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人機のアストライア  作者: 橘 雪
EP3『オペレーションライトニングストライク』

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28/127

28: EP3-4 ネイヴィガー

28話へようこそ


兵士達にも...個性がある

コロニー協定連合体 "CAU"

ライトニングストライク作戦 ─ ブロークンソード作戦

1日目

西暦3020年3月18日、協定宇宙時(STC)16:15

火星(マーズ)近傍宙域、CAU-ESF艦隊交戦宙域

セイバー第3艦隊、第3バトルワーカー大隊、ネイヴィガー隊


『ネイヴィガー』隊が位置に着いた


時間は少しだけ遡り...

セイバー第3艦隊、BW大隊長麾下の『ネイヴィガー隊』はCAU陣営の最前線へ移動していた


『ネイヴィガー隊』

それは、大隊長であるリグ・マルコシアス率いる第3BW大隊最強の部隊だ

エンスウェン艦隊長直属の部隊であり、第3BW大隊本隊とは独立して行動する一種の特殊部隊であり、その人員は超がつくほどのエリートでありながら、ある意味で『問題児』の集まりでもあった


『誠実な獣』リグ・マルコシアスが隊に通信を開く

『ネイヴィガー各員、調子はどうだ?』


それに最初に応じたのはネイヴィガー隊副長、ブレンダン・クランツだ

『問題ない。 というよりも敵の動きに覇気がなくて退屈だ。』

『言ってやるな、ブレンダン副長。 我々が優秀すぎるだけだ。』

『そうだな、大隊長。』


次に応じたのはセルジオ・マーレイ、ネイヴィガーのエンジニアだ

『撃墜したら後でしっかりサルベージしなくちゃなぁ。 ESFの軍用規格はそうは出回ってくれない。』

『程々にしておけ、セルジオ。 今は勝利することが最優先だ。』

『もちろん、マルコシアス隊長。』


その次はネイヴィガーの紅一点、ジーナ・ファウストが応じる

『まさに絶好調だ、大隊長。 どれからぶちのめすんだ?』

『そうだな... こちらに突出してくるのを優先する。 味方への被害を少しでも減らすんだ。 いいな、ジーナ?』

『了解、派手にやるぞ!』


続けてネイヴィガーのムードメーカーにしてスナイパーのジャレット・ブロムヘッドが通信を開く

『全く姐さんはいつも元気一杯だ。 これでもうちょっと...』

『もうちょっと、なんだ? 軟弱者。』

『おーおーやめとこう、帰ったらまたのされる。』

『ジャレット、ジーナ、2人とも口を慎め、もうすぐ交戦するぞ。』

『了解、リグ隊長。』


最後に最後方に位置する隊員、ロビン・グッドフェロウが口を開く

『マルコシアス大隊長、どうするんです?』

『どう、か。 各員、聞け。 言うまでもないが、我々、ネイヴィガーの任務は艦隊に敵バトルワーカーを到達させず、可能であれば敵艦に強烈な打撃を与えることにある。 ネイヴィガー、持ち場を死守し、アリ一匹すら通さないつもりでやれ。』

『了解、マルコシアス大隊長。 ネイヴィガー各員、我慢できない怪我したら言ってくださいよ、すぐに後方へ送りますんで。』

『ロビンの世話にだけはなりたくないもんだな、リグ隊長?』

『そうだな、全員無事で帰ることが1番重要だ。 忘れるなよ。』

『了解。』


───


『リグ隊長、凄い数だな。』

『だな... ジャレット、これから追って指示するまでは自由に撃て。 我々もだが味方が動きやすいよう敵の頭をしっかり押さえてくれ。 』

『了解ぃ、給料分はしっかりしなきゃな。』


最前線へと展開したネイヴィガー隊で真っ先に動いたのはそう指示されたジャレットだった


『オーケィ、1つやった。 やっぱアドニスは図体ばっかデカくて狙いやすいな。』

『いいぞジャレット。 大隊長、俺とジーナでフロントに立つ。 いいか?』

『なら任せる、副長。 セルジオとロビンは自分に着いてこい。 後衛を務めよう。』

『了解、マルコシアス隊長。 』

『了解、マルコシアス大隊長。』


ネイヴィガー隊はそれぞれが第3艦隊でも最強の戦力だと言える

そんな彼らが隊を率いるのでなく、大隊長麾下のネイヴィガー隊にいる理由

それはひとえに、彼らが問題児の集まりであるが故だ


大隊長であるマルコシアス、副長であるクランツはさておき、それ以下が問題だ


尤も、紹介しないのも何かであるからして、まずは副長のクランツだ

クランツは元々、既に前線を退き、CAU正規軍のバトルワーカー教導官を務めていたが、戦力の拡充を図るセイバー連隊に50にも迫ろうかという年齢から来るその豊富な経験に基づく戦闘能力、指揮能力が評価され、スカウトされた

