1話! 駄菓子屋に行くです!
キーンコーンカーンコーン♫
「杏〜、今日暇なのか?」
「秋ちゃん、今日はお姉と約束があるです」
「なんだ、せっかく大黒屋行こうと思ったのに」
「大黒屋…駄菓子!杏も行くです!」
「姉ちゃんと約束あるんだろ?」
「そうなのです…」
「じゃぁ行けないじゃんか」
「ぬぬぬです」
「また今度でいいよ」
「明日!明日なら行けるです!」
「オッケー!じゃぁ明日行こうな!」
「約束です!」
「わかったよ、約束な」
「約束破ったら針1万本飲むです!」
「多いわ!」
ガチャッ
「ただいまー! お姉、お姉〜」
「お、おかえり杏。早かったじゃん」
「今日はお姉が一緒に本屋に行くと約束した日です!」
「え…そうだっけ?悪い!友達と遊びに行く約束しちゃった!」
「……ひどいです」
「ごめんよ、また今度!今度は忘れずに行くからさっ!」
「……」
「じゃ、行ってくるわ!」
「お前は針1万本刺してやるです…」
「なんか言ったか?」
「なんでもないです!早く行っちまえです!」
「宿題でもするです…」
「……」
「終わったです…」
「……」
「暇です…」
「秋ちゃーん!」
「………」
「あーきーちゃーんっ!」
ガララッ
「はぁい…何だよ杏。姉ちゃんとの約束はどうしたんだよ?」
「お姉に裏切られたです。あまりに暇すぎたから来てみたです」
「なんだそれ」
「秋ちゃん今から遊べるです?」
「いいよ、私も暇だし」
「じゃぁ駄菓子屋行くです?」
「しかたないなぁ、約束を1日繰上げだな」
「秋ちゃんは約束守るいい奴です!」
「そうだろっ!?」
「我が姉に爪の垢を煎じて浸からせたいです…」
「結構な量の爪垢いりそうだな…」
「秋ちゃんは宿題やったです?」
「ちょうど終わった所だったんだ〜」
「杏も終わったです…しかしお姉には天罰を与えるべしです」
「何の約束してたんだ?」
「本屋に一緒に行く約束をしていたのに、友達と約束したって出て行ったです…」
「あははは、柚姉ちゃんらしいじゃん!」
「あの女はきっと将来ロクな奥さんにはならないです…」
「かなり先の予言だな、柚姉ちゃんまだ中2だろ…」
「さっさと嫁に行けば良いです…」
「ははは…何買おうかなぁ…」
「杏はいつものにするです」
「大黒屋に来るたびにそれ買ってるけど、美味しいのか?」
「おいしいです。秋ちゃんも食べてみるです」
「本当だな?じゃあ買ってみる」
「味は保証するです」
「あ、これ初めて見るお菓子だ!」
「おおぉ!これはまさに!海老の旨みを凝縮してお菓子にしたとテレビで見たやつです!」
「でもお小遣い足らないや」
「2人で買ってわけっこするです?」
「いいね!」
「おばちゃん!これでお願いするです!」
「はいよ、ありがとうねぇ」
「どこで食べる?公園行く?」
「そうするです」
「さて、杏のおすすめを食べてみようじゃないか」
「絶対気に入るです」
「あ、本当だ美味しいなこれ!」
「私の味覚が、これは美味しいとずっと前から言ってるです」
「初めて聞いたわっ!」
「ずっと言ってるのに秋ちゃんが聞いていないです」
「本当に?」
「そうです。前にもこの喉越しがいいって言ったです」
「それ別の駄菓子じゃんかよっ!」
「そうです」
「……今この駄菓子の話をしてるんだよ」
「そんな事より海老の旨みを凝縮したのを食べるです!」
「そうだな!」
パキッ
「ぬおぉぉ!海老!海老です!!海老の旨みが凝縮です!!」
「うん!これも美味しい!」
「これはまさに地中海のオマール海老を何万匹と煮詰めて抽出されたエキスを使ったお菓子です!」
「いや、違うぞ」
「言いすぎたです…」
「わかってるならいいが…でも海老の味すごいな!」
「癖になる味です…」
「また買っちゃうよ、確かに」
「ここのメーカーは子供のお小遣いを全て略取するつもりです…」
「そんな大袈裟なことは考えてないと思うぞ…」
「このメーカーの株は買っておくべきです…」
「株ってなんだ?」
「秋ちゃんにはまだ早いです」
「そうなのか?ならお前もまだ早いんじゃないか?」
「そうです…お父さんにはダメと言われたです…」
「…ところでお菓子と駄菓子ってちがいあるのかな?」
「とくにないです。しいて言えばお菓子と言う言葉は大きな括りで、その中でも子供のお小遣いで買える小さなお菓子を一般的に駄菓子と呼ぶぐらいに覚えればいいです」
「お、おお。説明ありがとう…」
ドテッ!
