彼シャツならぬ彼女シャツ
昨日の散歩以来、母の機嫌がいい
母が嬉しそうだと私も嬉しい
それに母から私1人、もちろんアンも一緒にだが、庭に出てもいいと許してもらった
後ろで見ていたセバスチャンは何か言いたげだったが
私は早くも庭で遊べることにワクワクしていた
溢れ出るこの気持ちを喜びの舞、再び!で表現すると
「○△□はダンスが好きなのね。大きくなったら○△□はダンスを学びましょうね」
と母に褒めてもらって満面の笑みの私だった
アンは相変わらず俯き肩を小刻みに震わせながら感動していた
翌朝、朝ご飯を食べ終わると早速庭に出ようとしたら
セバスチャンに捕まった。何故?ホワイ?
「お嬢様、まさかとは思いますが木登りなどなさりませんよな」
セバスチャンに言われて驚いた。セバスチャンはエスパーだったのである
セバスチャンはにっこり笑うと私を部屋に放り込み鍵をかけてしまった
何がそんなにダメだったのか…ふと鏡を見て初めて自分の格好に気づいた
確かにこれではダメだ
ピンクのフリルがあしらわれたドレスである
これでは木に引っかけて破るのが関の山である
流石セバスチャン!
最早、もう1つのドアといってもいい隠し通路を通って
アンを探すとセバスチャンと話している最中だったので
邪魔しては悪いと近くにいたメイドさんにアンの予備のメイド服を持って来てもらった
が、アンの服なので2歳の私には大きすぎた
しかし、ここで諦める私ではない!
持ってきてくれたシャツを着ると丁度くるぶしまでの長さだったので
これが噂の彼シャツならぬ彼女シャツ!と喜び勇んで裸足で庭へ駆け出した
「お嬢様!?」
後ろでメイドさんの声を聞きなら私は目的地へ走ったのである
見よ!この日々屋敷の中で走り回って鍛えた足を!
ずっと庭へ出ていいと許されたらやって見たいことがあった
木登りも魅力的だけれど、今の私にはもっと魅力的な遊びがあるのだ!
「お嬢様!?○△□お嬢様!?どこですか!」
「こっちー」
アンの声に答えながらせっせと作業をこなしていく
ここで気をぬくと今までの苦労が水の泡に…
「お嬢様、やっと見つけ…何をされているのですか?」
「泥遊び!見てアン!この泥団子の立派なことを!」
全身泥だらけになりながら、このちんまい手で一生懸命作った力作を
「凄いですね」という言葉を期待していたのだが
アンはぽっかり口を開けて私を見ると次第に肩を震わせ笑いはじめた
私もつられて笑っているとセバスチャンもやってきて
「また盛大にやりましたね」とお風呂に放り込まれたのはいうまでもない
力作の泥団子はあれから毎日手入れし続け黒く輝きを放つまで育て
父と母を驚かすことに成功した




