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■70 今度はタイガーを勧誘します

少し更新が遅れてるけど、ごめんね。

 私達を助けてくれたタイガーと名乗る少女はとても強かった。


「タイガーどうしてそんなに強いの?」

「はあっ?強いとか知らねえし。俺、そう言うの興味ねぇから」


 タイガーは素っ気なく突き返す。


「興味ないの?」

「ああ。そんなもの、なんの役にも立たねぇからな」

「役に立たないの?」

「ああ。殴って勝つだけが強さなんて俺は認めねぇ」

「そう言うことね。私も同感だよ」

「はあっ!?」


 タイガーは素っ頓狂な声を上げる。


「勝ち負けって重要かもしれないけど、私は楽しかったらいいとは思うよ。まあ、できれば勝ちたいし勝たないといけない場面だったら尚更だけど、勝つことだけに真実を見出そうとするなんてつまらないよね!」

「あ、ああそうだな」


 笑顔で答える私。

 その目は澄んでいた。

 それに対しスノーは私に耳打ちする。


「マナ、今のはなんの小説の言葉だ。驚いたぞ」

「えっ?普通に私が思ったことだけど」

「なっ!?……お前は時々凄い発言をするな」

「えっ、そうかな?もしかして名言的なやつ!」

「自分からそれを打診したら終わりだ、馬鹿が」

「馬鹿って酷くない!私、こう見えてこの間の中間試験の結果は丁度半分よりもほんのちょっぴり上だったよ!平均的ちょい超え!」

「自慢になるか!普通だそんなもの!」

「えー」


 私は落ち込んでみせた。

 しかしそんな光景を目の当たりにしたタイガーはクスッと笑ったようだった。タイガーは私の真後ろにいたので表情までは確認していないけど、声はしっかりと聞き取れたのだ。


「笑ったね、タイガー」

「あっ、ご、ごめんなさい……じゃなかった。悪いな」


 あれ?

 一瞬だけど、タイガーの表情が曇った。

 目を丸くした後に瞬時に切り替えたみたいに見えた。


「タイガー?」

「なんでもねぇよ。とにかくだ。俺はもう行くぜ」

「どこに?」

「はぁ?なんでそんなことまで教えねぇと行けねぇんだ」

「別に教えてとは言ってないよ」

「屁理屈だな」

「だね。でも、こんななんにもないところに来るなんて普通はしないよ。なにかあるからここに来たんでしょ?」

「ギクッ!」


 ギクッって言った。

 自分で言った。

 まさか自分で言う人がいるなんて思わなかったけど、如何やら予想は的中のようだった。


「その目的に邪魔だったから、ついでに私達を助けてくれてんだよね?」

「チッ。仕方ねぇな。教えてやるよ……これ以上関わるとボロが出そうになるからな」

「えっ?ボロって?」

「聞こえてんのかよ!」

「うん。ねぇねぇ、ねんで?」

「うるせえな!しつこいぞ」

「うん。しつこいよ」


 私は開き直った。

 スノーの時もそうだったけど、ここぞと言う場面では押し通すことも大事だと学んだ。

 だからこのまま突き進む。ウザがられるのも視野の内だ。


「はぁー、面倒なやつ。まあいいや。付いてこいよ」

「うん!」


 私はタイガーの後ろをついていった。

 そんな私の周りではちなっちが耳打ちする。


「出たねマナの純粋で優しいとこ」

「ああ。アレは一度火をつけると面倒だからな。勝手に消化されるのを待つしかない」

「上手いこと言うね!でもそれがマナでしょ」

「確かに。普通の癖に普通じゃない。お節介で考えて行動しているつもりが、いつもストレートすぎる」

「でもでも場の中心だよねー」

「ですね」


 そんな会話を続けていたが、当然私には聞こえていないのでした。



「ここだ」

「ここ?」


 私達はタイガーの後ろをついて行った。

 するとそこは森の中。

 さっき草原から見えていた森だ。


「ねえタイガー。なんでこんな森にいるの?」

「見てわからねぇか?」

「えっ?」


 私は前を向き直る。

 そこには二本の木が横並びになっていた。

 どちらとも同じくらいの高さで、周りには他に気はない。少し離れたところに、この場所を隠すように生えている。


「えーっと」

「はぁ。しゃあねぇな、よっと!」


 タイガーはインベントリから何かを取り出す。

 それは細かく編み込まれたネットとロープ。


「それは?」

「ハンモック。ほいっと!」


 タイガーは手早くハンモックを引っ掛けた。

 それでなにをするのかと思いきや……


「よっと」


 タイガーはハンモックに寝っ転がった。

 えっ?これはなんですか?なにこのまったりムード。


「こう言うことで。俺はたまにここで寝っ転がって、空を見上げながらぼけーっとしてるんだ。考え事をしたい時や一人で居たい時は尚更ここに来てな」

「それだけ?」

「それだけた。そのために邪魔な奴は駆除した。あいにくと、この辺りにはモンスターが寄り付かないようにアイテムを使ってたからな。それにこのエリアもあの草原と同じでなーんにも成果なんてねぇ。だから俺一人の憩いの場ってわけだ」

「へぇー」

「なっ。わかったんならさっさと帰れよ」


 タイガーはスッと手っ取り早く話を済ませようとした。

 しかし私はそこで余計な一言を挟む人である。


「でももう一人しか知らないわけじゃないよね」

「はあっ?」

「だって私達皆んな付いて来ちゃったし」

「あっ」


 タイガーは今更のように呆気ない声を上げた。


「あわわわわ、どどど、どうしよう……せっかく一人になれる場所見つけたのに……」

「それよりもタイガー。本性でてるよ」

「え、え、え、えっ!?」

「やっぱり。タイガーって、そう言う子だったんだね」

「なっ!?わ、私は……じゃなくって。俺は!」

「うん。そう言う設定でやってるんだね」

「あわわわわ」


 すっごくボロが出ちゃってる。

 多分と言うかスノーは私よりも早く気づいてたんだらうけどね。まあいっか。可愛いし。


「と、とにかくだ!俺はここで寝る。用がないならさっさと帰れ!」

「あっ、用ならあるよ」

「はあっ?」


 私はスノーに目配せした。

 すると何か察したのかため息を吐きつつ頷いた。


(OKが出た!よーし)


「ねえねえタイガー」

「なんだよ」

「私達のギルドに入らない?」

「はあっ!?」


 私はそんな感じで勧誘するのでした。

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