第六話 お約束ってのは重なるんだけど
*前回のあらすじ*
レネ爺にばれてボコボコにされて心しょぼーんな大地君ですはい
無事に冒険者ギルドに登録でき、晴れて冒険者になったわけだが。
カーティちゃんがオススメしてくれた宿の一室で俺は正座させられている。
カーティちゃん?彼女は実家に居るよ?
彼女達はこの街の出身だそうで実家から冒険者として出てるそうな。
ちなみに誰が正座させてるかって?
爺ちゃんだよ・・・。
「それで・・・言いたいことはあるか?」
「動けると感じてはしゃいでやった。後悔はしていない。」
やっと俺の異世界ライフが始まったんだ!
後悔するわけねぇだろ!?
まぁレネ爺にバレたら怖いな~程度に考えてたけど実際今超怖い。
普段は優しくて軽口叩き合う程度に仲良いけど怒ると超怖いからなぁ・・・。
「はぁ・・・。呆れて物も言えんわ・・・。女神様は許しているようだからそこについて怒る気はない。儂が怒っているのは儂に秘密にして勝手に洞窟を出た事じゃ。」
「あ~・・・。止められると思ってコッソリとね・・・?」
あの時馬鹿孫って言ってたし・・・。
本当に心配してくれてたんだろうなぁ・・・。
ちょっと罪悪感・・・。
「女神様が許しているなら止めんわ馬鹿者。心配するのだからきちんと言え。」
「はい・・・。」
「それでどんな状態なのじゃ?」
まぁ簡単に説明する。
魔力で作り上げた体を土台にしてそこに聖剣っていう核が存在する。
聖剣は土台から抜けてないから俺が俺を担い手に選んでないってのも重要だからきちんと説明した。
まぁ後は前世で全く経験の無かった格闘術なんかが普通に出来たことも説明したし、人を殺した事も説明した。
怒っていたからか相手が人間とは思えないクズだったからか欠片も心が傷まなかったのも謎だし・・・。
それに冒険者ギルドでも怒りに染まっちまった事も伝えた。
自分がやってきた事振り返ると全然チートを自重してないなぁ俺・・・。
「なるほどの・・・。女神様はどう思っているのか聞いたか?」
「あ~色々あってまだ聞いてない。レネ爺居るから今聞くか。」
さて、お母様から貰ったペンダントを取り出してご意見聞かなきゃな。
あんなゆるふわな女神でも、俺の母親なわけだし。
『は~い♪ママ呼ばれてきたよ~♪』
「その軽いノリは置いといて。俺が人間体になれた事ってどうみる?」
『・・・運命。今はそれしか言えないわ。』
ん?さっきまでのゆるふわな雰囲気が無くなったぞ?
突然真剣になりだした・・・。
まぁ結構重要な事だからなのだろうけど・・・。
突然過ぎる変化にな~んか違和感感じるねコレ。
「つまり決められていた事と言われるのですか?」
『そうよレネゲード。大地ちゃんが担い手を選ぶ前にこうなってしまった・・・。残念だけどそういう事。』
「なるほど。これも聖剣の役目。そう言われのですな。」
『えぇ・・・。』
会話についていけない・・・。
二人だけで真面目な世界描いてるからなぁ・・・。
それに多分だけど今話してるの聖剣について俺に話せない部分な気がする。
「よくわかんねぇけどこのままで良いって事だろ?」
『そうよ~♪でもなるべく聖地の近くを拠点にして欲しいわ♪』
聖地の近くを拠点か・・・。
ならこの街が良いだろうな。
むしろ聖地と同じ名前の街だし、ここならお母様もレネ爺も文句言わねぇだろ。
となると拠点だな・・・。このまま宿を拠点にするのもなんだかあれだし・・・。
長期的な寝床が必要だな・・・。
「んじゃ、この街で家でも買ってそこ拠点にするわ。幸いお母様の置いて行った袋に金はいっぱいあるし。」
「そうじゃの。数日はこの街に居るから場所が決まったら教えろ。何かあったらすぐ来れるようにしておきたい。」
「あいよ~。んじゃ俺はカーティちゃん所行ってくるわ。」
さって、カーティちゃんの家の場所聞いてるしさくっと行くか。
この街に住むなら色々知っておかないといけないし、案内してもらわないとなぁ。
「あやつの運命・・・どうにかして代われぬものか・・・。」
えっと確かこの家の角を曲がった先の赤い屋根の家ってあれか。
ド派手な赤色だなぁ・・・。
おっ、ちょうど女の人が出てきた。
あれはカーティちゃんのお母さんかな?
