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デート?


なあこれデートだよな。いやデートだろ。おめでとうサキさん!! やっとヒロインらしい事してるね!! あのサッカーみたいな登場が嘘みたいだよ!皆! 二人の事応援してね。いいな?






いいな?(脅迫)


 

「じゃあミコトくん、サキさん行ってきますね 」

「はいはーい。授業中寝ないでね」

「しません・・・」



  アスカは小学校を卒業していない。そのため日があいた時にはこうして通信制の小中一貫校に通っている。あと何回か通えば卒業だ。久々の登校にアスカは少しオシャレをして登校バスに乗る。走り出すバス。その中で二人に手を振る彼はあどけなく可愛いらしく見えた。



「さてサキ、準備できた?」

「はい・・・あのー、本当に免許持ってます?」

「あるよん。公務員の特権よ」



 長期休日を使って二人はこの気に街に買い物に行くことになった。サキを連れて行くのは彼女の服を買う為だ。


 ミコトは赤シャツの上に黒基調のアロハシャツ。何故、彼はあまり関わりたくないと思われる格好を好むのだろうか。


 サキは何をどうやったのか、髪の毛が綺麗にまとまったストレートになっている。家では寝ぐせと枝毛だらけだったにも関わらずだ。



 服装は上に鎖骨のラインが見える白ニットにワンポイントに星のネックレス。下は黒のレーススカートで黒タイツ。靴は黒色の太ヒールのパンプス。両耳にはそれほど主張は激しくないが目に留まりやすいピンクのパールのイヤーフック。




 因みに街までの移動手段はミコトのかなり大型のバイクだ。


 真っ黒な電動2輪【ベヒモスWBX2_000】。



 ある人からの誕生日プレゼントに貰ったそうだ。


 ミコトはフルフェイス、サキは半帽のヘルメットを被り、ミコトの後に乗る。サキはポケットに手を入れている。


「おい!」

「? なんですか?」


 少し大きな声を上げられてサキがムッとした表情をミコトに見せる。


「バイクの二人乗りだぞ! 舐めてんのかよ!」


 そう言うとミコトはサキの両手を掴んで自分の腹に巻く。


「しっかり捕まってろよ。落ちても知らねからな」

「・・・は、はい」


 サキが少し顔を赤らめる。その顔をミコトに隠すように下を向きミコトの体にしっかりとしがみついた。


 ミコトはグリップをゆったりと回し、バイクを走らせる。電動であるためか、特に匂いもしないし音もしない。



 街までは片道12分ほどだ。途中、道中の信号待ちの交差点でサキは隣の車線の男達から声をかけられた。



「そこのふくよかなおっぱいのナイスバディな可愛いおねぇさーん!! そんな奴より俺らと遊ぶ方が楽しいーよーーーん♪」


 少々おちゃらけた雰囲気の二人からのナンパだ。





 だがサキは彼らに氷のように冷たい目を向けて、


「すいません。私老けて見えるんですけど14です。女性にナンパするにも節度を持ってくださいね。ロリコンなんて気持ち悪くて吐き気がするので本当にやめてください。




 次私に話しかけたらそのよく動く舌引きちぎって豚の餌にしますよ? 」



と言い放った。サキは確かに14歳にしては可愛いらしい顔だが大人びている雰囲気だ。体付きも中学生位のものでは無い。


 そして、度胸と年上に対する口調も全く歳にそぐわないものだった。男達の顔は凍りつき体はその場で固まった。青信号になりミコトが走り出すも、彼らはしばらく口を開けたまま動けなかった。









 にしても酷すぎる。




 ※※※※※




「ズボン・・・ですか?」


「そりゃそうだろ。パンツ見せながら戦う奴がいるかよ」


「見せませんよ私は。私蹴るとかしないので大丈夫です。見せない自信があるから履いているのです。殴るか切るか撃つ方が好きです。仮に見られた場合はその方は生きてお返しする気はありません。ミンチにして豚の餌にします 」


