3話! 公園で遊ぶです!
「明夫さん!私を捨てないで!」
「すまない夕子、もう君とはやっていけないんだ…わかってくれ」
「どうしてなのっ!私のどこがいけないのっ!?」
「すまない…」
「わたしちゃんと貴方好みの女になるからっ!捨てないで!」
「夕子……すまない…」
「……どうせあの女と一緒になるつもりなんでしょ!?」
「なぜ…なぜそれを!」
「悔しい!悔しいわっ!あなた達、幸せになれるとは思わないでね!」
「な、何をするつもりだ夕子!」
ブチッ!
「小5がなんのテレビを見てるんだよ」
「ぬおぉ!今いいところです!お姉!なんで消すです!」
「こんなテレビ見てないで外で遊んでこいよ」
「こんなテレビとはなんです!世の中のドロドロが詰まった名作です!」
「名作なのか?…よくある内容だと思うが」
「名作なのです!監督はあの有名な南野武さんです!」
「あの監督、こんな昼ドラの監督とかする人だっけ?」
「どうでもいいです!リモコン返すです!」
「だぁめ!秋でも誘って公園でも行ってこい!」
「…幸せになれると思うなです」
「怖いわっ!」
「秋ちゃーん!秋ちゃんいるです!?」
「おー?杏どしたー?」
「お姉にテレビのリモコン取り上げられたから遊びに来たです」
「なんで取り上げられたんだ?」
「わからないです。名作を見てただけです」
「どんな?」
「男女のドロドロを一時間半でまとめ上げた名作ドラマです」
「なんだそれ」
「とにかく、遊べるです?」
「あぁいいよ、公園でも行くか?」
「お姉みたいな事言うです…まぁ公園でいいです」
「大黒屋行ってから公園に行くか?」
「賛成です!」
「またいつもと同じの買うのか?」
「ふふん!海老に決まってるです!」
「あぁ、この間の海老のお菓子な」
「いらっしゃぃ」
「……ないです」
「ありゃ。おばちゃん、この間あった新しい海老のお菓子ない?」
「あぁ、あのお菓子。どうも人気がありすぎて、作るのが間に合ってないからって入ってこないのよ」
「えええぇぇ!です」
「仕方ないな、別の買おうよ」
「そうするです…」
「これ美味しいぞ、私のおすすめ」
「なんです?」
「フライングポテトのコンソメ味!」
「飛んでるジャガイモ……カオスです」
「カオスってなんだよ!?」
「30円…1つはそれにするです。あとはやっぱりこれです」
「あぁ、いつもの」
「これはマストです」
「マ、マストって何?」
「わからないならいいです。決まったですか?」
「なんだよ教えてよ!決まったけどさ」
「じゃぁ買って早く公園行くです」
「マストってなんだよ…」
「この公園も結構人が多いです」
「みんな行く所ないしな」
「つくづく田舎です」
「まだマシな方だろう」
「田んぼしかないです」
「普通にコンビニも信号もあるし牛は歩いてないし、まだマシだって」
「それはどんな田舎です!牛がいるです?!」
「前テレビでやってたよ、信号は村に一個しかなくて普通に道を牛が歩いてるって」
「…カオス」
「だからカオスって何?」
「逆に行ってみたいです…」
「だからカオスって何?」
「このフライングポテトなかなか美味しいです」
「そうだろ?これ私好きなんだ」
「秋ちゃんにしては良いチョイスです」
「チョイスって…チョイスはなんとなくわかるな」
「おぉい!」
「あ、雫ちゃんです」
「雫、何やってるんだ?」
「ブラブラしてたらあんた達が見えたから来たのよ」
「お前も暇か」
「悪かったわね!」
「雫ちゃんもお菓子買ったです?」
「うん、今大黒屋行ってきた帰りだったのよ」
「じゃぁ一緒に遊ぶです」
「何してたのよ?」
「マストとカオスとチョイスだよ」
「はぁ?何を言ってるのこの馬鹿は?」
「ほっとくです。秋ちゃんの脳みそは今異世界にいるです」
