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ゲームに三国志の武将が封印されていたから解放するために戦ってみる (旧題:三国志~武幽電~)  作者: 伏(龍)
第1章

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20/63

19 差異

(やっぱり同じだ……)


 自分のときと同じように光が弾けた影響で目を閉じながら、玄は騒々しいヘルプの声を想像した。


「あ、かわいい!」


 しかし、最初に聞こえたのは茜の感動する声だった。


「え?」


 ゆっくりと目を開けた玄の視界に入ってきたのは四角い麻雀牌とは似ても似つかないものだった。


「なんで?」

「すっご~い! これが映像? 本当の妖精がここにいるみたい!」


 茜が興奮しながら妖精に触れようとしてすり抜ける自分の手を不思議そうに見ていた。

 そう、そこにいたのは軽薄な麻雀牌ではなく、見目麗しい手のひらサイズの女性型の妖精だった。綺麗な金色の髪で、淡い緑色のチュニックを身に纏い、薄く光る4枚の羽を広げてふわふわと浮いている。


『三国志~武幽伝~の世界へようこそ』

「あ、しゃべった! 玄! しゃべったわよこの子!」

『こんにちわ。このゲームをプレイするにあたり、システムの説明と案内役を勤めさせて頂きます』


 興奮しきりの茜に妖精は礼儀正しく頭を下げる。


『このゲームを始めるにはユーザー登録が必要です。登録を行いますか?』

「いやぁ、前評判を裏切らない凄い性能ね、これ。これじゃ発売前から人気があるのも納得よね」


 自分の肩をばんばんと叩く茜を尻目に、玄は自分のヘルプとの違いに戸惑っていた。


(これじゃあ余りにも違いすぎないか? ソフトごとに固有のキャラが設定されていたとしても不思議はないけど……ちょっと不公平じゃないか?)


