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聖剣に転生したんだけど  作者: たぬたろう
第三章 物語が動き始めるんだけど
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第八話 皇帝さんの御前なんだけど

 はい、あれから数日立って俺は今、王城に居ます。

 前回の隊長の失態ぶりを待ち望んでいた方申し訳ないがただ喚き散らすだけだったので記憶から消してやったぜ。

 顛末的には俺の大精霊召喚に狼狽えて頭真っ白になり、放置されてきっとまだぽかんとしているだろう。

 その後仲間と合流してついでにあのヤクザなお嬢ちゃんも引き連れて、イリーナちゃんと帝国に呼び出されたわけだ。


「報告書は読ませてもらったが・・・。」


 ちらりと担当者であろう人物を見る皇帝さん・・・。

 威圧感半端ないなぁ。

 最初会った時は気のいいおっちゃんって感じだったけど、やっぱ公私混同せずって事か。

 まぁ皇帝さんはそれでいいとして、担当者さん。

 あんた偉そうにふんぞり返ってるけど皇帝さん激おこぷんぷん丸だよ?


「我が軍が魔物の群れを殲滅し、首領と思わしき者からの鹵獲品をこの者等が盗ったと?」

「えぇ陛下!なんとも許されざる行為です!我等が兵の手柄を横取りし、あまつさえ鹵獲品までも盗むとは言語道断!ぜひ重い裁きを!」


 終わったなぁこの人。

 皇帝陛下に虚偽の報告なんかして・・・。

 そのせいでかなり激おこなのわかっている?おこだよ?


「その方等、名を名乗れ。」

「マリオ・ウルトと申します陛下。」

「カーティ・セルベラムです。」


 皇帝陛下の午前であるにも関わらずしっかりと声出せているねぇ・・・。

 あぁそうでもないか、マリオちょっとカタカタ震えているし、カーティちゃん緊張で真っ青だ。

 それに比べてアルフちゃんは優雅なお辞儀が出来ているなぁ。

 森を出た時にイリーナちゃんと遭遇してうろたえていた子と同じだとはとても思えない位しっかりと挨拶が出来ている・・・。


「お久しぶりです皇帝陛下。アルフ・カグラザカです。」

「ほぉ、カグラザカの一族も居るのか・・・。してそちらの二人は?」


 俺の方見て軽く笑ってんじゃねぇよ皇帝さんよぉ?

 なに?この状況楽しんでいる?

 人化している俺を前に楽しんでいる?


「二宮東藤。口調の悪さは育ちの悪さなのでね。許してくれよ皇帝陛下?」


 う~む・・・。

 仕草はアルフちゃんみたいに綺麗なのだが・・・。

 なんというかアルフちゃんが貴族令嬢なら、東藤ちゃんは姉御だなぁ・・・。

 さすが任侠の子・・・。


「貴様!皇帝陛下になんて口を!!」

「よい、してそちは?」


 髭弄っている風を装って微妙に笑ってんじゃねぇよ!

 やっぱあれだな!微妙にこの構図を楽しんでいるな!

 他の奴からは見えないだろうがこちとらチート性能持ちじゃぁコラ!

 余裕で見えているぞ!!


「今はササ・アースガルズって名乗っているぜ。久しぶりだな。」

「貴様もか!えぇい!皇帝陛下に無礼が過ぎるぞ!!陛下の裁きを待つまでもない即刻」

「黙らぬか!!!」


 あーあ本気で怒っちゃった。

 さっきから横でぐだぐだ煩く皇帝さんの喋る邪魔するからぁ。

 空気読まずに自分たちの出世しか考えないからこんな事になるんだよ?


「やっぱ皇帝してると威厳が大きいなぁ。いつもの口調はやっぱダメなのかい?」

「当たり前だ馬鹿者。と言っても立場と言うのであれば余が敬わねばならぬ立場であろうが。」


 まぁ俺はこの世界の神様の子供だからな。

 俺以上の立場がある存在は女神であるお母様だけだ。

 けど今ここでそれを主張する気はない!

 そもそもそんな立場で偉そうにする気もない!!


