12話! キャンプに行くです!【そのさん!】
「柚ねぇは大人のテントに逃げ込んだんです」
「仕留められなかったのは残念だったわ…」
「あはは、柚姉ちゃん逃げ足だけは早いもんな!」
「それはあんたもでしょ」
「なっ!柚姉ちゃんといっしょにするなよ!」
「いや…雫ちゃんの言うとおりです…秋ちゃんは柚ねぇと似てるところが多いです…」
「ど、どこが似てるってんだよ!?」
「ガサツなところとか一緒じゃない」
「ガサツって…どこがだよ!こんなにお淑やかな私に向かって!」
「秋ちゃん…お淑やかの意味わかっていってるです?」
「お淑やかっていうのは私みたいな人を言うのよ!」
「……雫ちゃんもちょっと違うです…4人の中なら薫子ちゃんが一番合ってるです」
「……悔しいけどそれは認めざるを得ないわね」
「えぇ…私そんなにお淑やかじゃないよ…」
「薫子ちゃん、そう言うところです。お淑やかと言うのは、声が大きすぎない、穏やかに話す、動作が丁寧、礼儀正しい、落ち着いている感じの人を言うです!そもそもお淑やかの【淑】は、良い、善良という意味を持つ漢字で古くは13世紀の――」
「わかったから…杏は飴でも舐めてなさい」
「何味ですっ!?」
「ま、残念だけど、私もお淑やかではないと認めるわ」
「珍しいな、雫が自分から負けを認めるとは」
「だって…本当にお淑やかな女性っていうのはギャーギャー言わないものだもの…」
「…それをわかっていて、よくもまぁ私みたいな人をって言ったな…」
「うるさいわね!ノリよノリっ!言った後で本物を思い出したのよ…」
「本物?なんの?」
「今お淑やかな人の話の流れでしょ!私たちの知っている人でいるじゃない!本物のお淑やかな女性…」
『………』
「あ、私わかったかも。大黒屋の実さん!」
「そうよ薫子。あの人が完璧な女性…そう…淑女だわ…」
「あぁ、実姉ちゃんかぁ。確かに大人だよなぁ」
「綺麗だしねぇ」
「なら、妹の果音姉ちゃんもそうじゃないのか?」
「果音さんも綺麗だし優しいよね」
「そうね…果音姉ぇもそっちよりね…なのに柚ねぇの親友っておかしくないっ!?」
「確かに…でも親友って言うよりお母さんに見えるけどな」
「さっきも怒られたもんねぇ、柚さん」
「実さん…素敵だわ…大好き…」
「私も憧れるなぁ、スタイル良くって優しい笑顔だし、髪も綺麗だし」
「そうなのよ!薫子はわかってくれると思っていたわっ!」
「うん、わかるよ。私もなりたいもん、あんな大人に」
「でしょ!?一緒に実さん目指して頑張りましょう!」
「うん、わかった」
「まぁ、かおりんは可能性あるけど、雫は無理だと思うけどなぁ」
「何よ!うるさいわね!あんたは黙って柚ねぇ目指しとけばいいのよっ!」
「あはは…こりゃ絶対無理だ…ところで杏は?」
「杏ならさっきあげた飴が辛すぎるって口洗いに行ったわ」
「どんな飴あげたの?」
「pepper x 100%キャンディーよ、ほしい?」
「…絶対いらないかな」
「どんな味するんだ?美味しいのか?」
「さぁ、食べたことないから知らないわよ」
「それって…今世界で一番辛い唐辛子じゃ……食べたこと無いのに杏ちゃんにあげちゃったの?」
「だってうるさかったから黙らしたのよ」
「そう…」
「はぁ、はぁ…雫ちゃんひろいれす…あれは…飴とは言わないれす…まら口の中がヒリヒリ…感覚がないれす…」
「そうなんだ!そんなに美味しくないんだ!」
「美味しいとかそう言う話じゃないれす…あれは人を地獄へ落とす拷問具れす…」
「所々言葉がおかしくなってきてるよ杏ちゃん…本当に大丈夫?アイスあるよ!」
