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白の女王  作者: 翠月三月
記憶の鼓動
17/17

戻りつつある記憶と…

「さて、最近こう言うの多くなりましたが。皆さん、大事なお知らせがあるのでまだ消えないで下さいね。」


とも言うが今回は誰が来るかなど分かっているわけで。


「どうせあのクソ生意気なガキンチョでしょ。」

「男にキョーミねーし。」

「ミィ…」

「浩輔…」


二人の様子に苦笑する四人。


「まぁその通りですね。さ、入って下さい。」


と、開いたドアに誰も現れない。


「ほら、たっくん!」

「だぁっおれはぜってぇ入んねぇ!!」


桃華に引っ張られるも、尚も抵抗する少年。


「…えー、如月桃華さんと、四元よつもと大河たいが君。今までとは違い低年齢層の子達ですね。」


と、水菜がすぅっと目を細める。

すると。


「ぎゃっ!?」

「ふぁ!?」


水菜の隣に桃華が、皆が座る後ろに大河が落ちる。


「ふぁぁぁ…瞬間移動テレポートだぁぁぁ…」

「いってー!!」

「うるせぇ。」

「元気だねぇ。」

「喧しいだけだろ。」

「えー、一応お二人にも制服が届いてますので着替えて訓練所集合ですよー。」

「待て!おれは!!」

「…オージョー際が悪いの。」

「うるせーよ!オタンコモモ!」


この後、無言で大河を踏みつける水菜がいたとか。


◇◇◇


「訓練所、ですか?」

「えぇ、そうですわ。」


あっさり着替えた桃華に対し、大河は浩輔達に無理矢理着替えさせられていた。


「…」


並んで話す水菜と桃華を見て、時津は画面を操作しながら切ないような悲しいような表情を見せる。


「…時津さん?」

「…」

「トッキー!」

「ふはぁ!?な、なななんですか!?」

「珍しいね、考え事?」

「そ、そうですね。…今回はいつもより自信が無いんですよ…」


そう俯く時津に心配げに駆け寄る桃華。

勿論水菜以下浩輔達は怪訝な顔をする。


「なんせっ!!」

「ふぁ!?」

「おっと、失礼。なんせっこの度のトッシー君は製作に時間が掛けられませんでしたから!!!」


バーンと登場するトッシー君。


「「ふおおお!!」」

「その名も!」

「はいはいトッシー君4世でしょ。」

「あ、この前ミィが瞬間で倒したの三世君だったね!」

「…………………」

「本当に一瞬だったよね。」

「ミィお前本当に制御付いてる?」

「付いてるわよ。大体あれの止めこーすけじゃない。」

「…そうだったっけ?」

「見事なカマイタチでしたわねぇ。」

「もう少し鋭く出来そうじゃないか?」

「そーだな。やってみっか。」


と、瞬間でトッシー君は消えていく。

床に倒れ涙を流す時津を、呆れた目で見る大河と撫でる桃華。


「ほら、トッキー。」

「…はいぃ?」

「次の訓練、あるんだろ?」

「サクサクっと終わらせよー!」

「そうそう。」


ニッと笑って時津を呼ぶ水菜達。

そして笑顔で水菜の元へ駆けていく桃華と文句を垂れながら同じく皆の元へと歩く大河。


「…」


時津の脳裏にいつかの光景が浮かんで消える。


「(あの頃には戻れない…ですが…今度こそ、この場所だけは…)いやぁ結構結構。では出力5倍くらいにしましょうか!」

「「ふざけんなこのメガネ悪魔ー!!」」

「はい、水菜さんと浩輔君は10倍ですね!」

「「こ、こいつ…」」

「時津さん復活だね。」

「ですわね。」


この後、腹いせに虐められる大河の絶叫が響いたとか。


◇◇◇


昼食が終わり思い思いに過ごす水菜達。

そこでは鍛練と称した浩輔による大河いびりが繰り広げられていたが。


「少し良いかな?」

「はい?えとどちら様…?」


突然訪室してきた、優しげな風貌の男。

水菜にはその顔に見覚えがあった。


「エリートコースの先輩が何の御用?」


水菜の言葉に優しげな風貌の男は笑みを崩さず振り向いた。


「いやぁ、ノーマルの特別クラスってどんなものかと思ってね。突然押し掛けてすまなかったね。取り込み中だったかい?」

「いいえ?」

「そうか。それならこのまま見学させてもらおうかな。良いかな?」

「お好きにどうぞ。」


笑みを崩さずに言った水菜に、その隣に座る優男。


「そちらの方も入ればよろしいじゃありませんか。」


水菜の言葉に驚く全員。

そこには優男も含まれていて。


「へぇ、アイツに気付いてるとは流石は女王クイーンだね。ほらお招き頂いたんだ。入りたまえ。」


優男に促され入って来たのは入り口よりも大きい体の男。


「しかし…正直驚いたね。」

「何がです?」

「君の様な人がまだこの…掃き溜めに居るとは、ね。まさに掃き溜めに鶴だ。」


その言葉にカチンときたのは浩輔達。

だが水菜はそれを笑って流した。


「あら、冗談が御好きなんですね。」

「冗談では無いさ。君なら…そうだね、きっと僕の側に居るに相応しい人間になるだろうね。」


見るからに水菜に色目を使っている。

それを見て面白くないのは何故か浩輔。


「ふふ、またご冗談を。」

「冗談では無いさ。君なら…」

「…そうね、冗談ではないわよね。」

「…は?」

「幾らなんでも、自分の国を貶められて、はいそうですかとむざむざ格を下げるなんて冗談…有り得ないにも程がある。まぁ最も、あなたがエリートコースの王だと言うのなら話は別だけれども。」


