元彼はプレーボーイ
元彼、大和にドキドキする栞那。そんな時、実行委員に勝手に大和に指名されて、一緒にやることに……!?
「今から、実行委員の役員を決めま~す」
2、3日経ったある日のこと。今日は、文化祭の委員決め。
「誰か、立候補してくれる人はいませんか~?」
クラス委員の山崎さんが、みんなに呼びかける。
でも、みんなし~んとして、誰も手を上げようとはしない。
実行委員なんて、仕事が多そうだし。そりゃあ、
みんな嫌だよね。
そう思っていたら、大和がサッと手を上げた。
「男子は高崎君。女子は誰かいませんか~?」
大和が立候補した途端、女子達が一斉に手を上げた。
「はい!あたしやりた~い」
「大和が一緒なら、あたしも~!」
みんな大和目当てみたいだ。
「立候補が大勢いるので、高崎君に決めてもらいたいと思いま~す!」
山崎さんが、大和に呼びかけた。
誰を指名するんだろう?
あたしは、何だか気になって仕方がない。
大和は、サッと立ち上がるとこう言った。
「相沢さんを指名しま~す」
「えっ!ちょっと。あたし、手上げてないんだけど!?」
あたしは、びっくりして叫んだ。
「高崎君の指名なので、相沢さんにやってもらいたいと思います」
山崎さんも、唖然としていたけど、気を取り直して、みんなに伝えた。
でも、手を上げた女子達は、あたしの方を睨んでる。
「よろしく~。相沢さん」
大和は、ニヤリと微笑んだ。
「もしかして、大和と栞那って付き合ってるの!?」
ホームルームが終わると、クラスの女子達に裏庭に呼び出された。
「えっ!ないない。絶対にない!」
あたしは、慌てて左右に首を振った。
「じゃあ、どうして手を上げてない栞那を指名するのよ!?」
「さ、さあー。勝手に高崎君が決めたことだから……。大体、あたし代わってほしいくらいだしー」
敵に回されないためにも、ここは、穏便にすまさなければ。
「じゃあ、あたしと代わってよ!」
「あたしも!」
次から次へと、押し寄せてきた。
「ちょ、ちょっと!押さないで」
みんなに押されて、倒れそうになった瞬間だった。
「悪い!こいつの代わりはいないから」
大和が、みんなとあたしの間に入って来た。
「どうして、大和~?」
みんな口々に、聞いた。
「実行委員って、毎日のように帰り遅いみたいだしさあー。みんなみたいに、可愛いと危ないだろ?だから、相沢さんなら大丈夫かなと思って」
昔は、そんなキザなセリフなんて言わなかったのに、どの口がそんなことを言っているのか、耳を疑ってしまう。
「そう言われれば、そうか~。栞那なら、仕方ないか」
大和の説明で、みんな納得している。
「ちょっと、みんな!何、納得してるの!?」
みんな鵜呑みにしちゃって、さっきの勢いはどこに行っちゃったのよ!?
