03日常
その日の放課後から6日間ユウのラボでそれぞれシミュレーターを使いGFの操作訓練をしていた。
「ふぅ~何とかLv3をクリアできたぞ!」
ルークがタオルで汗を拭きながら叫んだ。
「お疲れ様です。」
そう言ってボトルを渡すのは疑似精霊のスピカだ。スピカはレイカと同じ青白い髪をした美幼女である外見とは裏腹に冷静な判断ができる今ではなくてはならないサポート要員である。
スピカとの出会いは1年前南西大陸で再度現れたドラゴン討伐の報酬としてもらったものである。
そうこうしている間に他の者たちもシミュレーターを終えリビングに集まって来る。
「わたくしは、最後の最後で撃墜されてしまいましたわ。」
サリアは本当にあと1歩と言うところで撃墜されている。
「・・・はぁはぁ・・・何とかクリアできました。」
息も絶え絶えにそう呟くのはレイカである。
「あたしはダメね。接近戦ならいいんだけど、どうも射撃が苦手で・・・」
そう元気よく答えるのはクリスである。接近戦ならメンバーの中でユウの次に接近戦の成績を上げている。射撃戦は逆にビリとなっていた。
「皆それぞれ自分に合う機体が被らなくてよかったけど・・・」
「けどは無しだぜ、条件を出したのはユウ、お前なんだからな。」
困ったようにため息をつきユウは
「それでは護衛任務への参加はルークがGFジェネラル改、レイカがGFフェアリーMk3改でいいね。それとクリス先輩にはメカニックとして参加してもらいます。」
拗ねたような表情で
「わたくしだけのけ者ですの?」
ユウはルークを見るが、ルークは首を左右に振る
「・・・分かりました。サリアは、当日はオペレーター兼補充要因として参加してもらいます。」
「GFは、勿論GFパラディン改ですわ!」
今上がった他にユウの機体GFエンジェルMk3HC、クリスがシミュレーターをしたGFゴレフMk3改がある。
GFエンジェルMk3HC以外は上官にGFの研究がしたいと要請したところ送られてきた機体であり、まさか最新の第三世代だとは思わなかったんだけれど・・・改修の結果GFゴレフMk3、GFフェアリーMk3は中級並みに仕上がりGFパラディン、GFジェネラルは上級に近い性能となっていた。
そんなことをユウが考えているとルークが
「そんで、護衛対象は何処の誰だ?」
皆の視線がユウに集まる。
「護衛対象はガーディアンエンジェル代表カリーナ・クルス、第四世代GFバルキリーの製作者とその家族、並びに船となっている。」
「へ~大物だね。彼女のことは実家であるファームエレクトロニクスでも話題となっている。ある種の天才だと、親父なんか曽祖父の再来くらいに評価していたな。」
「曽祖父というとクリフト博士ですわね。」
「そう、そのくらい凄い人だと評価していた。」
クリスの言葉に誰かがゴクリと息をのんだ。
「それだけじゃないだろう。」
ルークが沈黙を破った。
「彼女は現天魔領最高評議会議長の前妻だぞ?各国との政治的なつながりも持っていると聞く。」
そして補足するようにユウが
「そちらが有名だが、忘れてはならないのがガーディアンエンジェル、通称GAと呼ばれる組織は、地上の魔物相手に傭兵として活動しているが、ルオン少佐の見積もりでは、南東連邦や南西連邦に匹敵する軍事力だとか・・・」
「そんなにすごいとこなら自前の護衛で良くないですの?」
「それについては上の方々が制限を掛けたようだね。戦艦は1隻、輸送艦は1隻追加で認める。GFに関しては中隊規模まで、つまりGFは多く見積もっても9機となっている。」
「えっ?その戦力では襲ってくれと言っているみたいなものじゃ・・・」
レイカの言葉にスピカが
「はい、ですのでルオン少佐が独立行動が許されているユウ様に依頼してきたのです。下手をすれば帝国の他に南の連邦並みの軍事力を持つ組織を敵に回すことになりますから。」
するとルークが立ち上がり
「もう一回シミュレーターやって来る。Lv4でな。」
「お供いたしますわ。それに連携訓練は必要でしょう?」
サリアが続き
「まってサリア!連携訓練なら私も参加するわ。」
レイカが追いかけ
「機体の調整や整備やっとく。」
クリスは愛用の道具箱を抱え地下室へと向かって行った。
「ヤレヤレっと。」
ユウが立ち上がり地下室の入り口に歩き出す背後で
「本当は嬉しいくせに・・・」
とスピカが小声でつぶやき、カップなどを片づけるのであった。