「まぁ今は一介の冒険者さ。色々制限付きだが親の許しも得てるんでね。」

「ほう?あの方の許しをか・・・・。ならば今は一応余が立場を上として裁きをくださせて貰うが良いのか?」


「まぁしゃーないな。覚悟はできてるぜ?」

「はっはっはっ!ならば判決をくだす!」


 ギンと睨み付ける雰囲気に変わり、三人が怯えた風になった。

 けどこれ俺達を睨んでないよね?

 横の方で偉そうにうんうんと首を振っている奴に向かっているよね?


「此度の功績を讃え、汝らに賞金と特権を与えよう!」

「陛下!?」


 ありえない!って感じに言ったけどありえるよ?

 そもそもあんたがしたのは虚偽の報告じゃないか。

 あんなネ○シスみたいなの倒せるような練度じゃないだろ?


「貴様は我が友に無実の罪を与えようとした罰を与えねばならぬ!沙汰を待て!」

「な、なぜですか!私はこの帝国の事を一番に考えて!!」

「それがなぜ虚偽の報告になるのだ!この者は身分で言えば余より上!女神様の親族と言って良い者だ!貴様はそれでも帝国の為にと言うか!!!」

「な、なッ!?」

「まぁまぁ皇帝さん。知らなかったからそこは良いさ。それに一応隠してる部分でもあるしな。?こいつらは知ってるけどさ。」

「それでもお主等に無実の罪をかぶせ、余に虚偽の報告をした罪は重い。女神様には厚く謝罪をしたい気分だ。」


 あの人が怒るとは思わないし、そこまで大きな問題とも思ってない気がするなぁ?

 だいたい皇帝さんがしっかりやってくれるって思っているだろうし。


「あの人はそんな事で怒らないさ。んでこの後俺らはどうすりゃ良いのさ?あんま目立ちたくないんだけど?」

「ここまでの事をして目立ちたくないと?戦場より帰った兵らの噂話しにも既になっておる事から冒険者の間でも大きな噂になっていると思うが?」


 やっぱりそうだっよなぁ?

 この国移動して他に行くのもありといえばありだけど、冒険者って基本的に街を移動して、様々な依頼を受ける事が多いし。

 専属な人達以外は基本的に他の街から来ている冒険者だ。

 大陸を移動でもしない限り有名人のままだろうなぁ?


「どうすっかなぁ?」

「お主を我が帝国に迎えれば簡単な話ではあるが、それは女神様もお許しになられぬであろう。ならばそれ以外の方法で解決する。それが余の与える特権だ。」


 特権・・・、特権ねぇ?

 国に仕えさせる訳ではないだろうけど、今回の魔物暴走みたいな何かがあった場合に手伝いをさせる的なのだろうなぁ?


「仕事付きだろ?」

「そこは諦めよ。だがお主には良い物やも知れんぞ?」

「というと?」

「余が汝らに与える特権は英雄特権だ。過去何度か行使した事のある物でな。」

「英雄特権ですか陛下?!」

「なに?アルフちゃん知ってんの?」

「当たり前だササ!英雄特権ってのは勇者に与えられる特権なんだぞ!?」


 勇者に・・・か。

 ふむ、まぁ俺は聖剣で勇者の持ち物だが意思があるからそういうのあっても良いが、その場合俺の担い手となる人物にはどう与えるんだ?

