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私の危機回避能力はあてにならない  作者:
菊馬愛咲実の成長過程ととんでもない非日常
327/362

いざ清合町へ!


  

  捜索隊は、都目・竹山・國吉の三人と薬師丸・江川・永沢・四芽の四人に別れて行動することにな

 り、都目達は清合町へと美月を探しに向かった。

 

「皆さん、着きましたよ!ここが清合町です」

  「おい、雲虎。それだと俺達、観光しに来たみたいに聞こえるぞ?」

  だが、三人では心配なので薬師丸は姉ヶ崎兄弟に協力を依頼。彼らを運転手兼案内役に任命した。

 

  「へぇ~ここが清合かぁ~。初めて来た」

  「竹山。遊びに来たわけじゃないんだぞ?」

  「分かってるよ、國吉。けど、お前だってここ来るの初めてだろ?来たことない場所だとつい周囲

 を見渡したりしないのか?」

  「どっかの田舎から一人都会に出てきた奴みたいなこと言うなよ…」

  國吉は深いため息を溢す。


  「お前等、いつまでくだらないお喋りをしてるんだ?早く菊馬を探しに行くぞ」

  都目にそう言われ、竹山が國吉に「くだらないお喋りって…ひどくない?」と小声で呟く。すると

 その返事に國吉は「早く終わらせて帰りたいだけだろ。気にするな」と言うと、都目達三人の後を

 追いかけて行く。竹山は「気にするなって言われてもなぁ~」とぶつぶつ言いながらも、彼らの後を

 ついて行ったのだった。


   

  「おい。いったいどこへ向かってるんだ?」

  案内人の二人の後ろをついて来ているだけなので、都目は自分達がどこへ向かっているのか分かっ

 ていない。それが気になった都目は雲虎に尋ねてみる。

  「山神社です」

  「じっ、神社?」

  「本当の名前は良く分からないんですけど、みぃ~ちゃんが子供の頃よく遊びに行ってたんです」

  

  その神社は山の上にあるので、雲虎は勝手に『山神社』と言う仮の名前を付けて呼んでいる。

 子供の遊び場が決して近くの公園だけとは限らないのだ。


  「あそこが山神社です」

  「…なぁ、雲虎。ちょっと聞いていいか?」

  「はい?なんですか、都目先輩」

  「俺には…目の前に山しか見えてないんだが…どこに神社があるんだ?」

  都目は山神社を必死で目で探していたが、それらしきものが見当たらないことに不安を覚える。

  するとそれを聞いた雲虎は「あぁ~そっか!」と何かを思い出し…。

  「すみません。先輩達は初めてだから、神社が見えないんだ!いやぁ~すっかり忘れてました」

  「みっ、見えない?」

  都目はなんだか嫌な予感がした。そして後ろで二人の会話を聞いていた竹山は國吉に「えっ?

 どういう意味?どういう意味?」と尋ねる。しかし、そんなこと分かるはずもなく、國吉はただ

 「俺に聞くな」と言い返すしかなかった。

  

  「とりあえず、山神社まで行きましょう。そうすれば分かるはずです!」

  「えっ、ちょっ…」

  雲虎に右手を引っ張られる都目。山に入ろうとしているが、雲虎の話を聞けば季節外れの肝試し

 に出かけているようにしか思えない。しかし、晴飛は「雲虎についていけば、大丈夫だ。行くぞ」と

 國吉と竹山の二人に告げると、雲虎と都目の後を追って歩き始める。

  

  「…どうする?國吉」

  「ここで待ってても仕方ないだろ」

  「…そうだな。行くか」

  こうして五人は、山神社へと向かって山の中へ。


  

  「着きました。ここが山神社です」

  先頭の雲虎・都目が先に山神社へと辿りつく。そこには山の外では見ることが出来なかった大きな

 社が建っていた。

 

  

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