素通りなんて事出来ないし軽く挨拶するか。
「あぁすいません。ササと言うのですがカーティさん居ますか?」
「おやまぁ、こんな色男がカーティに用かい?ちょっと待ってくれよ?お~いカーティ~!彼氏が来てるよ~!」
「ちょっと!?お母さん!?」
「あっはっはっはっ!もうちょっと待ってくれよ?」
典型的なオカン!って感じの人だなぁ。
この人が母親だとあれだ。
掃除中に見つかったエロ本を食卓での話題とかにされそうだ。
男としての恐怖を感じるね・・・!!
「すいません。お待たせしました。」
「そんなに待ってないぜ。」
さっき別れた時は冒険者としての服だったのかな?
今は可愛いワンピース着てるわ。
なんというかアレだ。
麦わら帽子かぶせて、森林とか海辺とか歩かせたら絵になりそうだ。
「それで何か御用でしょうか?」
「あぁ、この街を拠点にするから街について知りたいんだ。案内してくれるかい?」
「はい!喜んで!」
カーティちゃんの案内で、この街で暮らすのに必要な物を売っている場所などは理解出来た。
けどまぁそこまで必要なものって無いんだけどね。
食事不要だし、体も魔力の流を操作すれば汚れは落ちるし服も魔力で作れる。
ある意味完成された不老不死?
けどまぁ、この街で暮らす以上不必要な誤解を招く可能性のある行動は避けるべきだろう。
買い物をしない、どころか食事すらしない人間を怪しく見ない奴は居ない。
「これである程度の場所は回りましたが他に何か知りたい所がありますか?」
「あぁ、理解できたよ・・・。次は家を見たいんだが。」
「家・・・?ですか?」
「あぁ、宿屋にずっとってわけにもいかんからね。家ってどこで買えば良いんだ?」
「えっと・・・確かあちらにこの辺りの家を売ってる場所があります。」
「あぁじゃあちょっと見に行くから・・・」
「待て!」
誰だ?良いとこのお坊ちゃんみたいな奴が俺を睨んでいる。
ギルドに居た冒険者の仲間・・・、にしては品が良さそうだ。
彼奴等の顧客か?
彼奴等を俺がぶっ飛ばしたから文句でも言いに来たのか?
しかしこいつ豚か?
品の良さそうな服とこの豚な見た目から嫌な予感しかしねぇぞ?
「なんだあんた?」
「えっと、この街に住んでるモルス・カロールて言う貴族です。彼も魔道士ですよ。ただちょっと強引な事が多くて評判良くないんですよ。」
「お前!カーティと何仲良くしてるんだ!彼女は私の婚約者だぞ?」
あ~・・・、やっぱそういう事か。
これもお約束だな・・・。
異世界で仲良くなった女の子が、貴族に惚れられていて一緒に居る主人公に食って掛かる。
しかしそうなるとマリオ少年とカティマ少年は大丈夫だったのか?
まぁそれは今度マリオ少年にでも聞くとしよう。
今はこの貴族の坊っちゃんについてカーティちゃんに聞くとしよう。
「どうなの?」
「私は何度も断っているのですがしつこくて・・・。」
「だそうだけど?」
「ふっ、女性の心をわからないなんて愚かな男だ。私は彼女が平民だろうと気にしない!」
何言ってんだこいつ?
