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灯台のひと夏  作者: 塔上月扉
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4 灯室・たぷり、たぷり

灯室


 かつて遙か海の彼方までも届くほどに輝いていた灯台の光。

 とっくの昔に灯台のレンズも回転器械なども取り外され、住めるように祖父が改築をした塔の上の灯室内は、ガラスの温室のようだ。

 この場所が、子供の頃はプラネタリウムのように思ええていた。

 夜、灯室に入ると、ガラス越しの四方の窓すべてから星々が見える。まるで宇宙にいるようだと、わくわくして夜に何度も灯室で眠りたいとねだったものだ。

 今夜はひさしぶりに、ここで星を眺めながら眠ってみようか。朝はまぶしいだろうけれど。

 わたしは硬いベッドから寝袋を取り上げ、灯室へと上がっていく。


  ◇ ◇ ◇


たぷり、たぷり


 靴も靴下も脱ぎ、岩陰に座って足先を海につける。

 海水は最初だけ少しひんやりと感じるが、じきにぬるくなる。

 今日の波は穏やかだ。

 たぷり、たぷり、と打ち寄せる。

 波に揺られて足も揺れる。

 目の前に広がる穏やかな波。そして波の音。

 不思議といつまでも眺めていられる。聞いていられる。

 そうだ。こんな風に過ごしながら、のんびりと生きていきたい。望みはただそれだけなのに。



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