偽善者と王子サマ。
最近、やけに王子様が構ってくる。
朝は必ず挨拶してくる。
人前で接されるのが嫌なのを知ってか、人前で堂々と話しかけられることはないが。
図書館にいれば必ず現れる。
ストーカーかよ。そういうのは今いる奴らだけで十分だ。
最初みたような嫌悪は感じられないが、まったくもって不愉快だ。
あぁ私は自分の興味で物事を見ているのは好きだけれど、他人に面白半分で興味をもたれるのは大嫌いだ。
「おはようございます、雪桜先輩。」
笑顔とは別に目が細まるのは、朝日が眩しいだけではない。
きらきらしい笑顔で挨拶してきた。
私も相応に清々しい笑顔で応えたけれどね。
「おはよう、良い朝だね。」
君がいなければもっと素敵な朝になっただろうけどね。
心のなかで毒づいて、表面上は穏やかな笑顔。
意識しなくてもできるこれは、もうずっと昔からの習慣になっている。
兄さんが見れば間違いなく顔面蒼白。
兄さんは勘が良かったから。
あぁ当然のように隣を歩くのはやめていただきたいなぁ。
いくらこの学校で私の敵が皆無だとしても、目立ちすぎる。
何より、変に勘違いした奴らの対応が面倒だ。
「そういえば、今日は一年と三年の合同実習ですね。楽しみです。」
ペアを組んでするらしいが、その組み合わせは先生方が話しあって決めるらしい。
普通は成績を重視して決めるが、コイツの場合いろいろ面倒事になりそうだから、一番波風立たないような人物を据えることだろう。
・・・・・あぁそれってつまり、私なんだけど。