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私の危機回避能力はあてにならない  作者:
菊馬愛咲実の成長過程ととんでもない非日常
312/362

相談相手は…瀬楽?


   

   語り手:菊馬愛咲実

   

   翌日。私は朝早くから瀬楽のいる正隊員男子寮へと訪れた。

   「…ふむふむ、なるほど。そんなことがあったのか」

   「うん」

   私の周りには大人ばかり。話しやすい相手となると…やはり美月の友達。その中で一番話しやす

  い人は瀬楽しかいない。


   「普通だったら子供がいない時にしてほしいって言いたいところだけど、一緒にいる時間が短い

  し、休みもなかなか合わないからなぁ~。宮木先輩は仕事の疲れを菊馬に癒してもらいたいんだよ。

  いろんな意味で」

   「それだったら私だっていいじゃん」

   「愛咲実、これは誰にでも務まることじゃないんだよ。いくら同じ遺伝子を受け継いでいても…

  この任務は菊馬美月にしか出来ないんだ。あと…この任務、お前にはまだ早すぎる」

   「はっ…はぁ?」

    遺伝子や任務。お前にはまだ早すぎると…私は瀬楽の言っていることが理解出来なかった。

   


   「瀬楽って好きな人いるの?」

   「いないよ。ついでに恋愛経験ゼロです」

   「自信を持って言うんだね」

   「そういう愛咲実は、好きな人いるのか?」

   「…いないよ」

   「ふむ。じゃあ、好きなタイプとかはどうだ?ちなみに俺は特にない」

   「…力持ち、な人」

   「ほぉ~…力持ちな人。それまたどうして?」

   「そっ、それは…えっと……」

   どっ、どうしよう。何か言わなきゃ…でも何て言ってごまかせば…。

   「もしかして、筋肉ムキムキなのがタイプなのか?」

   「えっ…」

   確かに私は『力持ちな人』と答えたけど、どうしてそれが『筋肉ムキムキな人』になるの?


   「ほら、なんか…二の腕が良いとか。血管浮いてるのが良いだとか」

   「…よく分からない」

   それのどこが良いのかが理解出来なかった。

   「じゃあ分かりやすく言うと…妹尾先輩と顔そっくりな姉ヶ崎晴飛先輩のような人のこと」

   「…晴飛はタイプじゃない」

   「あらまぁ~。じゃあ、弟の雲虎さんは?」

   「もっとタイプじゃない。それに雲虎は美月バカだから」

   姉ヶ崎兄弟のことは嫌いじゃないけど、好きでもない。私が好きなのは…。


   「なるほどね。じゃあ…宮木先輩は?」

   「えっ!?」

   「宮木先輩は怪力の能力者で力持ちだろ?代償はあるけど」

   「なっ、なんで隼士が出てくるのよ。隼士は関係ないでしょ」

   「まぁ~そうだな。宮木先輩は菊馬と交際してるし、いづれは結婚するだろうしな」

   「…そっ、そうだよ。二人は結婚するんだから」

   「でも、宮木先輩みたいな人がタイプなんだろ?力持ちな人」

   「…うん」

   「ふむ。じゃあ、その気持ちを宮木先輩に伝えよう」

   「えっ!?」

   「早速作戦会議を…って、俺一人じゃどうしようもないから隊長と…あとは誰を呼ぼうかな~」

   「ちょっ、ちょっと…」

   

   私は話す相手を間違えてしまったと思った。そして…事態はあるイベントに向けて進められる

  ことになる。

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