表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/174

接触②

「うーん。しかし、すぐ消えてしまうね」「強化したままにしているのに」「一度やめて、あらためて《身体強化》すれば光りますよ」「それでも、またすぐ消えてしまうな」

 さすがは良家の子女、全体的にお行儀はいいんだけど。

「先生、なぜでしょう?」

 物怖(ものお)じしない生徒たちに、マルカ先生はたじたじ。研究者にありがちな、ちょこっとコミュ症なのかもね。男性としては中背(ちゅうぜい)。オタクっぽい雰囲気も、私的には落ち着く。

「ど、どんなに優れた魔法の使い手でも、ま、魔力の供給量を一定に保つことが、で、できないからです」

 じゃあ、どうやって魔道具を動かしてるのかって話になるけど、そのへんもマルカ先生は一生懸命、説明してくれた。

 私はこの国にきて初めて見たんだけど、前世でいう電池に相当する、魔球なるものがある。大きさはビー玉サイズから、握り拳大まで、用途に合わせていろいろ。見た目は、前世の象牙多層球といった(おもむき)で、美術品としても通りそう。

 昔はこれがかなり大きくて、道具類も場所をとるものばかりだったらしい。

 武器だけは別で、「し、使用金属の力と、か、鍛冶師の技術に頼っているので、ま、まったくの別物と思ってください」って流されたら、よけいに気になるよね。

 使われてる魔法陣のことならまだしも、武器全体のこととなると専門外だからって言われて、勢いのある男子生徒も、仕方なく引きさがってた。

 くわしく知りたい人は、秋はじまりの『応用魔法・武器』を選択するように、だって。また、別の先生の授業みたいだけど、うおーっ、絶対とる!

 魔球があれば、当然、それに魔力を充填(じゅうてん)するための魔道具もあって、それに、さっき実験で使った基板の技術が組み込まれてるってわけ。

 ほへぇー。ほんと、知らないことばっかだ、私。まあ、前世でだって、仕組みのわからない機器を使いまくってたし、いまさら気にすることでもないか。まわりも皆「はじめて知ったー!」って驚いてる。

 空気中の魔力を集めて、そこに留まらせておけるなんて画期的。誰でも魔道具が使えるっていう点でもそうだし、究極のエコだよね。ただし、充填(じゅうてん)に時間が掛かる上に、その容量に限界があるらしい。

 ふんふん。魔球の素材は、ガラスよりは硬く、しかし、鉄より(もろ)いと。だから、これ以上容量を増やすと壊れちゃうのか。

 だったら連結すればよくない? 素人の私が思いつくことくらい、とっくに試してました。

 まず、魔球同士が、互いの魔力を引っ張って出力が落ちる。そして、個数を増やせば増やすほど不安定になって、暴走の危険性が増すんだって。ふぇぇぇ。

 ま、まあ、このシステムが万能なら、シイル殿下が私に協力要請したりしないよね。

 魔球もそうだけど、充填器(じゅうてんき)の詳しい構造は当然、秘密。

 いま、基板の一部がどういう理屈で設定されているか習ったわけだけど、()()()が機構の大部分を占める。

 中をのぞいてもいないのに、なんでわかるかって? だって、目の前にある基盤は手の平サイズ。充填器(じゅうてんき)は、酒樽(さかだる)サイズの円筒形だ。

 使い方は簡単。上部のくぼみに魔球をセットする。魔力が満タンになるのに、ビー玉サイズは三日、拳大のものは一週間ほどかかる。使う魔道具にもよるけど、だいたいの目安として、充填(じゅうてん)に要した時間と同じだけ使用できるから、前世のスマホみたいな頻度ひんどじゃないけどね。

 でも、ほら、使いたい魔道具はたくさんあるんだ。よって、充填器(じゅうてんき)があいてるなんてことは、まずない。我がギュベニュー家でも、常に、家令のイマージが予約表を精査して、順番を考えてたもん。

 深く考えずに、もう一台買ったら?て言ったら、静かな口調でいろいろ教えられた。

 一家に一台しか購入許可が下りないし(ただし、別荘や別棟(べつむね)も一家だって言い張って、貴族や豪商は何台か所有してる)故意に壊したら厳罰に処すって、王命で触れが出てるんだって。お値段は、高級馬車(馬込み)と同じくらい。

 蔓草(つるくさ)とか鳥とか、それなりの装飾は施されてるけど、その中身はどんなじゃいな? ちょっと分解してみようか、なんて気持ちはあっというまに引っ込んだよ。

 まあ、見てもどうせわからないってこともある。

 基板にしろ、刻まれてる魔法陣にしろ、学院で教えるのはあくまで基礎。肝心(かんじん)(かなめ)のところは自壊機能付きだって、おずおずと釘を刺すマルカ先生。教会に入信して、機密保持の誓いを立てないと教えてもらえないそうだ。

 ってことは、彼は教会関係者でもあるのかな?

 ちなみに、うちの家令が言うのには、一般家庭で充填器(じゅうてんき)を購入するには、六十年ローンがふつうだそうだ。聞いた時はぎょっとしたけど、ちゃんとその分、税が安くなる。

 それでも、ひとつの村で村長宅に一台とか。教会・商店・宿屋といった人の集まるところに置いて、小金をとって充填(じゅうてん)させてるのが実情だけど、民間にも普及させようって、その意気込みがね。すばらしきかな、ケセラサ王国。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