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壊レタ夏  作者: 狂風師
23/57

○だまり荘

あえて「何も注意なし」と言っておこう。


大丈夫。…じゃないけど。

 一方その頃シルファは…。



シルファ「やめて! 離してよ!」


 両手両足を銀の縄で縛られて、うつ伏せになる状態で体を固定されている。


 コンクリート剥き出しの、何も無い部屋。一箇所はガラス張りになっていて、外から見える仕組みになっている。


 シルファの周りには四人の男。


シルファ「こんな縄、簡単に…」


 思い切り力を入れて、縄を引きちぎろうとするが、一向に千切れそうにない。


男「千切れるもんなら千切ってみろよ。出来ねぇだろうがなぁ! お前を捕まえるのに、普通の縄なんか使うかよ!」


 言い終わると同時に、シルファの横腹を蹴り飛ばした。


 (うずくま)ろうとするが、床に固定されているため、それも出来ない。


 男たちはそれを合図に、シルファを殴る蹴る。


 何かが折れる鈍い音や、吐くような音。


シルファ「やめて! 痛い! ゲホッ…。痛い痛い!!」


男「何でこんな目に遭ってるのかわかるかぁ? てめぇのせいで俺達の町はやられたんだよ!」


 怒りをそのまま表したかのような蹴りが、シルファの顔面に当たった。


 床に、血と、白く尖った物が口から転がった。


シルファ「もうやめて! 痛い! やめて…!」


男「このクソ吸血鬼がよぉ!!」


 男は吸血鬼の羽を鷲掴みし、力任せに引き千切った。


 ブチッ という音と共に、鮮血があふれ出る。


 吸血鬼の少女の声にならない鋭い悲鳴が、その部屋に響いた。


男「もう片方もいらねぇよなぁ!!」


シルファ「やめて! やめて!! ごめんさない! ごめんなさい! 痛い! もうやめてください!!」


 ドンドン とガラスを叩く音。ひろし、エリー、ラグがこちらを見ている。


 『仲間かぁ? だがもう遅いな!!』


 そうでも言うかのように、まるで見せ付けるように羽を引き千切った。


 そして何も言わず男四人は消えた。魔法の一種、テレポート。


 ひろしたちは扉を見つけて、部屋の中へ。




ひろし「シルファ! 大丈夫か!?」


エリー「シルファちゃん!!」


ラグ「今、治しますね」


 皆、シルファに駆け寄り声を掛ける。


 シルファは、声を出せずに涙を流していた。


ラグ「羽や牙を完全に治すのには、ちょっと時間がかかります」















ひろし「傷はもういいのか?」


シルファ「うん…へいき」


 引きつった微笑で、全然平気そうでない声で、そう答えてみせた。


ひろし「…そっか」


 四人はその部屋から出て、宿屋を探した。


 ここら辺一帯は危ない気もしたが、仕方がない。地上への戻り方がわからないのだから。





エリー「ちょっと、離して…キャッ!」


 この間、二秒ジャスト。エリーは何者かに連れ去られてしまった。


ひろし「…あー…。まぁ、いいか」


ラグ「そんな事言わずに、助けに行きましょうよ」


 …メンドクセ…。いいんじゃないの、エリーくらい。


シルファ「めんどくさがらない」


ひろし「お前まで心を読んだのか!?」


シルファ「読まなくても顔に書いてある」


 なんだよ…それ…。


 まぁ、エリーの事は無視して、宿屋を再び探し始めた。














 しばらく歩くと…見つけたけどさ…。


ひろし「ひだま○荘 だってさ」


ラグ「……」


シルファ「どうしたの?」


 もう、つっこまない。名前なんて、あってないものって誰かが言ってたし。


 それに、休めればそれでいいし…。


ひろし「とりあえず、中に入ってみるか…」


 中に入るが…ツマラン。別に変わったところは無いし、面白くねぇな。


 …なんだ、あいつ…。


 椅子に座っている女。青髪、人間だとしたら高校生か成人ってくらいだろう。いかにもクールな感じが匂ってくる。


 本を読んでいたが、こちらの視線に気がついたのか、本を閉じてこちらを見た。


青髪「何」


 薔薇のような声。美しいけれども、(おびただ)しい数の棘があるような声。


ひろし「…いえ…何も…」


 青髪は何も答えず、また本の世界に戻っていった。


ラグ「…惚れたんですね」


ひろし「!? ラグ、お前!!」


シルファ「へぇ~。後でエリーに言っとこ」


青髪「…」


 本当にクールな奴だな。この会話聞いて、何もなしかよ。


 ところでさ、あれはどう見てもアレだよな。狐耳。

宮ちゃんかわいいよ宮ちゃん。


親友の家で読ませてもらって、ハマった。3巻までしか読んでないけど。

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