四話。
魔法使いが戻った頃には、城の中でみんなが家族と再開し、涙を流して喜んでいました。もちろんその中には少年も。魔法使いはこうなることをわかっていたものの、やはり後悔していました。そして気を失いそうになるほど、胸が痛くなっていました。みんなは、大広間で一人佇む魔法使いを見つけて、いっせいに取り囲みました。
「殺せ!」
「逃がすな!」
魔法使いにむけて、たくさんの罵声が飛び交いました。みんなは怒りに満ちていました。ただ、少年を除いては。少年は、確かに魔法使いに怒りを感じていました。しかし、たくさんの話を聞いたので、気持ちは複雑なものになっていました。
少年がそんなふうに感じていた時、魔法使いがみんなに向けて魔法を使いました。すると、少年以外はみんなバタバタと倒れていきました。少年には、なぜか効きませんでした。
「何をしたっ!」
「体に力が入らない!」
みんな意識はあるようでした。
「お前しかいない!魔法使いを逃がすな!」
「はやく殺せ!」
みんなは少年に向かって、口々に言いました。魔法使いはそれを見て、またいつものようにニヤついていました。少年は迷いながらも剣をとり、魔法使いにむけて突っ込みました。それを見た魔法使いは両手を上げながら、言葉を唱えました。すると、魔法使いから光が放たれて、星を包み込みました。