重なる不幸
それから数週間自体は膠着した。
いや、悪い方に話が進んだ。
マティアス周辺に広げていた広大な畑の作物が枯れ始めたのだ。
そして、悪いことは重なった。
クルーガクに流行した病がマティアスにも流行り始めたのだ。
「タケル、これはまずいんじゃないの!?」
夕食の後、にユウナギが言った。
「確かに、まずい」
「タケルさんの『チート』で何とかできないのですか?」
「実は・・・畑に行って復旧できないかトライしてみたんですが、回復は一部限定的で広範囲には追いつかなかったんです」
「病気の方はどうでしたか?」
「病気は治せるんですが、2人か3人が良いところで、感染速度を考えたら有効じゃなくて・・・」
「数の勝負になりましたか・・・」
「今度こそもうちょっと何かアイデアはないのかな?」
「やっぱり『チート』でしょう!」
「でも、速度で追いつかない。気づくのが遅かったんだ・・・」
「どうにかならないの?あれ」
「あれってやっぱり、アレかな・・・」
「そうアレ」
「・・・」
「でも、僕の能力では・・・」
「あの子がいるんじゃないの?『チート』よりも上を行くズルができる・・・」
「えー・・・」
「わらわを呼んだかの?」
突然、幼女がタケルの後ろから現れた。
久方振りにみんなの前に現れたのはフォレスタだった。
「「わあっ!」」
「どこから現れたの!?」
「わらわは常に主と共におる」
「で?どうなの?力は貸してくれるの?」
「わらわは誰にも力なぞ貸さん」
『ふいっ』っと横を向いた。
「あれ?今の『いい流れ』じゃなかった!?」
「頼むよ、フォレスタ。今は君の力が必要なんだ」
「まあ、タケル様がいなくなったら?物語も読んでもらえないし?主様自身の『物語』も楽しめないし?どうしてもって言うなら・・・」
「ちょっと、今の何!?タケルが言ったらすぐに掌返さなかった!?なに?このチョロさ!」
「では、早速いくか?」
「え?そんな『ちょっとそこまで』みたいなノリ!?」
「で、タケル様はどこに戻りたいのじゃ?」
「タケルさん、タケルさん」
クレアがタケルの袖を引っ張って読んだ。
「どうしたんですか」
「さっきからお二人が話している『アレ』ってなんですか?」
「『アレ』は・・・やると必ず何かが起こる・・・『タイムマシン』だよ」
「それです!『タイムマシン』とは!?・・・いれ、例によって言葉は分かるのですが、それが指すものが分かりません」
「そりゃあそうだよね。見たことないだろうし、僕も見たことないし」
「見たこともないのに、ご存じなのですか?」
「うん・・・そうなるね」
「それで・・・」
「そう、タイムマシンは過去や未来に行く道具だよ」
「過去に・・・行く!?なんですか、その斬新なアイデアは」
「ただ僕が知っている限り、過去や未来に行くと何かトラブルが起きるのがお約束なんだ・・・」
「それでも、過去や未来に・・・それで、その『タイムマシン』とはどんな形をしているんですの?」
「うーん、机の引き出しの中に入っているのがメジャーなんだけど、自動車を改造したり、ケータイと電子レンジをくっつけたものだったり・・・」
「タケルさん、ちょっとすいません・・・それは一つの物を指している物なのですか!?」
「うーん、一応・・・」
「まさか、タケルだけ行こうと思ってないわよね?」
「え?一人のつもりだけど・・・危ないかもしれないし・・・」
「ちょっと待ったください!?過去に行くということは、わたくしとタケルさんが出会う前に行くこともできてしまう・・と?」
「そうなるね。何か問題が?」
「ありますわ!何かの間違いで、タケルさんに出会わなかったらどうなってしまいますか?」
「『過去』が変わると『今』が変わって、婚約してない未来になっているかも?」
「そんなのダメですわ!わたくしも同行いたします!」
「ええ!?」
「『ええ!?』じゃないわよ!私も行くわよ!」
「ええ!?」
「じゃあ、どこまで戻るのか話し合うわよ!」
「フォレスタ、そんな都合のいい話はばいよね?」
「いや、タケル様が望めばなんでもできるぞ?」
「・・・まじか」
明日の更新も朝6時です。
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