「ビッ…ビエェェェン!!」
「おおお!ガキンチョが転けたです!」
「ありゃりゃ、僕大丈夫か?」
「ビエェン!」
「ど、どうするですっ!?」
「大丈夫か?痛くないぞぉ〜」
「ビェッ…ビエッ……」
「ほうらもう大丈夫だぞ、お姉ちゃんが抱っこしてあげるよ」
「ビエッ……キャハハ」
「おおおお!秋ちゃんすごいです!!」
「姪っ子で慣れてるだけだよ」
「あらあら!お姉ちゃん達ごめん、ありがとうね!」
「いえ、全然。」
「よかったわねぇ、お姉ちゃんに抱っこしてもらったのぉ?」
「キャハハハハ」
「そうだ!お母さん、この子に海老のお菓子あげても大丈夫ですか?」
「うん、いいけど…」
「これ美味しいからぜひ!」
「お姉ちゃんがお菓子くれるって!よかったねぇ!」
「はい僕、お菓子をどうぞぉ」
「あ…あっとぅ!」
「あはは!可愛い!杏、ありがとうって言ってくれたぞ」
「可愛いです!」
チュパッ…パリッ
「キャァアハハハハハ!!」
「そ、そんなに美味しいの…よかったわね…」
「あはは、喜んでくれた」
「本当にありがとうね、ほらお姉ちゃんたちにバイバーイって」
「ばばーい!」
「バイバイ!」
「可愛い子供だったな」
「秋ちゃんは意外といい奥さんになれるです…」
「意外とってなんだ?そしてさらに先の予言だな、私らまだ小5だぞ?」
「法律はいつ変わるかわからないです…」
「いや…ないだろ」
「しかもあの子供に海老の美味しさを教えてしまうとは…親泣かせな小5です…」
「何がだよ?」
「あの子はきっと3歳ほどにして、もう味の薄い海老のお味噌汁はまずいと感じてしまうです…」
「んな大袈裟な…」
「ところで秋ちゃん、喉乾いたからジュース買いに行くです」
「賛成!あ…お金もう持ってないんだった」
「フッ、貸しにしてやる!です」
「なんか杏に借りるの怖いな…」
「杏はコーラを飲むです!」
「じゃあひと口だけ飲ませてよ」
「まさかそれで借りを作らないつもりです?」
「ばれたか」
「仕方ないです。約束を守る親友にひと口あげるです」
「お、サンキュー!」
ティリリリリィ… チャララチャッチャラァ♫
「ぬおぉぉ!秋ちゃん!ジュース当たりです!」
「すげー!初めて当たった人みた!」
「秋ちゃん好きなの選んでいいです」
「え、ほんとに?」
「奢ってやるです」
「やった!ありがとうな杏!」
「どういたしまして!です」
チャン チャチャーン〜 チャ〜チャチャン〜♫
「ありゃ、もう5時か」
「飲んだら帰るです」
「かえって7時からの犬猫大集合見ないとな」
「杏は帰ったらお姉に針1万本刺してやるです」
「怖いわ!」
「じゃ、また明日な〜」
「うん、バイバイです」
「ただいまで〜す」
「おかえり杏、秋ちゃんと遊んでたの?」
「お母さんただいま。そう、秋ちゃんはいい奥さんになるです」
「なんの話?」
「おかえり杏。ごめんな今日は、また行こうな」
「フッ…さっさと嫁に行くがいいです、このダメ女が!です…」
「嫁?ダメ女?なんの話だ?」
「うるさいです!」