明らかに嘲る水菜。

それに気がついたのであろう、顔を赤くする男。


「悪いけど、私格下と思った男とは付き合わないの。一応これでも女王だから。」


ギンと睨まれた男は水菜の迫力に圧される。


「〜〜っ!!帰るぞ!」


さっさと歩いていく男に大男はまだそこにいる。


「…帰ったら?」

「…聞かないのか。」

「聞いて答えるならもっと早い段階で伝えに来るでしょ。」


さっきとは売って変わる水菜。


「さっさとしろウスノロ!!」

「む、」

「…木偶の坊とどっちが好み?」


少し振り向いた水菜の表情はどこか楽しげで。


「…エリートコースにも敵がいる。もし俺に何かあれば即座に赤と黄の施設へ行け。俺が言えるのはこれだけだ。」


その言葉に大河と桃華だけが疑問符を飛ばしている。


「…最後かもしれん。会えて良かった。水菜、桃華。名前はいつか思い出してくれればいい。」


少し笑った大男はのそりと出ていった。


「お、お姉ちゃん…」

「カマかけただけだったのに随分と聞けたこと。」

「ミィお前…」

「…私達を中心に何か起ころうとしてる。でも今の話しはどう考えても身内の話、とは違いそうよね。」

「そうだね。それも敵は黒って事だし。」

「なんで?」

「お前バカか!?何かあれば即座に赤と黄の施設へ行けなんて敵対してたら言わねぇだろうが!」

「う、うるせーよ!んなこと分かってる!」


ぎゃいぎゃいと喧嘩を始める二人を他所に夏弥が水菜に問うた。

それも通信で。


『水菜。』

『何?しかも通信でなんて。』

『わたくし少し気になることが。』

『…エリートに当てられたノーマルの不穏分子?それともトッキーの変な様子?』

『どちらもですわ。』

『トッキーには心当たりがある。不穏分子についてはまたおいおい…』


水菜はまた読んでいた本を持ち上げる。


『よろしいんですの?この中にだって…』

『…夏弥、私はせめて身の回りの人くらい信じたい。…自分を信じきれてないヤツが勝手だけど。』


その言葉に夏弥は心の中で笑みを溢す。

夏弥もまた、薬作りを再開する。


「それはそうと…数学って今日まだだよね?」


秋の言葉に水菜は本から少し顔を上げた。


「…忘れてたわ。行くわよ!!」

「ほぇ!?」


水菜の号令の後全員が消えた。


「なんっなんだよー!!」


大河だけを残して。


◇◇◇


「うっぐす…」

「たっくん、もう大丈夫だよ。」

「泣くほどの事か?」

「うるせぇ!!」

「でもあれは拷問に近いよね。」

「だねぇ。」

「暇すぎて拷問に近いからね。」

「それはあんただけでしょ。」


遼の言葉に水菜が突っ込む。


「ま、一緒に逃げたきゃ普段から態度に気を付ける事ね。」

「なっなんだよ!お前なんかお前なんか!!」

「…こいつの10年前が見たい。」

「…分からなくも無い、かな。」

「お前なんかただの化け物じゃんか!!」


凍り付く部屋。

更に不穏な空気が浩輔によって醸し出される。

が静寂を破ったのは浩輔ではなかった。


「たっくんの…バカー!!」

「ぐふっ!?」


側にあったクッションで殴るのはあの大人しい桃華。


「お姉ちゃんはモモのお姉ちゃんなの!!いくらたっくんでもお姉ちゃんにそんなことゆーの絶対にゆるさないんだからーー!!」

「ぐふっ…ぼはっ」

「…意外と過激だね。」

「でもなんでお姉ちゃんなんだろうね?」

「それが分かりゃ苦労しない。ほら桃、それくらいにしときな。」

「ぷんっ!!」

「あ、止まった。」

「まぁ、ちょっとは成長してんじゃない。泣き虫モモとはもう呼べないわねー。」


落ちた本を拾い座りながらまた開く水菜。

その言葉に全員が水菜を見て止まる。


「あ、そうそうお姉ちゃん!今日ね、菜の花見つけたの!ほら!摘んできたの!昔より綺麗に摘めたでしょ?」

「そうね、と言いたいけど。そこ握ってると青虫が手に乗るわよ。」

「っ!!ひにゃあぁぁ!お姉ちゃんとってー!!」

「やあよ。摘んできたのあんたでしょ。自分でなんとかしな。それに綺麗なチョウチョ見るんでしょ。」

「お姉ちゃんの意地悪ーー!!」


えぐえぐと震える桃華の手から菜の花を奪い上げる浩輔


「ミィさんや。」

「なんですかこーすけさん。」

「今のやり取り、昔してたんじゃありませんかね?」

「「ん?」」


半眼で浩輔を見る水菜と首を傾げる桃華。