考えるべきはそこじゃないだろ?
何?自己中なの?
女性の心を理解するならまずその豚な見た目直したら?
痩せれば多分君美形だよ?
平民が貴族に嫁入りって光栄だろうけど豚の貴族になんて光栄と思うわけ無いじゃん?
「そういう問題じゃない気もするがなぁ・・・?んで?なんの用なんだよ?」
「彼女を開放しろ!カーティは私の妻になる女性だ!貴様如き平民が気安く近づくな!!」
この手の貴族ってなんでここまでわかりやすいのか・・・。
平民を見下し、美しければ妻にするとかね。あ~やだやだ。
それに見るからに魔力も高そうだし、きっとそれも相まって天狗になってるんだろうなぁ・・・。
さすが豚貴族。
あっ、もしかしてコイツ豚の獣人か?
「あぁめんどくせぇ・・・。おいお前、俺と同じ魔道士なんだろ?お前と俺の格の違いみせてやるから思い知ったら諦めてやれ。」
「はっ!この私との格?それを思い知るのは貴様の方だ!私は貴族であるカロール家の次期後継者だぞ!」
相手の魔力量もわかんないのかこいつ・・・。
しょうがない、こういう魔道士相手に対して考えたナイツ・オブ・ソードを試してみるか。
「ほら、さっさと構えろよ。《我が魔力の前にひれ伏せ。ウィザードスレイヤー。》」
「な、何だその剣!お前、魔道士じゃないのか!」
「魔道士だよ?見てわからないなら魔法学ぶの辞めたら?才能ないよ君。とりあえず御託抜かす前に撃ってこいよ。格の違いを見せてやるからさ。」
魔法剣だってのに見てわからないなんて・・・。
しかし、こいつやっぱ冒険者以下じゃねぇの?
相手の力量を把握すらできていない。
実力なんてそこが出来てから得られる物だぜ?
プルプル震えて杖を握りしめてるし。
煽りに対する沸点も低いなぁ・・・。
「言ったな!ならば私の最高峰の魔法で屈服させてやる!《真炎の龍よ!我が前に立ちふさがる愚かな者を喰らい尽くせ!ドラゴンフレア!!》」
モルスの後ろに出来た炎が龍を形作る。
なるほど、ここまで傲慢になるには十分な実力はあるようだ。
けどな?それじゃダメだ。
相手の力を知り、相手がどう出るかを考えなければただの子供の癇癪だ。
先に俺の実力を見せてるのにその程度なら、三流以下だ。
「ササ様!あれは上位魔法です!!」
「ふ~ん?別に脅威とは思わないな?」
「これの力がわからないとは、やはり平民か・・・。ならばそのちっぽけな剣で受けてみろ!行け!!」
炎の龍が俺を襲おうと向かってくる。
うむ、やはり良い威力だ。
だが・・・俺のウィザードスレイヤーの前には無意味だ。
「よっと。はい、終わり。おつかれさん。」
向かってきた炎の龍をウィザードスレイヤーで斬り捨てる。
まぁ斬り捨てるってとはちょっと違ってウィザードスレイヤーの本当の効果は『斬った魔法を吸収する』だ。
まださっきの『世界之頂点之剣』の消費でカツカツだったからおいしく頂こう。
ん~量は少ないけど質はそれなりに良いから体内魔力量に余裕はできたな。
これなら回復まで時間かかんないだろう。
「な、なんだと・・・!?私の最大魔法がたかが剣に負けた・・・?」
「わかったか?自分より上位の奴に喧嘩売る時はもっと慎重になれよ小僧。」
剣をモルスへと向けてギロリと睨む。
たかがそれだけで青い顔をしてガクガクと震えている。
怯えすぎだろう。
チキンで親の貴族って威光を盾にする豚だからしょうがねぇのかもしれないが・・・。
皇帝さんにでもお願いしてこいつ罰してもらうか?
