王宮での出来事
アナスタシアは王宮で起こった出来事を途切れることもなく話してくれました。
王宮で侍女として働いていたアナスタシアですが、アナスタシアはここ最近で王宮で少し変な動きが見られ、独自調査をしておりました。
すると、その動きとは隣国のリンネ国がオルガ国に戦争をしかけようとしていることが分かったのです。
そのため、更に詳しく密猟目的で様々な国に争いを仕掛けるために軍事品や軍隊を増加していることが分かりました。
それからというもの、様々な予測をして相手の攻撃に備えるのに大変だったと言います。
実は王宮に乗り込んできた魔法使いや兵士はわりと手がかからずに捕らえることが出来たとのことでした。
ここまでは王宮でもこっちの戦いと同じように大変だったのだなと聞いていたエラ達ですが、次に耳を疑いたくなるようなことを言い放ったのです。
「それにしても私が王太子妃候補になっただなんて未だに信じられないわ」
3人は驚きを隠すことが出来ませんでした。
理解が追いつかずに何故そうなったのか同時に質問してしまいます。
「実は今まで言っていなかったけれど、私は昔から少し先の未来を見ることが出来たの。いわゆる予知夢ってものよ。私は今回それを駆使して手助けしたからだと思うわ」
「それってお姉様も聖女ってこと?」
「ええ、私もロゼリアと同じく聖女よ。貴女とは能力は違うみたいだけど」
エラは驚きはしたものの、アナスタシアは昔から先のことを見据えて対策することが大変得意であったため納得はしました。
前公爵夫人と聖女の話をした時に、2人が聖女みたいと言ったことを思い出したが、まさか本当にその通りだったようです。
「アナスタシアお義妹様、もしかしてリンネ国の軍隊が2日後に来るって分かったのもお義姉様の予知夢のおかげなの?」
「ええ、そうよ。だから急いで連絡をしてもらったの」
あの時は何故そんなことが言えるのか、また何故当たったのかエラには全く分かりませんでしたが、予知夢のお陰と言うのであれば納得がいきます。
あの時教えてくれなければ、最初から参戦することは出来ませんでしたし、また突如戦争が始まると、始まったことが知らせることを出来なかったかもしれないと思うと、エラはアナスタシアに教えてくれてありがとうとお礼を言っていました。
アナスタシアは笑みを浮かべながらも、伝えたのは殿下だけどねと返しました。
「でもよく分かったよね、聖女だって。普通なら勘の良い子にしか思わない気がするけど……」
「どうやら舞踏会の時点で、私に元々力があることは分かっていたらしいです。だだ、その時点では何者かよく分からなかったみたいで……。だからこそ私がどんな存在であるか突き止めるために侍女として採用したのだとか。何だか上手くいき過ぎているとは思いましたけど……」
継母は素朴に思ったことを尋ねると、アナスタシアは顔を暗くして返答します。
エラ達は、その返答と表情からアナスタシアが自分の能力を買って採用されたわけではないことを悲しんでいることがひしひしと伝わってきました。
「それにしても皇太子妃候補ってことは、決定事項ではないのね」
「そりゃこの状況ですぐに決められるわけないもの。殿下からも前々からアプローチはされているけれど、最近は王妃様からも王太子妃に推されしまって……。何だか逃げられない状況になっていると言うか……」
「それほぼ決定事項みたいなもんじゃない」
ロゼリアは現在の状況を尋ねますが、ほぼアナスタシアが王太子妃になる話が進んでいるようで開いた口が塞がらない状態になってしまいました。
エラもまさか義姉が王子とそのような仲になっていたとは驚きましたが、自分がヴィオルに求婚された時と同じような気持ちと似たようなものなのかなと実感します。
「アナスタシア、貴女はこのことについてどう思うの?」
「そうですね…………正直身分や責任なども含めて不安だらけというか……不安しかないですが、それでも完全に拒否しているわけではないです」
「それは受け入れるということなの?」
「はっきりとは言えません……まだ自分の心が整理出来ていないのです」
継母はアナスタシアに今の気持ちを尋ねますが、アナスタシアはかなり迷っている様子でした。
エラはヴィオルに求婚された時と同じような気持ちで、きっと王子を嫌っているわけではないけれど、その後の立場と重い責任に不安を覚えているのだろうということが理解できました。
エラは少しでも不安を除いてもらおうと口を開きました。
「私はヴィオルの求婚について相談してもらった時アナスタシアお義妹様に、王族との婚約は貴族以上に解消することは出来ないからオススメしないと言われたわ。だからヴィオルと結婚するのはやめようとも思ったけど、それでも結婚することを決めたの」
「やはり、ヴィオル卿と結婚するの?」
「うん。もうお互いに約束したから」
そう言えばまだそのことを話していなかったと今思い出しましたが、そのことをこの場でしっかりと告げました。
あんな半ば脅しの形でなったことは口が裂けても言えませんが――。
それでもお互い想い合っているのは間違いありませんし、どんな形でも約束はしたことには間違いないので平然とした態度で話を続けました。
「私はアナスタシアお義妹様に覚悟があるなら大丈夫だと思う。それに賢明で行動力もあるお義妹様だから王太子妃もいけると思う」
「エラちゃんは、私に王太子妃になって欲しいの?」
「私だけの気持ちで言うと『はい』。実際に向いていると思うし、それに何より嫁いでも近くに家族がいるのは心強いもの」
「エラちゃん、後者の方が本音でしょ」
「違うわ。前者だって本音だもん」
エラは思ってもみないところで疑いをかけられ、頰をぷくっと膨らましますが、その様子にアナスタシアは微笑んでおりました。
「エラちゃん、助言ありがとう。1つ気になることがあるのだけれど聞いても良いかしら?」
お礼を言った後、すぐに真顔に変えてエラに質問してきたアナスタシアにエラは勿論と大きく首を振りながらも、内心は何なんだろうと疑問に思いながら質問を受け入れることにします。
「王族に嫁ぐことになるのに、どうしてそこまで不安な要素を見せずに、笑顔で自信に満ちているの?」
エラはその質問に一瞬何でだろうと考えますが、すぐにピンとくる答えが見つかり、それをそのまま答えました。
「それはヴィオルのことを信じているからだと思う。彼と一緒ならどんなことがあっても絶対大丈夫だって思うから」
前にも何処かで似たようなことを言ったことがあったような気がしましたが、やはりこの答えが1番しっくり来るなとエラ自身も納得しました。
「信頼…………。分かったわ。教えてくれてありがとう」
「どういたしまして。アナスタシアお義姉様、どうか真剣に考えてね」
アナスタシアは返事はせずに、再び信頼という言葉を繰り返して考え混んでいました。
エラは逆に混乱させたかもと不安を覚えながらも、伝えたいことをはっきりと言うことが出来て安堵したのでした。




