ドラゴンと最終決着
2人は最初の時のように、まずは離れてドラゴンの様子を伺います。
相変わらず気性は荒いようで、なかなか落ち着く気配がありません。
このまま待っていたらいつになるか分からないので、ドラゴンが少し落ち着いたところで、2人は一気に近づきました。
そして、真横に来た瞬間エラは魔力の核に向かって矢を放ちます。
すると、ドラゴンは案の定大暴れをして炎を吹き始め、矢は炎に飲み込まれていきました。
その間に2人は移動して、エラは急いで弓を構えます。
ヴィオルはエラに準備出来たか尋ね、エラがお願いと言ったのを確認し、そしてガードを解こうとすると、ドラゴンは頭を真正面に向けており、2人に向かって炎を吹き始めました。
これでは弓を放つことが出来ません。
そのため、ヴィオルは一旦ドラゴンから離れました。
「エラ、ごめん。無茶振り言った」
「そんなことない。やってみる価値はあったわ」
ヴィオルは自ら提案したことを、エラに不安ながらやらせたのにも関わらず失敗し、その上大事な矢を1本を失ってしまったため、大変罪悪感を感じておりました。
余計なことを言わなければよかったと後悔しているのです。
またエラはその様子のヴィオルを見て、エラ自身も申し訳なくなりました。
自分が失敗しなければ、ヴィオルをここまで落ち込ませることはなかったのにと後悔しました。
しかし、このまま落ち込んでいては、魔力の核をいつまで経っても破壊することは出来ません。
エラはどうすれば良いのか考えをどうにかして捻り出そうとしました。
そして、やはりこれしかないとヴィオルに無茶振りを言いました。
「ガード無しで、強行突破するしかないわ!」
「死ぬ気か!?」
ヴィオルはエラの発言に驚いて、思わず突っ込んでしまいます。
あの距離で撃てば、どう考えても炎は当たります。
そんなの自ら死にに行くのと同じでした。
「勿論最初はガードをしてもらうわ。そうでないと死んでしまうから。でも、次は私に許可を取らずに、炎がその場ではかからない位置に来たら、すぐに解除して欲しいの。その間私は絶対新たな構えをしなければならないから」
ヴィオルは最初からガード無しでやるわけでないと聞き、ホっとするものの、やはり不安は隠せません。
しかし、エラが1度決めたことは曲げないのはよく分かっておりますし、またそれ以外方法はないかと思い、ヴィオルは分かったと頷きました。
「もし失敗したらごめんね」
「そんなこと言うな。今度は絶対成功する。自分と俺を信じろ」
「そうね。次で本当に決めるわ」
ヴィオルは姿勢を直し、エラは弓を構え、また次の弓を少しでも早く取れるような位置に調節します。
準備を終えた2人は、まずやはりドラゴンの様子を見ます。
先程よりも気性が荒い気がしましたが、2人はもうやるしかないと、ドラゴンに一気に近づきました。
先程よりも少し早いですが、真横に来た際にエラはすぐさま矢を放ち、そしてヴィオルは移動しながらすぐさまガードを張りました。
その間にエラは新たな矢を取り出し、弓を構えます。
ヴィオルは炎が当たらない位置に来た瞬間ガードを外し、エラが撃つのを待ちました。
エラは弓をしっかりと構えて、今だと自信満々に矢を放ちました。
ヴィオルは撃ったのを見て、すぐさまにガードを張り、後ろへと下がります。
パリン!
エラが撃った矢は見事に魔力の核のど真ん中に当たり、大きな破壊音が聞こえました。
魔力の核はビキビキと音を立てながら、大きな光を放ちます。
そして、その光はエラ達がいる正反対の方向へと一直線に飛んでいき、ドラゴンの首の周りには魔力の核が完全になくなりました。
その時に、グゥアーという大きな叫び声が聞こえましたが、2人はそれどころではありませんでした。
魔力の核がなくなったせいなのか、ドラゴンはバランスを崩し、倒れそうになったのです。
ヴィオルはすぐさま、影の魔力を使い、ドラゴンをリラックスさせます。
先程の魔力の核が無くなったことで、ヴィオルがかけた魔法も効くようになりました。
ドラゴンは疲れたのか、体を丸めて、その場の大地で眠り始めました。
「ドラゴン、疲れたみたいね」
「操られていたからな。休ませてあげよう」
エラはドラゴンが無事で、そしてみんなが無事で心の底から安心しました。
やはり、ドラゴンの首ではなく、魔力の核を撃って良かったと笑みを浮かべます。
ヴィオルも無事に魔力の核のことは解決して安心しました。
「エラ、これから俺は黒幕を追いかけるけど、ついてくるのか?」
「黒幕?」
「魔力の核でドラゴンを支配し、混乱に陥れた奴だ」
魔力の核を破壊したことで、もう終わった気になっていたエラですが、ヴィオルに言われ、まだこの戦いは終わっていないことに気付かされました。
先程の笑みは消え、エラの顔が一気に青ざめてしまいます。
「黒幕を追いかけなければならないのは分かるけど、何処にいるのか分からなくない?」
「大丈夫だ。魔力の核は、本人に帰るからな」
「魔力の核が行った方向に黒幕がいると言うこと? もしかして、さっきの叫び声って黒幕?」
「そう言うこと。あいつは巨大な魔力の核を浴びたはずだから、力が出ない。そう遠くは行ってないはずだ」
「行くわ。今すぐ追いかけるわよ」
「やっぱり行かないという選択肢はないのだな」
「当たり前でしょう。絶対に許すもんか!」
2人は再び箒に乗り、魔力の核が行った方向へと進んで行きました。




