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玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~  作者: やみよのからす
第3章 ダーコラ国国境紛争
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第3章第017話 それでも開戦ですか?

第3章第017話 それでも開戦ですか?


・Side:ツキシマ・レイコ


 なんだかんだありましたが、まだ昼前です。

 軍使の人が戻ってきましたけど。今度は赤い鎧の人はいませんね。


 …なんと開戦決定だそうです。時間はお昼丁度に。…この世界の戦争は、ともかく手順を重んじるんですね。その割には、下流の街を奇襲で襲おうなんてしてましたけど。

 しかし、レイコ・バスターを見てまだ続けようとするとは。まぁもちろん私は、あれを人に向けて撃つ気はさらさら無いのですが。


 「…おそらくはレイコ殿にダーコラ国兵士の虐殺をさせて、敗戦の責任を全部レイコ殿に被せた上で、道義的な優位を得ようとかそういう魂胆なんだろうな。主にあの赤い鎧の奴が」


 カステラード殿下が解説してくれました。

 敗戦の責任って、私はネイルコード国側にいるんですけど。


 私にやる気があるかどうかは別にしても、ダーコラ国側からすれば私と戦えば負けは確実。だけど戦う前に逃げたら自分の立場が無いし、中途半端に負けても責任問題となる。なら、兵士達が全滅するほどの大敗をすれば、自分のせいではないという証明になるし。今後の交渉でも、こちらの非道を攻めることが出来る…とか考えているんだろうあの類いの馬鹿は…と、カステラード殿下がぼやきます。


 攻めてきたのに、負けたら負かした相手が悪いと非難するんですか? どんなマッチポンプですか?

 カステラード殿下の馬鹿の心理を見抜く能力が、なにげに凄いです。

 …それでもまぁ、実はこの展開も想定の範囲です。次の手筈と行きますか。


 まずは、レッドさんをカタパルトして、上空から哨戒です。相手が開戦を決定したともなれば、敵軍の動向を確認しておいてもらう必要があります。

 数分で戻ってきたレッドさんから、情報を軍の人たちに伝えます。特に兵力の移動は無いそうです。…レイコ・バスターに対策するのなら、散開くらいはするのでは?と思いました。本当にむこうの指揮陣は兵士達を見殺しにするつもりのようですね。

 あと、馬車を含む一隊が、三角州の反対側の輜重部隊から離れたところに待機していると…。誰か逃げるつもりのようですが、誰でしょうか?


 この辺の情報をカステラード殿下の参謀の人に伝えておきます。。


 「カステラード殿下、では行ってきてもよろしいでしょうか?」


 「…済まないな。こんなに深入りさせるつもりは無かったのだが」


 「…お気遣いありがとうございます。まぁ、降りかかる火の粉はなるべく振り払うだけです」




 さて。まずは、対岸に渡りましょう。

 砂利で滑りやすい川辺ですが。距離で速度を稼いで、とやっ!…と、対岸に並んでいる兵士達の前に飛びます。ざざざーとスライドしつつ、上手く着地できました。

 逆に、ダーコラ国の兵士達はざざざーっと私から距離を取ります。槍を構えている人もいますね。あのデモンストレーションが効いているようですが。


 「あのーっ?。ダーコラ国軍の本陣に行きたいんですけど。だれか案内してくれませんか?」


 一番近くの兵に声をかけます。びくんっ!とびっくりする兵士さん。そこまでびびらなくても…と思いますが。


 レッドさんの偵察で本陣のだいたいの場所は把握していますが。この兵士達の中を無双しながら突破するのはいがかかと思ってまして。平穏に案内して貰えるのなら、それに越して事はありません。

 と思ってたら、背後から兵の一人が忍び寄って、私を羽交い締めにしました。


 「ひゃっはーっ!巫女様を確保したぜ! オレ様が一番手柄だ!」


 女の子にベタベタと。気持ち悪いですね。…まぁ、後ろから来ているのは分ってわざと捕まったのですが。

 後ろから羽交い締めにしている兵士の腕を掴み。そのままバキンと。


 「ぎゃーっ!腕が!」


 思わず私を放り出して、悶絶しています。


 「…これが回答ということで、よろしいのでしょうか?」


 と。指の間にバリバリと放電させてすごみます。電撃とレイコ・バスターに関係はないのですが。これから撃つぞ?という脅しにはなるでしょう。

 にしても。さきほどのレイコ・バスターの舞は、皆見ていると思うんですけど。それで手を出してくるとは、この兵士は良い度胸というか、頭が悪いというか。


 「い、いや。申し訳なかった、今のは此奴の独断だ!。私がここの部隊の隊長だ。本陣へ御案内する!」


 ちょっと装備の良い兵士が前に出てきて言いました。ゴルゲットも大きめですね。ダーコラ国もゴルゲットが身分証になるようです。


 把握している本陣は、陣列の後方。ここから数百メートルくらいです。

 隊長さんが先頭になって、他の兵士が周囲を囲んでます。…まぁ、私を警護していると言うよりは、他の兵を私から警護しているつもりかもしれませんが。


 「あれが巫女様と小竜様か…」


 「小さいドラゴンっても、実物はもっとでかいかと思ってた。巫女様もまだ子供じゃ無いか」


 こそこそ噂している兵士の方に、ニコッとして手を振ってみます。

 おっ。びっくりしながらも手を振り返してくれました。…まぁ、兵士個人単位で言えば、悪い人ばかりではないのでしょう。なるだけ無事に済ませてあげたいものです。



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