29: EP3-5 セイバー第2艦隊
29話へようこそ
状況は思わしくない...ならば?
コロニー協定連合体 "CAU"
ライトニングストライク作戦 ─ ブロークンソード作戦
1日目
西暦3020年3月18日、協定宇宙時17:12
火星近傍宙域、CAU-ESF艦隊交戦宙域
セイバー第2艦隊、艦隊前衛
『セイバー第2艦隊』はCAU艦隊の要でもある
『RTSベータ管制よりアルティアへ、正面右方、72度方向の敵駆逐艦へ集中砲火せよ。 座標を送信する。』
『了解、アルティアよりRTSベータ艦橋へ。 艦隊長、敵兵器の割り出しは?』
『ウィルクスよりアルティア、現在最終特定中だ、被害艦の位置と予測地点の測量を実施中。』
『了解、戦闘を継続。 アルティア、アウト。』
セイバー第2艦隊、それすなわち、CAU最強の遠距離艦隊だ
艦隊の大半が長距離から超長距離の攻撃に特化した艤装であり、その射程は今戦いのESFをも軽く凌駕していると言えるだろう
第2BW大隊も大隊長をはじめ、多数の遠距離攻撃機が所属している
さすがに大隊長機アルティアの120mm機対艦レールガンクラスを搭載している機体はいないにしろ、第3世代BWのライラ・ジーナ砲撃戦機の105mmや第2世代BWのスコルピオンⅡの150mmの大型機対艦砲をそれぞれが敵艦隊へ向けていた
『アルティアより第2砲撃小隊、指定座標の敵艦に集中砲火して。 第1砲撃小隊は指定エリアへ制圧砲撃。』
指揮を執るルプスレフィアの顔はいつになく引き締められており、その口調、態度にも普段の面影は少ない
これこそがルイナ・ルプスレフィアが大隊長である理由だろう
...でもこれ本当にちゃんと理解してるのだろうか?
『第2中隊、状況は?』
『中隊長よりアルティアへ、前線にしては気楽なもんです。 何でか知りませんが敵には遠距離攻撃機があまりいないようですよ。』
『遠距離攻撃機が? ...まぁ...いないならいないで楽でいいでしょ?』
『それもそうです。 今のところは増援も必要ありません、交代要員に取っておいてください。』
『了解、頑張って。』
...本当に分かってるの...?
─Side: ルイナ
「...よし、命中!」
んー...
でもやっぱり、ESFのは頑丈。
そう簡単には落ちてくれないか。
『ウィルクスよりアルティア、どうだ? 敵艦隊は。』
艦隊長から通信だ。
「艦隊長、ええと...」
こんな時だし、真面目に、まじめに...
『そう固くなるなルイナ。 ...緊張しているのか?』
「...ちょっとだけ。」
やっぱりバレちゃうよね。
艦隊長は、お姉様は私のことはなんでも知ってるから。
表情は冷静でいようとしても、やっぱり。
『いつも通りでいいんだルイナ。 私がいるだろう?』
「うん... 分かった。」
『いい子だ。 それで、どうだ?』
どう...かぁ。
「えーっと、動きは確かに遅いけど...やっぱり頑丈だよ。」
『だろうな。 さすがにアルティアの120mmだろうとそう簡単ではない。 だがルイナ、嫌がらせ程度でも敵の動きは鈍る、それに、砲にでも当たれば装甲よりかはヤワだから十分なはずだ。 そのまま頼むぞ?』
「分かった、艦隊長。」
『あぁ、無事に事が終われば... また愛し合おう。』
「...うん。」
艦隊長の期待には、答えなくちゃね。
─Side: アリア
「通信科、傍受は上手くいっているか?」
敵の超長距離兵器は恐らく敵艦隊内に、索敵艦がいるはずだ。
つまり、敵艦隊から火星方向に送られている通信波の傍受で三角測量できる可能性がある。
「敵艦隊にも電子戦艦がいるようで難航していますが... 幸い火星方向との通信波が複数キャッチできています。 ですが、通信先の特定にはしばらく時間がかかります。」
「分かった、続けてくれ。それから、第3艦隊に繋いでくれ。」
「了解、エンスウェン艦隊長に繋ぎます。」
エンスウェンの第3艦隊はだいぶ前に進んでいる。
想定以上に正規軍に被害が出ている以上、第3艦隊も前衛に出なければ戦線が持たないのだ。
「RTSガンマ、通信開きます。」
モニターに映るエンスウェンの表情はまだ余裕そうだが...
『RTSガンマ、エンスウェンよりウィルクス、どうした?』
「いや、艦隊はどうだ?」
『こう言っては何かだが...正規軍を盾に被害を減らしている。 だが、その分正規軍の被害は拡がりつつある。 ...これ以上時間がかかりすぎればブロークンアロー、ブロークンフォートレスの遂行に影響が出る。 ウィルクス、長距離兵器へのカウンターは恐らく第2艦隊でなければ無理だ。 それにこちらもそうは持たない。』
「...可能な限り急がせる。 だが...」
『だが?』
「...第2艦隊の搭載兵器に、現地点から火星軌道を攻撃できるものはない。」
もし...火星軌道に敵兵器があったら...
『可能な限り、前線は押し上げよう... だが...』
「分かっている。 最悪、手段は選ばないさ。」
出来ることならば、犠牲は増やしたくないが...な。
「ブラック君、戦況は?」
「若干ですがESFが優勢です。 CAU艦隊の現有戦力では突破は厳しいかと。」
「...ふぅん。 面白くないね。」
「面白くない、ですか?」
「そう。 別に最悪CAUが負けるのは構わないんだ。 最終手段ならあるからね。 でも、今負けられると面白くないんだよね、これからだって言うのにさ?」
「...で、ですが...」
「まぁ、たまにはさ。」
「ちょーっとだけ、手、入れちゃおうかな。」




