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【完結】名前のない皇后 −記憶を失ったSubオメガはもう一度愛を知る− 【全年齢版】  作者: 社菘
エピローグ

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エピローグ



「ととさま、かかさま、早くー!」

「シャロン、そんなに走ったら転ぶから気をつけて!」

「全く、元気がよくて困るな」

「にに、まってぇ」


 二度目の結婚式を挙げてから数年後、移住者で賑わっているヴェルデシア村をエリアスたちは訪れていた。村というよりは一つの領土として運営ができそうで、皇后が治めるヴェルデシア領にしたらいいとバルドからは提案されている。


 アレクシスも怪我から全快し、今では皇帝と皇后の補佐でてんやわんやの毎日だ。そんなアレクシスの力もあり、ヴェルデシア村はここまで大きくなったといっても過言ではない。


 帝国中から行き場のない混血の者たちが集まり、その中には差別をなくしたいと言う純血の者も移住してきている。少しずつではあるが、垣根を超えて交流ができているのはいいことであり、帝国の未来に光が差しているのだ。


「アイシラ、ににさまと手を繋いで歩くんだよ」

「うん!」


 エリアスとバルドの間には、目に入れても痛くないほど愛らしい女の子が誕生した。シャロンとは違い、エリアスに似た黒髪で瞳はバルドに似た緋色を宿している。


 竜になれるかどうかはまだ分からないが、エリアスたちにとっては子供の存在こそが宝物なのでどちらでも構わない。ただ、健やかに育ってくれたらそれでいいと二人でも話していた。


「前からいた住人に管理を頼んで綺麗にしてもらってるんだけど、この家を残すか手放すか決めかねてるんだよね」

「あって困ることもないだろう。別宅のような形で残していてもいいんじゃないか? 俺も、皇帝ではなく“ヴラド”に戻りたい時が来るかもしれん」

「俺と喧嘩した時はここに避難しようって算段だ?」

「いいや。喧嘩をした時は、二人でここに来よう」


 エリアスとシャロンがヴェルデシア村にいた時に住んでいた一軒家の庭で、今はシャロンとアイシラが青々と茂っている芝生の上で笑い声をあげながら遊んでいる。この家を手放して誰かに住んでもらおうかとも思っていたが、たった3年間の思い出でも手放すには惜しかった。


 そんなエリアスの思いも汲んで、バルドが肩を抱きながら家を残す提案をしてくれたのだ。


「二人で? 喧嘩してるのに?」

「喧嘩をしているから、だ。どちらか一方が出ていくのではなく、二人で頭を冷やしに来よう。この家ではそれぞれがやりたいことをして、したい話をして、美味い食事を食べる。一緒に狩りに行くのもいいな。そのあとは俺がお前の好きな料理を作るから、エリアスが美味しいと言って食べてくれたら、仲直りしよう」


 ――そうか、そういう仲直りの仕方もあるんだな。


 昔のエリアスは王宮やバルドの元から飛び出して、彼の好きな花を買って謝ろうと思っていた。でも今は、バルドの言うように二人でこの家に来て仲直りをするという素敵な方法を教えてもらって、胸が温かくなった。


「……じゃあ、この家ではただのバルドとエリアスになるんだね。すごくいいと思う」

「惚れ直したか?」

「これ以上バルドのことを好きになったら、俺の心臓が壊れちゃいそう」

「お前は本当に、俺を喜ばせるのが〈上手だな〉」

「ん……」


 唇が重なった時、心地よい風が二人の体に触れるように通り過ぎていく。


 バルドの手はうなじの噛み跡と、精神を安定させるためのCollar(カラー)としてお互いに贈り合った新しい指輪に触れながら、エリアスの体に愛を目一杯伝えた。


「俺の愛は一生お前のものだ、エリアス……〈受け取ってくれるか?〉」

「もちろん……バルドの愛は一生俺のものじゃないと困る」


 純白竜の皇帝と混血竜の皇后の愛は、死ぬまでお互いのものだったと語り継がれている。











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