「口を開けていないと痛いし喋りにくいれす…アイスほしいれす…」
「なんでそんな飴買ったんだよ」
「買ってないわよ、お母さんが持ってたから貰ったのよ。お母さん辛いの好きだから」
「食べる前に気づかなかったの?匂いとかでわかるんじゃ…」
「ダメだよかおりん、杏は飴大好きだから、構わず口の中に放り込むんだ」
「…ちゃんと確認したほうがいいと思うよ」
「気をつけるです…アイスのおかげでマシになったです!てか袋見せるです!」
「何ようるさいわね。ほら」
「…雫ちゃん、人に物をあげる時はよく読んでからあげるです…」
「あら、どうしてよ。飴あげたらいい人じゃない。親切でしょ?」
「よく見るです商品名を…お前は死ぬ覚悟はあるか!って商品名です…」
「なんてストレートな品名だ…怖いなそれ」
「雫ちゃんのお母さん、そんなの食べれるんだ…」
「いつも舐めてるわよ、美味しそうに」
「…もう寝るです」
「そうだな、もう11時だし寝るか……」
「秋ちゃんどうしたです?」
「ん〜?…ほら、毎年言ってるけどさ、星が綺麗だなぁって」
「…本当です。今年も綺麗な星空です」
「秋、寝る前に丘の上行くの忘れてるんじゃない?」
「そうだった!それで締めくくらなきゃ!」
「本当ですっ!」
「毎年恒例だものね、行かないと寝れない気がするわ」
「うん!かおりんも行こうぜ」
「丘の上?」
「あそこです薫子ちゃん!」
「ほらかおりん、毎年ここでこの景色を眺めるんだ」
「………綺麗」
「だろっ!?年に一度しか来れないけど、この景色を見るのが好きなんだぁ」
「大きな湖も変わってないです!星にも手が届きそうです!」
「向こうの街の明かりがだんだん暗くなってきてさ、星がさらに見えるんだぁ」
「去年は1時ごろまで見てて、おばさんに怒られたわね」
「いいじゃん!怒られても!」
「賛成です!」
「もう5回目かな?この景色見るの」
「そうね、小1から毎年だものね」
「今年は薫子ちゃんも一緒に見れてよかったです!」
「うん…」
「どうしたのよ、大人しくなって」
「私…ここまで綺麗な星空って初めて見たの…」
「都会の景色は百万ドル〜とかテレビで言ってなかったっけ?」
「確かに街は明るいよ…でも…この空とは比べ物にならない…」
「そっか…」
「来年も来るです!」
「そうね、来年も来れたらいいわね」
「……来年もかぁ」
「どうしたです秋ちゃん」
「私さ、去年も思ったんだ。この3人でずっと星空を見れたらいいなって」
「ちゃんと見れたです!」
「だなっ!でもさ、今年はかおりんも来てくれてさ…4人で見れたじゃん?」
「来年も4人でって言いたいの?それでいいんじゃない?」
「うん…私もまた来たいよ」
「そうなんだけどさ、これからずっとさ…大人になってもさ…4人で見れたらなぁって…」
「秋…」
「杏達はずっと友達です!きっと大人になっても来てるです!絶対来るです!」
「私も…その仲間に入っていいの?」
「もちろんさ、5年も離れちゃってたけど、幼馴染に変わりない。そして今その4人がここにいる…」
「約束するです!大人になっても!おばあちゃんになっても!ずっと親友ですっ!」
「まだまだ先は長いわね…楽しみだわ」
「私も…一緒に…みんなありがとう…」
「何泣いてるんだよかおりん」
「だって…」
「寝るかっ!」
「そうね」
「約束破ったら針2万本刺すです!」
「いやよ!絶対いや!しかも刺すんじゃないでしょ!?」
「あははは、杏はそうなんだよ。破ったら刺されるぞ!」
「気をつけないと…」
「みんな、テントに行くです!」
『はぁい!』