後にネイヴィガー隊設立に合わせ副長に抜擢され、今日に至るまで問題児揃いのネイヴィガー隊を取りまとめている


ネイヴィガー隊はそれぞれの戦闘能力は当然ながら、万が一に備え高い指揮能力を各員が有している

そのため、有事となれば各員がそれぞれの役割に応じた指揮を執ることができるようにもなっている

しかし、クランツの指揮能力は群を抜いているものであり、それはやはり元教導官という経験からだろう


平時においては元教導官の経験を活かし、セイバー連隊の訓練プログラムの制定にも従事している



エンジニアのマーレイは元々は残骸漁り(スカベンジャー)であり、それまではCAU軍が鎮圧、壊滅した犯罪組織との戦闘跡から残骸を漁り生計を立てていた

残骸から稼働可能なバトルワーカーを組み上げるほどの技能の持ち主であるが、ある時、哨戒任務中だった第3艦隊の部隊にIFFに反応のない不審機として捕えられた

しかし、その技能と生存能力の高さがリグ・マルコシアスの目に留まり第3艦隊へスカウト、後にネイヴィガー隊へと抜擢されることになった


自らを戦闘工兵(コンバットエンジニア)と自称していることからも分かるように、マーレイはあくまでネイヴィガー隊の1兵士として活動している

そのため、第3艦隊のエンジニア達とは衝突することはあれど、互いを認め合う仲でもあり、その手腕は大隊長機である『カンペアドール』の設計でも振るわれているほどのものである


有事の際はエンジニアとしての立場から、補給統括の指揮を執るように決められている


紅一点、ジーナ・ファウストの経歴は異色の一言に尽きるだろう

ジーナは18歳の時、父ルーウェンに倣いCAU正規軍へ入隊した

部隊への帰属意識の高さが評価されたこと、そして父親への対抗心からジーナは他の同期を大きく上回る早さで昇進し、わずか6年後の24歳にはルーフェンと同じ中尉へと追いついていた

しかし29歳の時、既に退役した父ルーウェンが暮らしていた木星圏のとあるコロニーが当時CAUを騒がせていたテロ組織に襲撃される事件が起きた

偶然にもジーナの所属する部隊もここへ派遣されるもテロ組織は既に撤退済みであり、ルーウェンも救出されるも半身不随の後遺症を負っていた


対抗心を持ちながらも目標であり、良き理解者でもあった父親を襲った悲劇に絶望し、そしてその自身の無力感からジーナは後の2年間に渡って廃人も同然の生活を送り、そこにかつての勇姿はなかった

しかし、31歳になったジーナの元に届いたのは、CAU正規軍の偵察隊がついにあのテロ組織の中枢となる拠点を発見したとの報せだった

それを聞いたジーナは正規軍情報部へ向かい、担当者を徹底的に『説得』し拠点の座標を聞き出すやいなや、自機と共に小型輸送船を半ば強奪し、鎮圧作戦開始前に単騎でこれを制圧してしまった


異常も異常、それどころか上官を含めた複数名への暴行や輸送船の強奪といった軍規違反の数々、それに対する圧倒的な戦果からCAU正規軍上層部がジーナの扱いに難儀した

ともかく上層部が差し当たり軟禁しようとした矢先、セイバー連隊上層部...つまるところ、元帥サイラスがセイバー連隊へ招集(スカウトではなく、招集の命令だった)し、正規軍が半ば追い出す形で移籍し、後にネイヴィガー隊へと抜擢された


今でこそ第3艦隊の姐貴分として丸くはなったが、過去の経歴を本人の前で口にしようものなら確実にその鉄拳が飛んでくるだろう

というか既に1人文字通り『鉄拳制裁』されている


有事にあってはその戦闘能力の高さから副長クランツと共に前線指揮を担当するようマルコシアスに指示されている



ジャレッド・ブロムヘッドはCAUでも有数の狙撃の名手であるだろう

しかし、ジャレッドはその独特すぎる戦闘スタイルから正規軍に馴染むことは終ぞなかった

重装機が一般的な狙撃兵において、ジャレッドは軽装機に搭乗するという風変わりな人物である

ジャレッドは卓越した標的補足、そして隠密行動の能力を持ち、他と違い常に位置を変え、決して敵に居場所を悟らせず、急所への鋭い一突きを最も得意とする

しかし正規軍は専ら大規模であっても質の低い犯罪組織への襲撃任務であり、その能力が十全に生かされることはなく、不憫な日々を送っていた

それでも自己を貫き通したジャレッドを目に留めたのはネイヴィガー隊設立にあたり、既存の枠に囚われない柔軟な兵士を探していたセイバー第3艦隊、艦隊長エンスウェンであった