 ポケットに手を入れてミコトに抗議するサキからは気の強さを感じる。ミコトは頭を抱ながらも話を続ける。


「・・・あーでもさあ、一応ズボンかなんか持っとこうぜ。風が強い日とかどうすんのよ 」


「う・・・確かに 」


「持っとけって 」


 サキの顔が少し暗くなりしおらしくなった。下を向いて・・・


「・・・・・・スカート嫌いなんですか? 」


 と聞く。そして・・・、


「いや・・・どちらかと言うと好きだけどさ。でもやっぱりそろそろ肌寒くなるわけだし・・・やっぱり1つは持っとけって、選ぶの手伝うからさ」


 ミコトはこう返す。サキの頬の筋肉が緩んだ。ミコトに自分の表情が見えないように下を向いたまま彼に意地悪を言ってみた。

 

「私・・・服選ぶの長いですよ。いいんですか?」


 ウソだ。サキは即決即断派だ。服を決めるのは速い。彼の返事は・・・、


「いいよー。後、俺の方が服選ぶの長いからなー。お前の方こそ覚悟しろよ 」

 

 だそうだ。子供のように喜ぶ自分の胸の内がミコトにバレないように無表情の仮面を被ってそのままミコトと服屋をダラダラと歩いた。







 だがしばらく歩いて、サキはふと冷静に返った。なんでわざわざこの男と買い物に出かけているだけで心が躍るのか・・・。


 馬鹿じゃないのか私は・・・そう思うと今までの謎の感情はすっかり隠れて、いつもの表情が冷たいドライな彼女に戻った。



 店の中を3時間ほど歩き回ってようやく気に入る物を見つけた二人は、食品コーナーで軽く買い物を済まして店を出た。かなりの買い物になったが、バイクのトップケースに普通に収まった。


 そのまま二人は店を出た。







 ※※※※



「なんだよお前・・・なんなんだよぉぉ!!」


 あるマンションの1室。風邪で会社を休んでいた真面目な会社員の前に異型の化け物が立っている。


 ハナだ。男に有無を言わさず注射器を指し、その中の自分の血を流し込む。更に1枚の真っ黒なカードを男の額に突き刺した。


「・・・貴方の不満、欲望、衝動・・・解放してみなさい。ファントムは楽しいわよ? 」


 彼の体は膨らみ、その造形は人のシルエットを失っていく。怪物になった彼は、外に飛び出した。


 

 ※※※※



 家路を急ぐミコトとサキ。夕方の二車線の橋の上は帰宅ラッシュでいつもより車が多いが渋滞という程ではない。


 バイクの後に乗ったサキは冷たい風を肌で感じていた。もう少し厚着をしても良かったかもしれない。


 沈みかける太陽を横目で見ながらそう思った。


「何故、バイクなんて持ってるのですか?」

「足が遅いのよ俺・・・。だから持ってるわけ。まあ、ワニとタツノオトシゴじゃ仕方ない気もするけどさ。アスカちゅんの走力が6とすると、サキは4、俺は2だ 」


「うわーかなり遅いですね 」

「だろ? すんげぇコンプレックスなのよ。しかも俺、嗅覚も視力も聴覚も大したことないからな」


 帰り道の道中、二人の会話は戦いの話ばかりだ。最近人間らしさを彼に見せるようになった。が、やはり彼女の【戦いが好き】という感情は本物のようだ。いつもは無口なサキの口が止まらない。








 ふと違和感を感じる。少し先の前方だ。右目だけをファントム体の時の緑の複眼に変えて遠く先を見る。



 ・・・いる・・・いる・・・いる・・・、見つけた!