「ほら、行くぞ!委員会の集まりがあるから」
大和は、あたしの腕を掴むと引っ張って行った。
「どうせ、あたしは可愛くないです!大体、みんなに言われるのもあなたがいけないんじゃない!?」
あたしは、唇を尖らせた。
「そう、怒らないの。助けてやったのに」
大和が、あたしの鼻を摘まんだ。
そりゃあ、助けてくれたのは嬉しいけど……。
「あれ?相沢さん」
実行委員が、集まる教室に行ってみると、そこには葉山君が椅子に座っていた。
「あ……」
「相沢さんも、実行委員?よろしくね」
「よ、よろしくー」
あたしは、ぎこちなく挨拶をした。
実行委員って言うだけで、気が重いのに、告白してきた相手まで一緒じゃ、どんな顔をしていればいいのか、わからないよ~。
「相沢~。俺達は、そっち座ろうぜ」
大和に促されて、前の方に座った。
「いきなりだが、明日のホームルームで各クラス、催し物を決めてもらう」
先生が、みんなに伝えた。
確か、去年はなかなか決まらなくて、やっとカフェに決まったんだった。
多分、今年もなかなか決まらないんだろうなと思っていたのに、
「多数決で、お化け屋敷喫茶に決まりました~」
大和が、サッとまとめて、あっさりと決定してしまった。
お化け屋敷と言っても、お化けの格好をして、喫茶店を開くとかじゃなく、お化け屋敷で、冷や汗をかいた後に、心温まるお茶をご馳走するサプライズになっている。
「じゃあ、次は、お化け役と店員役を決めるから」
大和は、大きな箱を取り出すと、教壇の上に置いた。
「くじ引きするから、順番に引いていって~」
大和の提案で、くじ引きにしたのはいいけど、あたしが引いたのは、お化け役だった。
「お化け役は、俺と山中と岩崎と相沢に決定してしまった。その他は、店員よろしく~」
大和が、みんなに報告すると、クラス中に拍手が響き渡った。
怖いの苦手なのに、参ったな……。
あたしは、小さな溜め息をついた。
「相沢さんのクラスは、何に決まったの?」
放課後、委員会の集まりに行くと、葉山君が聞いてきた。
「お化け屋敷ー。葉山君のクラスは?」
「うちのクラスは、ホスト喫茶。ホストの格好するから、男子はみんな気合い入ってるんだけどね」
「そうなんだ~」
結構、葉山君って気さくかも。
「あれ、もう独りの人は?」
「なんか、先生に呼ばれてるみたいで、後から来るみたい」
あたしは、席に座ると、葉山君も近くに座った。
委員会が始まる寸前、大和が入って来て、あたしの隣に腰を下ろした。
「間に合った~」
大和は、ひと息つく。
「今日は、材料の確認をしたいと思います」
先生は、学年ごとに読み上げていった。
委員会が終わると、葉山君があたしに声をかけてきた。
「相沢さんのクラス、大変そうだね。材料も多そうだし」
「うん。今から、悩む~。でも、葉山君のクラスも衣装が大変そうだね」
葉山君とこんなに話したのって、初めてだ。
「そうなんだけど。みんな、お父さんのスーツ借りればいいから、楽みたい」
葉山君が、笑いながら言った。
結構、葉山君っていい人?それに話しやすいし、女友達と話しているような感覚だ。
「相沢、帰ろうぜ!」
大和が、あたしの肩を掴んだ。
「じゃあね、相沢さん」
葉山君は、人なつっこい笑顔で、先に出て行った。
「いつから、あいつとそんなに仲良くなったわけ……?」
大和は、ムスッとさせた。
「別に、仲いいって訳じゃー。クラスのイベントの話してただけだよ」
「ふ~ん」
大和は、子供のようにむくれている。
もしかして、妬いてる?
あたしの心臓が、ドキドキ高鳴った。
それから、毎日のように文化祭の準備におわれる日々が続いた。
「ねえ、栞那。ガムテープなくなったんだけど、予備ない?」
クラスの子が、なくなったガムテープを見せた。
「職員室にあると思うから、貰ってくるね!」
あたしは、急いで教室を出た。
「失礼しま~す!」
あたしが、職員室に入ると、葉山君にバッタリ。
葉山君も足りない材料を貰いに来たみたいだった。
あたしは、佐藤先生にガムテープを貰うと、職員室を出た。
「相沢さ~ん!」
葉山君が、後から追いかけてきた。
「相沢さんも、足りないもの補充?」
「うん。すぐ、足りなくなっちゃってー」
「うちのクラスも同じ」
葉山君は、納得した顔で頷いた。
葉山君と話すようになってから、色々なことがわかってきた。
誰にでも、打ち解けやすくて、人なつっこい。
話していると、凄く親しみ感がある。
「相沢さん。告白の返事だけど、文化祭が終わったら、返事くれないかな?」
葉山君が一瞬、立ち止まる。
「う、うん……」
大和に、ドキドキしたりしている自分と葉山君に親しみ感があってホッとする自分がいて、今は返事するのも、どうしたらいいのかわからない。
文化祭が終わるまでに決めないとー。




