一から五
01(251)
過ぎる日々 きっとまったり ツマミ噛み 祭りだ妻と 月ビビるキス
すぎるひび きっとまったり つまみか(み まつりだつまと つきびびるきす)
02
山里に 雪こそ深く 奈利に化尼 罹凪ぐ花布底 消ゆ二都座真夜
やまさとに ゆきこそふかく なりにけ(に りなぐかふそこ きゆにとざまや)
※ 罹凪ぐ花布底/理無く家譜底
なり【奈利】地獄。奈落。
け‐に【化尼】仏・菩薩などが尼の姿になってこの世に現れたもの。
か‐ふ【花布】1 細かい花模様を染織したり、刺繍したりした布。印花布。
2 更紗の異称。
か‐ふ【家譜】その家の系譜。一家の系図。
やまさとに-ゆきこそふかく-なりにけれ-とはてもとしの-くれにけるかな
左京大夫八条山庄障子絵合
寛徳二年十月-天喜二年七月(1045年11月-1054年8月)
作品三十四
03
月影の澄み 渡るかな 天の端の 魔痾名歌留多輪 水の化の狐
つきかけの すみわたるかな あまのは(の まあなかるたわ みずのけのきつ)
あ【痾】[音]ア(呉)(漢) やまい。こじれた病気。「旧痾・宿痾・沈痾」
つきかけの-すみわたるかな-あまのはら-くもふきはらふ-よはのあらしに
内裏歌合 だいりうたあわせ
永承四年十一月九日(1049年12月6日)
作品五
04
名が避ける 桷毒切らし ボナの者 なほ白菊と 見する今朝かな
ながさける ずみどくきらし ぼなのも(の なほしらきくと みするけさかな)
ずみ【桷/棠梨】 バラ科の落葉小高木。こりんご。こなし。
とく【牘】[音]トク(漢) 文字を書き記す木の札。文書。手紙。「簡牘・尺牘」
ボナ【VONA】 《vehicle of new age》自動運転中量軌道交通機関。
むらさきに-うつろひにしを-おくしもの-なほしらきくと-みするけさかな
内裏歌合
永承四年十一月九日(1049年12月6日)
作品十一
05
鉢変えの また咲かなくに 散る花は 流地に苦な臭気 霊の画加持は
はちかえの またさかなくに ちるはな(は るちにくなかざ たまのえかぢは)
かざ【香/香気/臭気】におい。かおり。
回文短歌風
1 形式は短歌とする(57577)。
例
界隈の居酒屋で会い角で待て都会あでやか賽の祝いか
かいわいの いざかやであい かどでま(て とかいあでやか さいのいわいか)
2 ただし、31文字に拘らない。
例
香具師や夜に馬蘇りぬばたまのまたは塗絵か見よ舞う如夜叉
やしやよに うまよみがえり ぬばたまの(またはぬりえか みよまうにょやしゃ)
33文字
3 濁点、半濁点を区別しない(註1)。
例
ははのぱぱ(母のパパ) = ばばのはば(馬場の幅)
4 長音符(音引き)は1文字と数える。
例
ルール(3文字)
5 小文字は1文字と数える。
例
特赦(4文字)
泣く読者 → 香具師口説くな(やしくどくな)
6 特殊文字は文字と見做さない(数えない/無視する)。
例
「!」「?」「・」「/」等
(ただし、「・」を「中黒」と読ませたい場合は除く)。
7
括弧は文字と見做さない(数えない/無視する)。
例
「 」、『 』、【 】等。
8「お」と「を」を区別しない(ただし推奨しない。個人的な判断です)。
例
友を(ともを) = 万年青
9 その他は常識の範囲内で判断する。
例
SOS 「エス・オー・エス」とルビを振る場合は6文字。
10(連句の場合)「捌き」が必要な場合(わたし=流出子→葎音が行います)。
例
ひのきある ともとやすらぐ しきのち(の きしくらすやど もどるあきのひ
檜ある友と安らぐ四季の地の棋士暮らす宿戻る秋の日
1「しき(きし)」が「ばば(はは)」
檜ある友と安らぐ馬庭の地の母暮らす宿戻る秋の日
2「しき(きし)」が「しし(じじ)」
檜ある友と安らぐ志士の地の爺暮らす宿戻る秋の日
註1
1 特殊な用途に用いられるもの( 国語学やアイヌ語学で用いることがある)。
カ゚キ゚ク゚ケ゚コ゚ - 鼻濁音 [ŋa ŋi ŋɯ ŋe ŋo] を表す。
2 過去に一部で用いられたことのあるもの
1 さ゜(サ゚) 江戸言葉の「ツァ」を表す。
2 セ゚ (せ゜)唐音やアイヌ語の「チェ」を表す。
3 ツ゚ト゚ アイヌ語の発音「トゥ」を表す。
4 ラ゚リ゚ル゚レ゚ロ゚ 外来語のラ行音のうち、L音由来のものをR音由来のものから区別するため
に用いられた。
3 漫画などで使用されたもの
1「ヴ」「ア゛」等。
【追加ルール】
11「らーめん」と「らあめん」を区別する。
その場合、以下の例に於いて、
無い皺が怪異なムード漂うよ ダダ ドーム内 如何わしいな
ないしわが かいいなむーど ただよう(よ だだどーむない いかがわしいな)
「ムード」と「ドーム」の「ー」は、それぞれ「う」と「お」の音だが、回文として認める。
何故ならば、例えば、「ば」と「は」は同じ形ではないが(本ルールに於いて)区別しない
からである。
【回文・本歌取り】
以下の例を以て「回文・本歌取り」と定義する。
(元)
いつとなく こころそらなる わかこひや ふしのたかねに かかるしらくも
(本歌取り・下の句から)
いつとなく こころそらなる わかこひ(ご かわるならぞろ ここくなとつい)
何時となく心空なる我が恋児変わるなRazoro故国名とつい
(本歌取り・上の句から)
もくらしる かかにねかたの じふやひ(や ふしのたかねに かかるしらくも)
木工等知る華夏に寝過多の自負や否や富士の高嶺に架かる白雲
〇 内裏歌合/永承四年十一月九日(1049年12月06日)/作品二十八
※「Razoro Tells Thai Kuro (Asahi Bunko) (Japanese) Paperback Bunko – September 1, 2003
by 市川 雷蔵 (著)」より。
も‐く【木工/杢】木を使って建物や器物をつくる人。大工。こだくみ。
か‐か【華夏】《「華」ははなやか、「夏」はさかんの意。中国人が自国を誇っていった語
から》文化の開けた地。都。
※※「我われはラゾロ、死者からよみがえりー」より。通常はラザロ。