「ミコトさん・・・テイマーのファントムがいます。何ともご立派に道路の真ん中を疾走なさってますね」


「・・・・・・んーだよもう。あー・・・もうめんどくさい!! 捕まれサキ!今から法定速度は無視だ!」

「そう言うのいいんで早くしてください・・・」

「・・・・・・」


 グリップを一気に回し、スピードを上げる。周りの車を置き去りにし、次々と抜き去っていく。エンジン音と呼べるものは聞こえない。甲高い駆動音が響く。



 二人は遂に疾走するテイマーを視界に入れる。スカイブルー1色のその造形は狼の背にたくましい男の上半身を乗せている。


 ミコトは狼のテイマーの横に並び、説得を試みる。


「ちょいちょい何してんのよ!? 大人しく止まってねー!? 」


 敬語など使わないという(こだわ)りでもあるのだろうか? だがこれに対する狼のテイマーの反応は少し異常なものだった。


「ヴァァァ・・・グワァアァァア」


「は? おい日本語知ってます?」


「ウウウウ・・・







 ヴァァアァァァアァァアァア!!」



 狼のテイマーが更に加速した。前方の車を避けてながらだ。目的の読めない行動と意思の疎通が出来ない彼の性質からミコトは答えを見つけ出した。


「サキ・・・あいつ ※【オーバークロック】だ」


「・・・!? カードでテイマーになったって事ですか!? じゃあ意思を失くしたルーザーが進化してしまったかもしれないってですよね!? 」


「そこまではわかんねぇ・・・。カードで進化した奴は最初はあんな風に暴れ回るんだ。アスカちゅんもそうだった。サキ変身しとけ! やることは1つだ!あいつを仕留める!」

「・・・リョーカイ」


 サキの体から黒い煙が吹き出しファントム体に変わる。ミコトは右の手のひらからブレイガンを召喚しサキに渡す。


「何してるんですか?変身なさって下さいよミコトさん。ふざけないでください」


 ミコトの行動に腹を立てるサキはミコトを罵倒し始めた。


「馬鹿か! 俺は背中からトゲが生えてくるんだよ!! しかも尻尾もだぞ! 変身した瞬間にお前が串刺しになる未来が見えるわ!」


 サキの顔が歪んでいく。目は完全にミコトを蔑んでいる。だが彼女のこの態度は次の場面で一変する。



「見てろよサキ!! 驚き過ぎて腰抜かすなよ!? 」


「え?」


 突如バイクが緑に発光する。タレ目のヘッドライトがつり目に変わり、少し丸みを帯びたシルエットが鋭角気味の鋭いシルエットに変化する。


 全体の色も黒緑シルバーの3色が混ざり合う。



「え、ウソウソウソ!!? なんですかこれ!?かっこいい!! これ私に下さい!!!」


「唐突すぎるわ!! そして先に免許を取れ!! こいつについては後で家でしっかり説明してやるから!! 今は大人しくせい!!(笑)」


 先程とは比べものにならないほどスピードが上がる。一気に狼のテイマーとの距離が詰まっていく。



「ヴえええぅ!!?」


 テイマーが一気にスピードをあげて自分を追走する二人を意識し始めた。背後を気にしている。



 青い光弾の雨でミコト達の妨害を図る。


 ミコトはバイクを巧みに操り紙一重で避けていく。


 テイマーとミコト達が並列するにはそう時間はかからなかった。



「やれ! サキ!!」


 ボウガンとミコトのブレイガンを構え、テイマーの全ての足を撃ち抜く。立つことが出来なくなったテイマーはその場で巨体を転がしながらやがて静止した。転がるそれを追い抜き、アクセルターンで方向転換する。倒れる標的に対しトドメにかかる。