「昔よりって桃ちゃん言ってたよ。それにミィも見るんでしょって。」

「…」

「おー、こりゃ無意識の様だな。」

「全部記録しておいてあげようか?」

「「皆で!」」


遼の言葉に秋と夏弥が同時に楽しそうに言う。


「あのねぇ…っ!!」

「お姉ちゃん!?」

「おい!?大丈夫か!?」

「大丈夫…」


そう言う水菜は顔の半分を手で覆い、苦しげな表情を見せる。

そしてまたフラッシュバック。


『はい、今日の泣き虫回数こーしん!』

『ふぇぇぇん!』

『お前なぁ。』

『む、泣くなモモ…』

『つよしがこまってんじゃーん。』

『お前がそもそもの原因なんだよドアホ!!』

『ぐふっ』

『む、水菜。女の子がそんな言葉を使っては…それに跳び蹴りも良くない…』


顔は子供だが確かに先程見た大男。

そして。


『うぇぇぇんおにーちゃーん。』

『ほら、ダメじゃないか。この青虫だってちゃんと生きてるんだよ?』

『でーもー!』


その光景に勢いよく立ち上がる水菜。


「ミィ!?」

「う、うそ…でしょ…」


『ほら、な?こうして見たら青虫だって可愛いだろ?』

『かわいくないー』

『ふふ、これがサナギになって暫くしたら綺麗なチョウチョさんになるんだよ?』

『チョウチョさん!!』

『そうだね、今日から一緒に…』


小さい桃華を抱き上げる少年。

間違える事がないその人は。


『成長記録でも付けようか。』

『出たよ翔兄さんの理系癖。』

『水菜もどうだい!?楽しいよ!!』

『結構!私は漢文読むのに忙しい!』


「…トッキー!!」

「は?」


そう叫ぶなり走り出す水菜。

だが普段いる筈の担当室にいない。


「ねぇ!トッキーは!?」

「班長?班長ならさっき総帥に呼ばれて出ましたよ?」

「!!」


遅れて全員も合流する。


「遼!総帥の部屋どこだっけ!?」

「そ、総帥の!?」

「良いから、早く!」

「総帥のお部屋はこの棟の最上フロアの奥ですわ!」


と、何かを悟った夏弥が答えると水菜はそのまま全員を連れて最上フロアへ飛んだ。


全員がドアを確認するその瞬間。


ドオン!という音がその扉の向こうから聞こえる。

それに急いでドアを開け放つ水菜。

そして叫ぶ。


「翔兄さん!剛兄さん!」


水菜の言葉に驚く間も無く、全員がその光景に言葉を失う。

倒れる血まみれの総帥と大男。


そして大きく開いた穴と…

そこにいる人物を確認した水菜は叫んだ。


「翔兄さんを離しなさいよクソババア!!」

「み、水菜…ダメ、だ…」

「ふん、相変わらず可愛くないガキね…まぁ良いわ。返して欲しかったら付いて来なさいよ。付いてこれるならね!!」


時津を鎖で縛る女が指を鳴らせば白い制服の生徒が何人も現れる。


「操られただけのその子達にあんたが勝てればの話だけどねぇ!!」

「ぐっ…」

「待てっ…」


追い掛けるも虚ろな目の生徒に阻まれる。


「翔兄さん!!」

「み、ずな…も、も…」

「じゃあねぇ、優しい優しい水菜ちゃぁん!!精々苦しんで頂戴な!」


そう言って女は時津と共に消えた。


「水菜!」

「ちっ仕方ない!」

「っ!ダメだよお姉ちゃん!!それは!!それだけはダメってお兄ちゃんが!!」

「桃ちゃん!?」


桃華の制止も虚しく水菜は両手を勢いよく上げた。

すると…


「止まってる?」

「ぅ…ぐっ!!」

「お姉ちゃん!!」

「早く、総帥と…兄さんを…あと、この中で動けるのは操られてない人だから…早く集めて!!」

「その必要はありません。水菜さん時間操作を止めてください。」

「!?」


苦しみながら言った水菜に必要はないと言い放ったのは先程の優男。

それも先程とは違う態度である。


「何言って…」

「良いから。記憶が戻りきっていない二人にこれ以上は危険だと言うことです。さ、早く。」


とりあえずどうとでも対処できる様に浩輔達が身構えながら、水菜は手をくるっと振った。

その瞬間、一斉に襲い来る生徒達。

と、いきなりパァンと音がしたと思えば倒れる生徒達。


「な、に…」

「まずは総帥と剛さんを安静にしてからにしましょう。詳しくはそれから。」


その言葉に水菜は二、三度深呼吸すると一気に力を使い倒れた全員と自分達を第六研究棟まで飛ばした。








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