いやお母様にお願いしても良いかもしれないな・・・。
そう考えると俺って下手な権力者より権力あるな。
ん?人混みがなんか割れてるぞ?
「なんじゃ?なんの騒ぎじゃ?」
「おぉ!レネゲード殿ではないか!何、貴族に楯突く愚か者を成敗しようとしていたところだ!」
なんだこいつ。
レネ爺が来たとたんなんか偉く上機嫌になったぞ?
いや、レネ爺は皇帝との繋がりもあるし聖地の番人みたいな扱いだから俺を跪かせるとでも思ってるのか?
「なんじゃ?ササではないか。何しとるんじゃ?」
「あぁ、この豚がうちの仲間に迷惑っつーか、この街の住人に迷惑かけてるらしいんだけど知ってるか?」
「貴様!レネゲード殿に対して無礼な発言をs」
「レネ爺は俺の爺さんだぞ?祖父と孫の邪魔するお前の方が無礼じゃねぇか。」
「はっ!お前の様な平民が、よりにもよって聖剣の大精霊レネゲード殿と血縁などと見え透いた嘘を言うな!」
「いや、ササは儂の孫。というより儂はササの育ての親じゃが?」
あっ血の気引いてる。
顔真っ青じゃねぇか。
周囲の野次馬もびっくりしてるし。
やばいなぁ・・・、平穏で静かな生活が遠のく音がしたぞ?
「ふむ。そこの青年よ。こやつは本当にこの街の者に迷惑を?」
「へっ?あっ、はい。その通りですレネゲード様。店には俺は貴族の子だから安くしろなどと無茶な注文したり、道を歩いてるだけで邪魔だと突き飛ばされたり・・・。」
うわ~・・・、わっかりやす!
なんてわかりやすいクズ貴族なんだ・・・!
これもうマジで皇帝さんに言って処罰するべきだろうな。
証拠がなく難しいならお母様出せばいい。
「なるほどの。おい、小僧。この件については皇帝陛下に直訴しておく。数日中に処分が下るであろうから覚悟しておけ。」
豚が真っ青な顔してがくりと崩れ落ちたら野次馬達の歓声がうるせぇほど響いてくる。
みんなこの豚にうんざりしてたんだな。
豚とはいえ貴族だし、レネ爺みたいに皇帝さんに言うことも出来ず泣き寝入りしていたのだろう。
しかしこれ本当に平穏で静かな生活崩れたな。
こんな大勢にレネ爺の孫ってバレたし、身分バレすぎだろこれぇ・・・。
チートだって自重・・・・・・・・・・・・・・したっけ?
まず俺のチートの魔法だろ?
ギルド内で俺の最大魔法使いました。
今ここでもこの世界に存在しないオリジナルチート魔法使いました。
うん、自重してない。
次にこの肉体の硬度だ。
考え事してデス・カメレオンとかいうの恐竜みたいなのの攻撃をまともに食らってケロっとしてました。
これも自重してないね。
これがあれか・・・、チート持ちは自重出来ないってお約束か・・・。
運命がお約束を運んできやがる・・・。
ソロの異世界召喚・転生物で絶対居るよね!
こうやって喧嘩ふっかけてくる貴族様!
それもだいたい主人公が仲良くなった女の子と一緒にいるとさ!
ここで更に流れ増やしてレネ爺召喚!
本当ならこの後なんやかんやあって仲良くなってなんやかんやあるんでしょうが。
この豚貴族に出番はない!!!
あっカーティちゃんはまだササラブではありません。
信仰の対象的には見てますがどうしましょうかねぇ?
イリーナちゃんともう一人登場してませんがササラブ勢すでに二人確定してますからねぇ・・・。
パーティー内恋愛とか結構鬼門だって話も良く読みますし悩みますねぇ。
次回更新は二日後です!




