引き際が絶妙過ぎるわよ……どう考えても内通者がいる可能性高いんじゃない?」


「マジかよ……」


 そう言ってジョシュアは天を仰ぐ。

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