1001④
友人同士なのだろうか。
だがそれにしても、スキンシップがかなり激しいような気もする。
友人というより、ただのセクハラエロ親父だった。
「あ、忘れてた」
少女は瑞葉に頭を掴まれながら、こちらを向く。
「悪いね、怖い思いさせてしまってねー」
「あぁ、いえ」
終始、この状況に圧倒され、言葉が出なかったが、声をかけられようやく言葉が出た。
「自己紹介が遅れたね。私は夜月雫」
礼儀正しく、挨拶をされる。
雫は瑞葉の手を退かし、目線を合わせてる。
「それから、この子は陽狐瑞葉」
「陽狐瑞葉……いい名前だ」
その響き、感動に浸る。
「なんか、私の時と反応違くない?」
だが、その言葉は奏に届かなかった。
頭から足元までじろじろ見た後に奏の腕を凝視する。
先ほど、瑞葉によって斬られた腕の傷から血が溢れていた。
「いやー……うん、瑞葉謝ろう。訴えられたら勝てない」
「じゃあ、殺っとくか」
そう言うと、瑞葉は鍔を親指でカッと弾く。
「だから、ダメだって」
即座に雫は刀を強く抑える。
「わかった」
そう短く答えると、瑞葉の体が光に包まると、耳や尻尾が消え、先ほどの服装に戻った。
「さて、とりあえずその傷、手当てするから一緒に来て」
「あ、はい! 是非!」
「この人、本当にさっきまで殺そうとしてた人だっけ?」
雫が瑞葉に目を向けると、瑞葉は首を縦に振る。
◇
あれから二〇分ぐらいたっただろうか。
目隠しされ、歩きでどこかに連れて行かれていた。
目隠しされてすぐの時、匂いが変わった。
先程までいた場所は、簡単に言えば田舎だ。
田舎特有の木々の匂い。
それが目隠しをされてすぐに無くなった。
まるで全く異なる場所に瞬間移動したかのように。
「あのー、すみません」
「ん? なーにー?」
「手当てするんですよね?」
「そうだよー?」
「どこまで行くんですか」
「医務室」
「医務室遠くないですかね!?」
「まぁ、うん。だって、迷ったし」
「迷った!? あの、すみません目隠し外してください!」
「ダメ」
後ろから瑞葉が短く返答する。
そして、進めと伝えるように腰を棒のようなもので軽く押してくる。
恐らく、鞘だろう。
「ちょ、押さないでくれって」
「ごめん、最近改装と部屋の入れ替えがあって────」
「雫、デバイスは」
「デスクに置いて来ちゃって……」
申し訳なさそうに、声が段々と小さくなる。
「大事なものって、そんなすぐに忘れてしまうものか」
「とろい」
「二人して虐めですか! 仕方ないじゃん! あと少し遅れてたらこの青年死んでたんだから!」
奏は何も言い返せず、口を閉ざす。