 勇者と言うのであればそちらのほうが勇者に当てはまるのだろうし。


「俺が決めたらどうするんだ皇帝さん。良いのかい?」

「よい、そうなったらそうなったでそれ用のも用意する。」


 そこら辺の事考えているなら別に良いか。


「んじゃありがたく受け取るよ。」

「ところでササよ。この後会食などどうだ?余は一度お主とゆっくり食事をしたかったのだ。」

「それは・・・例の話でか?」

「あぁ、余はずっと気になっていた例の話だ。」

「再現出来るのか?」

「お主が協力してくれればな。」

「たく・・・しょうがねぇなぁ・・・。一応見張りを立てろ、毒見役も用意しておけよ?一応世間体ってのもあるだろうからな。」


 少し経って、俺が立っているのは城の厨房だった。

 何しているって?そんなもの料理に決まっている。

 皇帝さんと会話していた例の話。

 それは単純に元の世界の料理だ。

 もっとわかりやすく言えばジャンクフード。

 この世界は肉をミンチにするという風習が無い。

 単純に切る、焼く、煮る、蒸す位だろう。

 だから今、俺が作っているのはジャンクフードの王様、「バーガーセット」だ。

 まぁ店によってはポテトなんかは一度ミンチにしたものを成形という形だからそこまで手間をかけられないがジャガイモを切ってそれを揚げるというのも無いわけじゃない。

 ハンバーガーはシンプルにパンズ、これは普通に店でも売っているし王城ともなれば質の良いパンが揃っている。

 次にパティ、牛・・・とは少し違うが牛に似たデビルシープという魔物の肉だ。

 魔物と言っても食用に飼われる事の多い家畜だがな。

 シープ、つまり羊と呼ばれるのに味は牛なのが少し謎だが。

 そして中に挟む野菜、レタスなんて存在しないので触感が近いコモロという葉野菜で代用。

 芋は普通に前世と同じジャガイモ。

 味も見た目も栽培方法も前世と同じという謎仕様だ。

 まぁ下手に変な野菜使うよりは良い。

 そして隠し味には赤ワイン。

 これを使って軽く蒸す事で良い風味になる。

 一応ホタルと一緒に作ってみたりもしてはあるからまず大丈夫なはずだ。

 素材の品質で味に変化はあるだろうが美味しくなる程度の差だろう。

 大丈夫だ、問題ない。

 まずは下準備。ジャガイモについた土を洗い流し細切りに。

 この時、皮は剥かずにしとくと良いアクセントになる。

 そして細切りにしたジャガイモは水に浸して使うまで放置!

 次はパティの準備、肉を粗く手切りしハンバーグ状にする。

 パティの形が出来上がったら熱した鉄板で焼き始める。

 うむ、いい匂いがしてきたな。

 俺が毒を入れないか監視している兵士さんのごくりとした唾を飲む音も聞こえてくる。

 片面が焼けるまでに油を火にかけておこう。

 これはポテト用だ。


「ちょっとすいません。」

「あっ、はい。なんでしょう?」

「一人で良いから手伝ってくれない?このジャガイモを綺麗な布で拭いて水気を取って欲しいんだけど。」

「じゃあ私がお手伝いしましょう。」


 鎧を着ていなかった、やや細めの兵士さんが横に来て手伝ってくれた。

 なんか後ろの方で他の兵士達がざわざわしているが聞こえない。

 そんな事をしているとちょうど片面が焼きあがった音がした。

 かなり神経のいる判別方法だがパティから流れる肉汁の最初の一滴、それが落ちた瞬間が最高の焼き加減になる。

 まぁもっともチートレベルな聴覚があるからここまで簡単に出来るのだけどね?

 パティをひっくり返したら次はパンズを半分に切り、鉄板の上に乗せる。

 この時、パンズとパティの両方に赤ワインを軽くかけて蓋をする事を忘れない。

 そして蒸している間に、兵士さんが拭いてくれたポテトを油に投入!

 ポテトは大体同じ大きさに切りそろえているから色と油の中での動きを見れば揚げあがりがわかる。

 これはほぼ経験だから簡単には覚えられないけどな。

 さてパンズとパティも良い感じに焼きあがったからパンズにコロモを乗せ、その上にパティを乗せる!

 ここでチーズとピクルスを入れたい所だがこの世界にそんなものは無いし、代用品もまだ考えていない。

 ここは諦めてそのままパンズで挟んで完成!