 どうせなら、麻雀牌よりは妖精のほうがよかったと玄も思いながら成り行きを見守る。


『登録を行いますか?』

「あ! するするします!」


 回答のない茜に対し、再度尋ねた妖精に向かってあわてて答える。


『承知いたしました。あなたの登録名を決めてください。』

「んっと……玄?」

「ん? 何?」

「せっかくのVSソフトだし、三国志モノなんだから、玄が先にプレイする? ほら、私はプレイを見てるだけでも十分楽しめると思うし」

「なぁに気を使ってんだよ。いくらお前がいいって言ったからって、誰かに遠慮したプレイを俺が喜ぶと思うか?」

「ふむ……確かにそうね。玄はソフトを借りる時だって持ち主がクリアをするか、飽きて挫折したあとでしか借りないものね」

「そうそう、いざやりたいときに手元にないってのはゲーム好きにとっては辛いことだからな」


 そう言って玄は笑う。ゲームに関しての玄は決して持論を曲げないのを知っている茜はそれで納得したらしい。


「でも、ありがとな」

「や、そんな……うん、ま、余計なお世話だったみたいだけどね」


 玄にお礼を言われて、照れくさそうに微笑んだ茜は今度こそ妖精に向かう。


「よし、じゃあやるわよ。登録名か……一応オンラインゲームに近い形態なのよね、VSって。それなら本名ずばりはあんまりよくないわよね」


 ほとんど本名で登録した玄には耳が痛い。


「じゃあ、アキアカネ。秋に茜で秋茜で登録するわ、赤とんぼ好きだし。読み方はシュウセンでもいいけど」

『承知致しました。君主秋茜(アキアカネ)で登録致します。以後登録名は変更できませんがよろしいですか?』


 妖精がマッチ棒の様な輝く杖を取り出し、それを華麗に振りながら虚空に秋茜の文字を描く。


「へぇ、名前変えられないんだ。でもいいわ、登録名は秋茜でOKよ」

『登録します…………登録完了致しました。改めて三国志~武幽伝~の世界にようこそ。君主秋茜殿』


 妖精がぺこりと頭を下げる。登録終了後は少し態度が柔らかくなった感じがある。


『まずこのゲームについて簡単に説明をさせていただきます。《三国志~武幽電~》は限定百本の試作体験版のソフトです』


 この辺のくだりについては玄は2回目だ。


「あ、やっぱり試作体験版なんだ」

『このソフトは極秘に開発中のため守秘義務があります。マスコミ関係やインターネット等不特定多数の方への情報漏洩はご遠慮ください。よろしいですか?』

「えっ? なんだか厳しいのね。このまま続けてもいいのかな?」


 守秘義務なんて言葉を聞いて不安に思った茜が玄に問いかける。


「多分、大丈夫だろ? 別に学校で話しちゃいけないとかそんなこともないみたいだし、わざと世間に広めるような、大掛かりな行動はやめて欲しいってことだと思う」


 もっともらしいことを答えながら、玄は実際にプレイを始めてしまえばあえてそんなことをするような人は多分いないだろうと思っていた。武幽電の内容は人に言っても、とても信じて貰えるような内容ではない。


「そか、それなら深く考える必要もないか。守秘義務了解よ」


 妖精は小さく頷くと更に説明を続ける。


『では、簡単に説明致します。このソフトにはランダムで選ばれた、三国志時代の英雄が一人登録されています』


(え? 登……録?)


 玄の脳裏に疑問符が舞う。ヘルプははっきりと『封印』されていると言っていた。


『試作体験版は限定100本ですので、100人の英雄を全て倒すか、支配下におくこと。もしくは3名までの同盟者で同様の条件を満たせばゲームクリアということになります』

「ふんふん、武将は選べないのか……かなり運の要素が強いゲームね。タイプとしてはシュミレーションゲーム? でも武将一人でスタートなら格闘系かアクション系ってのもあり得るかな」


 茜は玄の影響を受けていることもあって、今ではかなりゲーム関連の知識がある。それでも、このVSソフトは未知のものだ。内心でかなり期待感が高まっているらしい。


『まず、こちらをご覧ください。』


 妖精はステッキを振り、例のステータス画面を投影する。ヘルプの出す黒板とは違い、羊皮紙のような趣のあるステータス画面だ。


『ここに残っている武将数が表示されていて、現在は80名の武将が勝ち残っています。そして、こちらの数字はまだ未登録の武将の数です……あと1名の方が未登録です』

「えと、私がそのうちのひとりだから……あと79、じゃなくて未登録の人も合わせて80人を倒せばクリアってこと?」

『そうです』

「負けちゃったら?」


 当然浮かぶ疑問。これに対する回答を聞いて玄が思わず叫んでしまったものだ。


『申し訳ありませんが、試作体験版なのでそこで終了ということになります。再プレイは想定されていません』

「ちょ! ちょっと待ってよ! じゃあ、いきなり負けちゃったら5分で終わり? このゲームもうできないの!」

(まあ、そうなるよな……)


 玄にとっては既に一度通った道、茜の狼狽する姿を楽しむ余裕すらある。


『はい、ですが君主様たちの不利益にならない様に、プレイ時間数に応じて購入代金をお返しすることになっていますので、GAMEOVER後はソフトをメーカーへお送りください。後日払い戻しの書類が届きます』

「え! まじで!」


 ところが、そんな玄の余裕は一瞬で消えた。ヘルプは返金システムについてはまったく言及せず、ただゴミになるとしか言っていなかった。


「ひゃ! 何よ突然大きな声だして……」


 思わず叫んでしまった玄に、驚いた茜が非難の目を向けてくる。


「わ、わるい……あまりにも意外なシステムだったからさ」

(どういうことだ? うちのヘルプはそんなこと一言もいってなかったぞ。あいつのことだから忘れてんのか? いや、でもあいつはゴミって言い切った。もしかして俺のソフトは……不良品なのか?)


 釈然としないものを感じつつも玄は、あのヘルプなら普通に勘違いとか伝え忘れとかもあり得るため、あとで確認してみることにして取り合えず納得する。


「それは分かるけど、私だって緊張してやってるんだから突然すっとんきょうな声出さないでね、もう!」

「ごめんてば、以後気をつけます」

「なら、よろしい」


 偉そうに頷く茜に苦笑しながら、さらに流れを見守る。


『よろしいですか?』


 律儀に成り行きを見守っていたらしい妖精が事務的に聞いてくる。


「あぁ、はいはい。続けて」

『それでは、これからあなたと共に戦うことになる武将を召還します』


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