即座にジャレッドはセイバーへスカウトされ、ネイヴィガー隊へ所属することになった


優秀ではあるが軽口の多さでも評判のジャレッドはかつて同じネイヴィガー隊のジーナ・ファウストに余計なことを言ったせいで文字通り『鉄拳制裁』されており、以降ジーナには頭が上がらないようである


有事の際は先遣偵察隊などの斥候に関する指揮を執ることが決められている



最後にロビン・グッドフェロウはネイヴィガー隊でも特によく分からない人物だ

22歳という年齢、卓越したバトルワーカー操縦技術、装備知識、そして非常に高い白兵戦能力...

それ以外は一切が不明だ

どこで産まれ、どうやってセイバーへ来たのか

それすらもが分からないのだ


ただ1つ分かっているのは、通常ネイヴィガー隊の人員は艦隊長エンスウェンか大隊長マルコシアスの推薦を元帥サイラスが承認する形で選ばれているが、ロビンのみ、サイラスの推薦をエンスウェン、マルコシアスが承認する形で選ばれているという妙な経歴のみだ


セイバーのバトルワーカーパイロットの決して少なくない一部は第1艦隊長のレン・カエデと似ている気がするとの声を上げているが、2人から公式にコメントが出たことは無い


また、ネイヴィガー隊入隊後のとある作戦中、[編集済 - Syrus Sver]


有事の際は医療並びに白兵戦を指揮するよう決まっている



とまぁ、粒ぞろいのキワモノ部隊であるというのが実情だ



更に近づくESF部隊を前に、クランツが口を開く


『大隊長、正面から更に大規模な敵バトルワーカー隊だ。 これが敵の本隊だろう。 アドニスは山ほど、第2世代も数えきれないぐらいだな。』

『了解、副長。 各員、前に出すぎるな。 あくまで艦隊護衛が最優先ということを忘れるな!』

『了解!』


マルコシアスの号令にネイヴィガー隊の面々が威勢よく答える


その頃、そこから少し離れた場所に第1大隊、オメガチームも展開する

3ヶ月前、海王星圏で行われた戦いとは逆に、CAUが攻める側ではあるが、それを超えるほどの戦いはついに始まった






『リグ、状況を報告してくれ。』

『敵バトルワーカーは大したことないな。 正規軍の連中でも十分な勝負になる。 時々脅威となる相手はいるが... ネイヴィガー、オメガ、それに第2艦隊が対処すれば十分だ。 それよりオルグ、例の白い機体...クロノス、だったか? アレは目撃されているのか?』

『クロノスについては戦域から離れた位置で既に目撃されている。 現在、第1艦隊のシオンハート大隊長が交戦中だ。』

『シオンハート嬢か。 なら問題はないだろう... オルグ、現時点でプランに変更は?』

『ない。 ...ないが...』

『どうしたんだ?』

『敵の超長距離兵器の砲撃で正規軍艦隊に損害が発生している。 発射元は現在も特定中だが... 試算では火星軌道の可能性が既に指摘されている。』

『火星軌道? ...艦隊を突破しなければ破壊できない超長距離兵器か。 厄介だな。』

『直撃すればランティッヒの装甲も耐えうるかは怪しい。 正規軍の艦隊の損害が許容不能になる前に敵艦隊を撃破しなければ...だ。』

『了解した、オルグ。 ネイヴィガーは引き続き敵バトルワーカーを撃破しつつ敵艦隊への攻撃を試みる。』

『頼む、リグ。』






無数の兵器たちが宙を駆ける

CAUとESFのバトルワーカーは互いに死力を尽くし合う

ESFの制宙戦闘機、攻撃機がCAU艦隊に打撃を加えんと肉薄し、対するCAU艦隊も決死の迎撃戦を繰り広げる


戦場の至るところで時折爆光が輝き、その度に命が散る



ESFのオービタル・イージスは未だにCAU艦隊へと攻撃を繰り返していた

主力戦艦、ランティッヒの装甲すら容易く貫通するその攻撃は、せめてそう連射できないのが救いだろうか?




戦況はまだ、移ろい続けるのだ

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