「また訳のわからない事言って異世界に飛ばしたんでしょ?」
「そんなことは無いです」
「そうね、いつもの事ね」
「お菓子食べたら何するです?鬼ごっこでもするです?」
「いやよ、秋がいたら勝てっこないもの」
「それもそうです…おままごとするです?」
「小5にもなっておままごなんて嫌なんだけど…」
「そうです?逆にリアルにできるようになって面白いかもです」
「たとえばどんな事するのよ?」
「ドロドロ昼ドラおままごとです」
「何よそれ?」
「秋ちゃんがどうしようもないクズ男で、私が騙されていたOL、雫ちゃんは浮気されていた妻役です」
「…遠慮しとくわ。てかいい加減戻ってきなさい秋!」
「はっ!?ここはっ!?」
「しりとりでもするです!」
「仕方ないわね、それでいいわ」
「じゃあ私から行くです、秋ちゃん、雫ちゃんの順です…りんご」
「ゴリラ」
「らくだ」
「ダンボール」
「ルーレット」
「豆腐」
「フックの法則」
「鯨」
「ラッパ」
「パスカルの原理」
「リス」
「スイス」
「スカッドミサイル」
「…ちょ!ちょっと待てぇぃ!」
「なんです?」
「間違っていないんだろうが、フックの法則やらパスカルの原理とやらっ!」
「確かに…小5のしりとりではないわね…」
「知らないのです?説明するです?」
「しなくて良い」
「じゃぁ続きするです」
「…なんだっけ?」
「スカッドミサイルのルです」
「…ルビー」
「それはルビィの【い】だっけ?【び】だっけ?」
「どっちでもいいぞ」
「じゃぁ…いか」
「カクテルパーティー効果」
「…蚊取り線香」
「牛」
「シュレーディンガーの猫」
「…なんだって!?なんの猫!?」
「シュレーディンガーって何!?」
「これはかなり難しいです。1935年のシュレーディンガーさんが提案した思考実験で猫を箱の中に入れて放射性原子――」
「そろそろ帰るか雫…」
「そうね、帰りましょう…」
「待つです!まだカラスは鳴いてないです!」
「でももう、しりとりはしないわよ」
「じゃあなにするです?」
「あ、バッタだ!」
「ほんとです!けっこう大きいです!」
「いくぞ杏!捕まえるのだ!」
「了解です!」
「……ガキだわ」
「そっち行ったぞ杏!」
「任せるですっ!」
「あぁ!草むらに逃げたです!」
「お〜い!雫も捕まえようよぉ〜!」
「嫌よ、バッタなんて気持ち悪い!」
「草むらに突撃!です!!」
パタパタパタパタ!
「ぬおぉ!大量のバッタが隠れていたです!」
「あっ!1番デカいの雫の方に飛んだっ!」
「雫ちゃん!捕まえてです!」
「へっ!」
パタパタパタ…ピトッ
「ギャーッ! 痛いっ!」
「あははは!鼻に止まるとかあるかっ!?」
「バッタを引き寄せるフェロモンでも出してるです!?」
「知らないわよっ!早くなんとかしてっ! 痛っ!」
パタパタパタ
「あははは、バッタの脚ってギザギザしてるから痛いよな」
「面白いです、雫ちゃん!ははは!」
「笑ってないで鼻みてよっ!切れたりしてないっ!?」
「大丈夫だよ、ちょっと赤くなってるだけだよっ!」
「もう!だから虫は嫌いなのよっ!」
「もう一回草むらに突撃するです!」
「よぉし!」
「もう!やめなさいよっ!」
チャン チャチャ〜ン チャ〜チャチャン〜♫
(5時になりました〜 地域の子供達はぁ――)
「ほら!5時よ、帰るわよっ!」
ワオォ〜ンッ
「仕方ない、帰るです」
「なぁ、なんで5時の放送ながれたら犬って吠えるんだ?」
「しらないわよっ!」
「これについては説明が面倒くさいです」
「知ってるのか!?」
「仮説1、町内放送を決まった時間の何かの合図として――」
「帰ろう雫」
「そうしましょ、杏も帰るわよ」
「説明は聞かないです?」
「長くなりそうだからいいわ〜」




