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■95 勉強会②

明日も投稿予定。

 ノースに連れられ私達はとっても広いお屋敷の中を歩き回った。

 汚れ一つない白い壁。

 それからしっかりと磨かれた廊下。

 扉の木の木目も何だか高価そうに見える。本当にノースって何なんだろ。


「ねえノース。ノースの家ってもしかしてだけどお金持ちだよね?」

「ん?まあな。前に話さなかったか」

「覚えてないよそんなの」


 私はノースにそう話しかけるとノースはチラッと首を後ろに向け、少しだけ教えてくれた。


「私の家は資産家だ。元は医者。今でも医療関係には手厚く、私立の病院を経営している。特許資格も多く持っていることから収入も多い。現に私の姉も医者として成功を収めている」

「お姉さんいるんだ。じゃあノースもお医者さんになるの?」

「興味ない」

「そっか。興味ないんだ」


 私は清々しくノースと話していた。

 何処となく家系の縛りみたいなものがあるのかもしれないけど私はそんなの気にしない。それにノースならそんなしょうもない家柄とか自分から食い潰してしまいそうだもん。

 現にノースはなーんにも迷っていないみたいだし、自分から率先しているみたいだ。


「ねえねえノースー」

「なんだ」

「ノースの部屋って何処なのー!」

「私の部屋?なんの用だ」


 千夏ちゃんはノースに部屋の場所を尋ねている。

 しかしノースは警戒しているのか目を細める。流石に自分のプライベート空間には入れたくないのかも。


「別にー。ノースの部屋ってどんなのかなーって」

「あっ、私も気になる!」

「確かに少々拝見したくはございますね」


 大河ちゃんも刀香ちゃんも千夏ちゃんの話に乗っかった。

 私も確かに気になると首をブンブン縦に振る。


「そんなに面白くはないぞ」

「別にいいよー。自分の部屋って自分で思うよりそんなに面白くないものでしょー」

「確かにそうだよね!」


 私もその意見には賛成だ。

 そもそも人の個性が現れる空間を自分が作り出しているのに、それを自分が見ても面白いとは思わない。すっごく当たり前のことだけどここ重要だ。


「まあいいだろう。付いてこい」


 ノースはそう言いながら方向転換。

 急に廊下の分かれ道を曲がり、自分の部屋へと一直線だ。


「本当に行っていいんだ」


 私は驚いていた。

 まさかノースが自分から言いなんて言うと思わなかった。

 まあ今日の勉強会も私がノースに頼んで仕方なくノースが自分の家の書斎を使わせてくれることになったのだ。そのうえでナースが率先しているとなるとこれはもう“楽しんでいる”以外の答えが見つからない。


「ここだ」

「ここ?」


 ノースが案内してくれたのは普通の角部屋だった。

 しかも入口からそこそこ遠い。

 ノースは自分の部屋の扉を開けた。すると中は真っ暗で、何も見えなかった。


「暗いね」

「今電気をつける」


 カチッ!

 ノースが自室の電気を点けた。

 すると現れたのは三台のモニターとそれを繋ぐ一台のPCの姿だった。


「ここは?」

「私のPC管理室だ。そこのベッドはVRドライブを使う時。それと偶に寝る」

「じゃあ普段は違うの?」

「ああ隣だ。見るか」

「見る!」


 私は威勢よく答えた。

 すると隣の部屋に行き扉を開ける。こっちも電気は切ってあって、ノースはすかさず電気を点けた。


「「「「おー」」」」

「驚くな」


 ノースの部屋は何て言おう。

 可愛かった。

 隣のPCルームがシンプルなのに対してこっちの部屋は過ごしやすいとかは別として、可愛らしく“お嬢様”って感じだった。多分ノースの趣味じゃないし、本人も苦手なようで顔を顰めている。


「ノース、この部屋気に入ってる?」

「わかってて聞くな」

「だよね。ノースの趣味じゃないよね」


 ノースは苦い顔をしている。

 ムニュと眉を寄せた。


「言えばいいんじゃないのメイドさんに」

「言ったが聞いてもらえない。そもそもコレをやったのはメイド達だ」

「えっ!?」

「私が丸一日かけて戻しても次の日には戻っている。本当、そんなことに気合を入れないでもらいたいところだ」


 何だろ。

 ノースの服装を見る限りでもわかるが、多分自分の意思でならもっとラフな格好になるはずだ。

 ナースは仲のいいこの前だと本音になる。今回私達が来ることは多分言っていたはずだから、つまりこの格好はメイドさん達が用意したものになる。

 着せ替え人形。まさにそんな感じだ。

 まあノースは基本的に自分で何でもやってしまうから少しでも自分達を頼って欲しいとの事なんだろうけどね。


「頼って欲しいんじゃないの?」

「メイド達がか?」

「うん!」


 私は本当のことを言った。

 しかしノースは首を横に振る。


「頼ってばかりもいられない。出来ることは自分でやる」

「でも頼られるよね」

「それは私のできる範疇だ。それに私はメイド達を頼りきっている。毎日の食事、部屋の掃除なんかはな」

「それはお仕事だからでしょ」

「だからと言って自分のできることを自分体放棄するのは人間としての価値観に触れる。それだけだ」


 ノースの言いたいこともわかる。

 だけどメイドさん達はノースにもっと頼って欲しいんだと改めて理解した。

 そしてそれは皆んな察してしまった。

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