「チェックメイト・・・!」

「ブレイガーン先輩! ギュスターヴよろしく♪」


 サキの片手鎌から赤黒い光。ブレイガンの刃先に稲妻が走る。両手に2つの武器を構えてトドメの一撃。


「サキ! 外すなよ!!」

「ミコトさんはちゃんと運転して下さい・・・」


 テイマーの横を通り抜けるバイク。その軌跡に赤と黒の2線。それは容赦なくテイマーの巨体を引き裂いた。



 ※※※※



 ドロドロに溶けるその体から1人の男が出てきた。清潔感があり、笑顔が眩しい。一目で悪人ではない事が分かる程だった。



「・・・・・・、やった!! 助かったーー!!!」


 怪物だった彼はただ街を疾走していただけだ。誰の命もうばっておらず、彼がした事と言えば少々道路を破壊したぐらいだ。


 サキとミコトは大暴れしていた怪物の正体に戸惑いを隠せないではいた。


「えっと・・・取り敢えず・・・大丈夫?」

「はい!! ありがとうございます!! いやー本当に人生終わったかと思いました! 化け物の時も誰かの命を奪ってしまうんじゃないかとハラハラしてましたよ!! 」


 興奮する彼からはしばらく事の経緯を聞けそうもない。道路の端まで行き警察の到着を待つことにした。



 ミコトは彼を運ぶ最中、男を見るサキの顔が少しクシャッと笑ったのを見た。作り笑いではなく嫌味ない子供の様な笑みだった。





 ※※※※




 いつもの如く警察からの長い聴取で少し帰るのが遅くなった。アスカ少年は少しご立腹のようだ。



「遅いですミコトくん!! 僕お腹すきましたよ」

「あー、めんごめんご!(笑)ちょっと野暮用でさー」


 アスカは顔を膨らませて手をバタバタさせている。余程お腹を好かせていたのか先に晩御飯の支度を済ませていた。


「着替えるの後にして先食べてくださいよー」


「は〜い」


 ※※※※



 ミコト達に助けられた彼は、警察署の留置場で寒い夜を過ごしていた。だが誰の命も奪わなかったし、

 自分の命も助かった為そこまで苦には思っていなかった。彼はファントムになってしまうような弱い人間ではなかった。


 自分より他人の事を考える少しお人好しの誰からも好かれる男性だ。




















 故にこの結果は余りにも理不尽だ。神という存在はいないのか、又は不幸を主食とする極悪外道な輩なのかもしれない。



 無残にも顎から上を粉砕されて命を絶たれている。心優しい彼の最期としては余りにも悲惨だ。



 彼の人生に終止符を撃ったその彼女は頭蓋に手を突っ込み何かを探している。





「どこーかな? どこーかな?


 おっ!あったあった!」



 黒カードを1枚頭から取り出し、彼女は歓喜する。



「あなたには失望したわ。 まさか誰の命も奪わずに走っているだけなんてね。







 生き物失格のクズ。 貴方には相応しい最期だわ。



 じゃーね♪ 」






 魂の抜け殻となった彼の遺体にそう吐き捨て、その場をあとにした。





 ※※※※



「じゃあ・・・でます。笑わないでくださいね?」


 夕食を終えたサキはミコトと選んだ服に着替えた。







 長袖の丈が長めの青黒ボーダーニットに、七分丈の灰色のジーンズ。白のニット帽だ。


 余程出るのが恥ずかしかったのか中々二人の前に現れなかった。



「サキさん可愛い!! でも確か、ズボンだけ買うって言ってなかったですか?」


「・・・ミコトさんが暴走して 」


 アスカがミコトの方に振り向く。そしてサキに見えない様にサムズアップする。


「まあ俺のセンス爆発だな! 本当はグロスとか買いたかったんだけど、金が足りなかったぜ(笑)」


「重いんでやめて貰えません? ちょっと気持ち悪いです」



 と、サキは気に入らない態度を振舞っている。












「まあ似合ってるからそう言わずにちょくちょく着てくれよ! それに久々に買い物が楽しかったから今度も行こうぜ(笑)」



「・・・・・・・・・・・・えっ? えっえっ?」



 サキの顔がゆでダコのように赤くなっていく。急いでミコトに背を向ける。



「・・・めんどくさいので、週一・・・、月1位・・・、




 たまにでお願いしますね・・・。 私は・・・インドア派なので 」



「??・・・ まあーたまにね(笑)」



 その時アスカは、その全てを悟った。


 10・・・100・・・1000、次々と作戦計画(ストラテジー)を思いついた。



 そして、今日の所はこれで勘弁してやろうと思い、特に何もしなかった。







 ミコトとサキ。






 二人の空が・・・・・・蒼い。



 

挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん)

そろそろ茶番は終わりにするか。


キャラで遊びすぎだ

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