学校へ行こう①
くっ、やられた! 表向きの理由は「辺境伯夫人とはいえ幼子が、学ぶ機会を奪われ、国のために奔走するなど忍びない」ってものだったけど。う、動きを封じられた!?
なのにワルサさんたら、ちっとも反論してくれなかったんだよ? 退出してから、喧嘩みたいになっちゃったけど、一日がかりで説得されてしまった。
「俺の奥さんが賢いのはよく知っているし、その行動力も尊敬に値する。だが、幼いのも事実だ。俺は君にのびのびと成長してほしい。我々の領地を愛し、その発展のために尽くしてくれるのは本当にうれしいが、閉じ込めたくはない。いまは知識をふやし、健康な体を養い、友人をたくさんつくって、大いに遊ぶべき時だ。そうして、さらに俺を魅了する大人の女性になってくれ」
ぐはっ!!! そ、そんなこと言われたら、行くしかないじゃないよ。
「でも、街道整備のお礼に《回復》をってお約束が」
最後の抵抗っていうか。実際、約束を反故にするのは嫌だからね。
でも、それって現代人の感覚が残ってる私ならではの焦りだったらしい。軽やかに笑われてしまった。
「いかに一領のこととはいえ、道中は長い。報酬は、三年後くらいでちょうどいいんじゃないか?」
そうだった。この世界に重機なんてないんだった。いくら《身体強化》できるっていっても、やれることには限界があるよね。《土》系の魔法使いが複数人いれば、また話はかわってくるんだろうけど。
特にがんばってくれてる所へは、夏休みとかを利用して行けばいいか。よし。頭、切りかえた。
私のやるべきことは、勉強とコネクションづくりだ。
魔法陣について、より詳しく学べると思うとわくわくするけど、よけいなことも考えて少々憂鬱に。
前世で培ってきたものはかなり役に立つけど、こっちで生きていくには、この国をはじめとした周辺国の歴史、地理、常識、どれも必須だよね?
いや、今世の頭は吸収率抜群だから、それなりに楽しいとは思うよ。ただちょっと、かつての苦手意識がね。はぁー、いまさらまた勉強か。
この話が出る前は、家庭教師でも雇って、屋敷にある本を読めばいいかなーなんて考えてた。母国でもそうしてたし。
だいたい王立とはいえ「貴族魔法学院」なんて、名前からして学力低そう。「魔導」だったらイタイタしくも、もうちょっと重々しい感じになったかな? 教会に遠慮して、その名称は避けたって話だけど。
でも、やっぱりいちばん面倒くさいのは人間関係だろう。マナーと家柄を武器に、意地の張り合い、蹴落としっこなんて……あれ? そういえば、私、前世と違って美少女だっけ。
鏡の前に立って、表情をつくったり、あれこれポーズを決めてみる。ふむふむ、むふふ~!
やることはなんにも変わってないけど、だいぶ気分が上がったよ!




