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人機のアストライア  作者: 橘 雪
EP3『オペレーションライトニングストライク』

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32/129

32: EP3-8 ブロークンソード─星の神として

それはある種の誓いである

コロニー協定連合体 "CAU"

ライトニングストライク作戦 ─ ブロークンソード作戦

1日目

西暦3020年3月18日、協定宇宙時(STC)18:49

火星(マーズ)近傍宙域、CAU-ESF艦隊交戦宙域

CAU艦隊後衛、セイバー第2艦隊



──Side: ウィルクス


「敵バトルワーカーへ弾幕を張り続けろ! 対空砲火、主砲、なんでもだ! 絶対に穴を塞がせるな!」


チャンスを逃せば恐らく2度はないだろう。

幸いにも、今のところクロノスはいない。

...シオンハートも見当たらないから...恐らくは一緒にいるだろう。


「RTSガンマより通達、艦隊長、第3艦隊は前進し突破口をこじ開ける準備に入ります。」

「分かった。 通信科、第1から第3分艦隊に通達、第3艦隊正面の敵バトルワーカー隊に順次砲撃開始。 第4以降は目標継続。」

「了解。」


私の第2艦隊は最終プロトコルの1つであるアポリオンを始動した。

絶対なる破壊者だ。

持てる全ての限り、敵を滅殺する。

平和な時代が続けば決して使うことはなかっただろう。


ふと通信モニターにあまり見ない相手から通信が入った。

白いツインテールに青い目が印象的な迷彩服の少女。

...何のつもり?


『やぁ... ウィルクス。』

「スノー... 急に何の用だ? 知っているだろうが、こちらは取り込み中だ。」

『そりゃあもちろん。 ただね、伝えることがある。 私だって暇じゃないからね。』


...なら早く用件に入って欲しいものだが...

そう考えたのが伝わったのか、画面の先の相手が話を続ける。


『これを見てほしい。 こっちの偵察隊がデイモスらしきバトルワーカーを確認した。』


送られてきたのは...

敵機らしき画像。

黒く刺々しいデザインに、肩には悪魔を象った記章。


『連中は...言うなればエリートだ。 シオンハートとか、マルコシアスとか、えーっと...ほら、なんて言ったっけ。』

「ローランド、ローランド・エリソンか?」

『そうそれ。 そこらへんなら苦でもないだろうけど、他にとってはそうもいかないからね。 警戒したほうがいい。』


...この迷彩服を着た少女の皮を被った何かが...素直な忠告とは珍しい。


「分かった。 スノーがそこまで言うのなら警戒に値するだろう。 忠告感謝する。」

『んまぁ... そう気にしないでいいよ。 ところで...代わりじゃないけど、後で直接見せてくれないかな?』

「何をだ?」

『えーっと...耳...それと...ほら。 言わない方がいいかな?』

「...」

『...』

「待ってくれ。 どこでそれを。」

『え。 どこって... そりゃあ...』

「覗いたのか?」

『いくら自分の部屋だからって無防備すぎる。 以上。』


スノーが早口に告げ、そのまま通信が終了した。

一方的に...

...後で問い詰めよう。




『敵バトルワーカー撤退を開始!』

『待て! 妙だ... 引き際が良すぎる。』

『嫌な予感がするな... 周囲を警戒しようぜ。』


ピックアップされた友軍の通信が聞こえてくる。

...確かに妙だ。

まだ敵機に十分な損害は出せていない...


「艦隊長、レーダーに反応。 敵機のうち6機が撤退する他敵機と対照に突出してきています。」

「やはりか... 通信科、RTSガンマへ通信開け。」

「了解。 ...通信開きます。」


すぐにエンスウェンが出る。


『どうしたウィルクス?』

「エンスウェン、こちらに向かって突出してくる敵分隊は分かるな?」

『あぁ。 もちろんこちらのレーダーにも捉えている。 だが、それがどうした?』

「つい先程だが、スノーから連絡があった。 デイモスのバトルワーカーが接近している。 恐らく今突出してきているのがそうだろう。 ネイヴィガーをぶつけてくれないか?」

『ネイヴィガーをか? ...分かった。 相手が相手だな。 だが...』

「だが?」

『...リグのことが気がかりだ。』

「...大丈夫だろう、きっと。 マルコシアスはそんな奴じゃないだろう?」

『...だな。 よし、すぐにネイヴィガーを動かす。 情報感謝する、ウィルクス。』

「こちらこそ。」


通信が終了した。

マルコシアス...


「艦隊長、前衛、第3分艦隊より通達。 艦隊のクールダウンのため一時後退します。」

「分かった。 第2分艦隊を一部割り当てて対処する。 通信科、通達しろ。」

「了解。」


敵艦隊は順調に数を減らせているはずだ。

これ以上の不必要な犠牲はもう見たくない。


そうでなければ...きっと笑われてしまうだろう。

ウィルクスとしてではなく...


「さて...これからが正念場だ。 上手くやってくれ、マルコシアス。」






───FFRよりHQへ、現地より戦況報告


交戦開始より約2時間半経過

CAU艦隊損耗率 ─ 18%

ESF艦隊損耗率 ─ 15%


CAU ─ 依然として微速前進中

ESF ─ 前線部隊が僅かに後退、イージスを喪失


戦況、イージス撃沈以降、依然として停滞中

戦況の打開には更なるブレイクスルーが必須と推測

現時点でのJF投入は不必要


───FFR、通信終了

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