第58話 地味ぽちゃ系アラサー女子の私がイケメン達と魅惑の混浴大接近の件・その2
※前回に引き続き、下ネタ色の強い男子トークシーンがあります。
苦手な方はご注意下さい。
「もぉー! あったりまえじゃん。
めっちゃ大好きオーラ爆発しそーだから、オレなりにこれでも堪えてたんだけど〜?
ほーんとねこまるったら、お・こ・ちゃ・ま」
「んなっ! 大体、八木羽屋さんは女に対して、すげー軽いじゃないですか!!」
(だ、大好きって、私の事が、って意味!?
あのみんなからモテモテな八木羽屋さんが!?!?
えっ、いつもの、冗談じゃ……!?)
八木羽屋さんと種狛さんが小競り合いを始めると、御影さんが冷静に会話に割って入る。
「フリーだぜ、アイツ。本人から聞いた。
飲み会で暴露してたが、″コンカツ″中なんだと。
あ、特定のヤツもいねぇってよ」
「バカ! それここで言うんじゃねーよ!!」
「えーっ!? やったーマジチャンスじゃん!!
じゃあまだ誰とも付き合ってないんだ〜♪
シロちゃんらしいな〜可愛い〜♪」
「つーワケだから、俺も本気だすわ。
思兼部長。――あんたも同じだろ?」
「…………」
思兼さんの沈黙を掻き消すように、種狛さんが猛烈な勢いで啖呵を切った。
「御影もかよ!? ふざけんな、聞いてねぇぞ!」
「″コンカツ″とは何だ」
「人間界で言う、『結婚活動』の事、みたい。
一生を共に過ごす、相手探し、なのかな。
ぼくも……こんな気持ち、初めて、だから……
″コンカツ″したい、伊縄城さんと」
(な、なななななな!?)
「まぁ、あれだ。
種狛はすでになんだかんだやらかしてるし、切込隊長として当たって砕けてこい。俺が見届けてやるから」
「何ぃ!? って、どうして砕ける前提なんだよっ!
おれだって、絶対あいつを落とす! 絶対にだ!」
(一体なんなのーっ!?
信じられない、あのずっと険悪だった種狛さんが……)
風呂の効能か、単純に湯当たりのせいなのか。
イケメン達による夢のようなシチュエーションの賜物か。
(これは幻だよ、えむこ。
風呂に入り過ぎて都合良くシナプスが変換してるだけ。
しっかりするんだ私――)
「てかさぁ。くくのんママさんも、くくのんに″コンカツ″してほしいんじゃないのかなー?
媚薬風呂に息子入れちゃうぐらいなんだし、堅物すぎんのもいかがなもんかと……あ、そゆことか。なんかゴメン♪」
「ごっ、誤解を招く発言だ!!
私も、……伊縄城に関しては、嫌いでは……ないが。
そ、それに、媚薬などという下世話なものでは断じてない!
これは滋養強壮の効能による血流上昇効果によるもので、」
「大して変わんねーだろ。
実際媚薬みてーなもんだし……チッ、マジで収まんねー」
「くっそ……伊縄城の話のせいで、もう、……ッ」
「二人とも、気を確かに! ここではお控えください!」
思兼さんがユラユラと危うい動きをする男性陣を咄嗟に制する。
「ともかく、皆さんは良き戦友という事ですね。件の決意表明から察するに」
「む。今後は腹を括る」
「が、がんばるよ! 振り向いて、欲しいから」
「絶対負けねぇ!!」
思兼さん以外、何故か一様に奮起しているなか御影さんが小声でボヤく。
「争奪戦かよ。……ま、一人候補が消えてくれたみたいだから良しとするか」
「やけに煽るじゃないか、御影」
「さぁね。俺の独り言なんで、どーぞお気になさらず」
(あれ、御影さんと思兼さんが揉めている……?)
よく見えないが、どす黒い不穏な雰囲気だけは感じられた。
「じゃあさじゃあさー、シロちゃんが仮に!!
オレ達の誰かとラブラブハッピーエンドになったら、どーする?! てゆーか、ナニしたい?!」
(な、ななななななんですと!?!?!?!?)
「えええっ、えっと、……叶うなら、抱きしめて、横で一緒に寝てみたい、かな。
伊縄城さん、やわらかそう……だし」
「衣吹戸課長、結構ピュアだな」
「分かる〜〜〜〜!!
オレはシロちゃんが奥さんだったら、……毎晩声が出なくなるまで愛しちゃうかも♡」
(△◎×☆$&%¥!?!?!?!?)
「八木羽屋さんっっ!!
それは、ッ…………ちょっ、今、刺激強すぎ……」
「いいな、それ」
「でしょでしょー!?
男が心底ラブな女子に出来る事っていったら、やっぱココロもカラダもめいっぱい大満足にしてあげる事に尽きる!!」
「一理ある。夫婦となった暁には、私にとっても世継ぎは必要だからな。早々に、子を為さねばなるまい」
「久久野くんが言うと、何でも事務的だね……」
「――皆さん。そろそろ宴会開始の時間です。
一旦戻りましょう」
良からぬ流れになりそうな所を、バッサリと思兼さんが断ち切った。
(た、助かった……)
これで女湯に戻れる。
イケメン達の秘密の裏側を見てしまったせいで、温泉で心ゆくまでリラックスするはずが、緊張と動悸ですっかり全身汗だくだった。
ゆでダコのように真っ赤になってしまい、更に恥ずかしい。
(きっと、みんな温泉ではっちゃけ過ぎて、少し悪ふざけしただけだ。……私は知らない顔で、いつも通りを貫こう)
そう。
あれは温泉が生み出した、束の間の幻――
「やっば! パッパと着替えて、お酒お酒〜っ!!」
「の前に、時間もらいます……もう色々無理……」
「それは辛そうかも、種狛くん……ファイト」
「宴は時間厳守だ。手早く済ませてくれ」
「へいへい」
やや中腰になりながら遥か遠くへ向かうイケメン達を見やり、残る気力でふらふらと旋回する間際、岩越しから優しい声が耳に届く。
「しっかり、水分補給してくださいね」
「!」
(思兼、さん?)
一瞬遅れて振り向いた時には、紅葉が一枚、水面に浮かんでいるだけであった。
ドタバタ温泉回後編です。
いつもよりみんな大胆ですね。
次回は宴回です!
いつも以上に溺愛モードなイケメン達を、どうぞよろしくお願いします!