 と同時にポテトも良い揚げあがりだ。

 さっさと油から取り出しザルに入れ、流しの方で塩を振りながらザルをゆする。

 こうする事によって均一に塩がかかるのだ。

 まぁこの方法は塩が貴重でないから出来る事。

 異世界物だと塩が大変貴重な場合があるから下手したらポテトが作れないとこだった。

 本当はここでケチャップも用意しておきたいとこだがこの世界にはトマトが無い。

 いや一応あるにはあるのだが原種しか存在しない。

 トマトの原種、それは観賞用の有毒植物だ。

 それをイタリア人が品種改良し、食べられるようになったのだ。

 だがこちらの世界でそれをした人は居らず、原種ままだ。

 何とかして有毒成分を取り除いたトマトを栽培したいものだが・・・。

 まぁ無い物をねだってもしょうがない。

 ケチャップが無くてもポテトは喰える。


 ちなみにハンバーガーは別にパティがハンバーグ状の物以外にも色々種類があるから別にこれに拘る必要性は皆無である。

 肉をたたいて伸ばし、ハーブと一緒に挟むようなものも存在するからな。

 この世界にもパンに肉を挟んだものはあるがどちらかというとあれは焼きそばパンやコロッケパンのような形だ。

 ただ薄く切った肉を焼いてパンにはさんだだけの簡単なもの。

 あれはあれで美味いが、やはりハンバーガーではない。


 そんなこんなで完成したバーガーセットを給仕の人達に運んでもらいつつ、自分も皇帝さん達が待つ食堂へと足を向ける。

 というか食事に招待された俺がなぜ料理をするのか疑問ではあるがまぁいいか。


「おぉ!これがお主の言っていたはんばーがーとやらか!」


 食堂について、席に座って皇帝さんに今更文句を言おうとしたら給仕の人がみんなの前にハンバーガーセットを置いていく。

 ちなみに飲み物にコーラを用意しておきたいところではあったが、この世界に炭酸飲料が無い。

 しょうがないのでフルーツを絞ったものを用意してある。

 まぁ紅茶でも良かったのだがな?


「では、いただくとしよう。」


 そう言ってナイフとフォークを手に取るが、これはそうやってお上品に食べるものではない!


「違うぜ皇帝さん。これはこうやって持ってがぶっと行くのさ。」


 お手本としてまずがぶっとやって見せる。

 本当は包みの紙を間に居れて持つのが正しい食べ方なのだがそんなものを用意なんてしていないから、両手でもって口に運ぶ。

 うむ、やはり皇族の台所だけあって良い肉とパンだ。

 肉に使ったワインも良いものだったのか、ちょうどよい具合に肉の臭みを消し、旨味だけを増幅させている。

 そしてその肉の旨味をパンが吸い、これまたワインの風味でよりよいハーモニーを奏でている。

 この味はホタルと作った時の材料じゃ出せない味だ。


 よく料理は金じゃない!技術だ手間だ調和だ想いだと言うがそうじゃない。

 良い材料を使い、手間を惜しまず料理する。

 究極的にはこれに限る。

 まぁ俺が食べる光景を見ていた他の面々も同じようにかぶりつき称賛の声を上げる。

 まぁ今回は高級な材料を使って上品に仕上げているから正確にはジャンクフードとは呼べないけどなぁ。

 家に帰ったら低価格で売れるハンバーガーでも研究するかなぁ?

 それより保存食かな?

 この世界の食料は豊富とまでは言えないが普及率は悪くない。

 けれど問題はその調理方法や保存方法なんだよなぁ。

 まぁ今その事考えてもしょうがない。


 その後もポテトと飲み物をつまみつつ、皇帝さんとこれまでの話をした。

 無論、マリオ達が居るので聖剣である事は伏せつつ会話をした。

 ホタルの話題になった時に一瞬、イリーナちゃんの様子がちとおかしく感じたのだが・・・、気のせいかな?

 そう感じただけだからまぁ、たいして気にも留めなかった。


 そして日も暮れてきたので城に泊まる事となり、割り当てられた部屋でくつろいでいたのだが、そもそも寝る必要性ないし俺。

 なんか面白そうな本でも借りようかと部屋を出ようとした時、コンコンとノックの音が聞こえてきた。

 誰だろうと思い扉を開けるとそこにはイリーナちゃんちゃんが立っていた。

 こんな時間になんのようかな?と思って声をかけようとしたがイリーナちゃんの一言で体が硬直した。


「一緒に死にましょう?」


 そうイリーナちゃんが呟いて抱きついてきた瞬間。

 ザクリと刃物が刺さる音が聞こえた。

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