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馬鹿な人


あぁ言えばこう言う


 ・・・―――私は貴方が大嫌いで、きっと大好きだった。







 前世、私には兄がいた。


 兄さんは優しい人だった。

と言えば聞こえはいいが、実際はただのお人好し。



 捨てられた犬猫は拾ってくるし、泣いている子供がいれば放っては置けない、

そんな馬鹿なお人好し。

あぁ彼が何より愚かしかったのは、私を見捨てなかったことだろう。


 私と違って、頭は良かった。

ただ要領が悪かっただけ。

だからか、私のしていることに一番最初に気がついたのは兄さんだった。

兄さんは私と違って普通の倫理観を持っているから、それが理解できないことだったんだろう。


 目が合えばあからさまに顔色を変えて、怯えるくせに。

まぁ私はそれを楽しんでいたのだけど。

これ以上はやめろと言う。

あぁけれど見捨てたりはしなかった。妹として、ちゃんと可愛がってくれてはいたんだろう。

時折思い出したように不安になった時、兄さんは頭を撫でてくれた。

小さい時からそうだった。



 私は兄が嫌いだった。

大嫌い。

馬鹿なくらいお人好しで、要領が悪くて、困っている人を放っては置けない。

そんな兄さんが、大嫌いだった。

ずっと、大嫌いだと、思っていてた。




「あぁ死んでから気がつくなんて、遅すぎる。」





 きっとどこかで、そんな兄に依存していた。大好きだった、ごめんなさい。







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