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試行錯誤の異世界旅行記  作者: 取方右半
第11章 星の橋
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11-13 ラビリンスのボスⅡ『前編』

 レイがボス挑戦を思いついたのは、比較的早い段階だった。


 一時間半のタイムリミットで死に戻ってきてすぐに、このまま迷宮を普通に逆走する方法ではどうにもならないと考えていた。


 《トライ&エラー》によって記憶を引き継いだリザ達が、時の流れを変えるにしても限度がある。戦っている相手が強敵なら、並大抵の方法では時の流れを変える事は出来ない。


 彼女達がどれだけ頑張っても、死までのタイムリミットを一時間から二時間程度伸ばすのが限界だろうと予想を立てていた。


 合計すれば三時間半。


 この短い時間で迷宮を突破するのは不可能だ。


 ただし、通常の方法で、という言葉が間に入ってくる。


 通常の方法で不可能なら邪道な方法で迷宮を突破すればいい。これまでにも奇策めいた方法で困難を乗り越えてきたレイならではの思考の道筋だった。


 例えば、冒険者たちが見つけていない未発見の最速ルートがあるかもしれない。あるいはシアトラ村の迷宮同様に転移のダンジョントラップが何処かにあるかもしれない。それらを探して地上へのショートカットに使えないかと考えていた。


 ところが、一回、二回と死を繰り返しても判を押したように同じ結果になったのに違和感を抱いた。三回目の死で、まずいと気づいた。


 死のタイミングが変わっていないという事は、死ぬことが既に運命づけられているか、運命を変えられないような相手か、死を繰り返している事に気づいていないかのどれかだと気づいたのだ。


 このまま幾ら死を繰り返しても、死までのタイムリミットが伸びる事は無い。


 この時点で、迷宮を逆走するという方法を捨てた。


 同時にボスの間を突破して迷宮を真っ当な方法で攻略するという方法を思いついたのだ。とはいえ、それをすぐに実行できない事情があった。


 それに、迷宮を逆走するという方法を捨てておきながら、その後もこりもせずに繰り返したのは理由があった。


 情報が欲しかった。


 地上がどのような状況なのか、誰が相手なのか、パーティーメンバーの安否はどうなっているのか。それを知っていて地上に出るのと、知らずに地上に出るのは大きく違う。


 死のタイミングが定まっているのなら、裏を返せばそれまでは死ぬ運命に囚われた人物は死なずに済むという事だ。それが下手に介入する事で狂ってしまうのをレイは恐れていた。


 地下に居る分には、脅威となる存在はレイの周りに居ない。意識を失う可能性も少ないため、《トライ&エラー》を繰り返しやすい。この安全地帯からリスタート出来る間に、地上の情報を少しでも欲しくて、レイは地上に近い階層を目指していた。


 結局、一時間半というタイムリミットで到達できるのは、地上から数えて十四階層目までだった。


 シアラの《声送ボイスオンリー》の効果範囲外だ。これ以上、地上に近づくのは不可能だと判明した。


 だから、レイは最後の最後に、龍刀の真なる力を引きだし岩盤を貫くという荒業に出た。


 そのかいあって、状況が自分の想像を超えていた事を知り、レイは決断した。


 ラビリンス中央部上層のボスモンスターを倒す事を。








「あ? 俺達がお前と? 冗談だろ。誰が一度も組んだことも無いような奴と一緒に、ボスに挑むんだよ。連携なんか、取れっこないだろ。大体ボスを攻略しても、ここだけじゃ中層に降りる事も出来ないのを知らないのか?」


「ふーん。素敵なお誘いね。でも、残念。組むなら報酬は前払いよ。だって、戦っている最中に貴方が死んじゃうかもしれないじゃない。そしたら報酬の貰い損よ。え? 魔石を売った金額を全て? それはダメ。冒険者の掟に反してるわ。魔石の取り分はパーティーの頭数で割って均等に払うのが共同で戦う時の鉄則よ。……私が話しているのはね、貴方が私達を雇う事の報酬よ」


「其方が本当に《ミクリヤ》のレイならば、興味深い話である。だが、聞くところによれば、かの御仁は昨日の内にボスを討伐し、地上に戻ったと聞く。昨日の今日で、ここまで来れるような容易き迷宮では無い。大方、かの御仁の名を騙り、悪しきことを企んでいるのだろう。ギルドのプレートを偽造する事は重罪だが、一度だけだ。見逃してやるから、去れ」


 全戦全敗だった。


 片目にモンスターの爪跡があった年嵩の冒険者に断われたレイは、肩を落として酒場を出た。


 通りを行く人々はみな冒険者だ。それもラビリンス中央部上層の最下層まで突破できる実力を持った冒険者。それなのに彼らは皆が皆、レイの頼みを断ったのだ。


 鼻であしらわれ、報酬で足元を見られ、理屈で追いやられた。


 恐らく、道行く人々も似たような反応をするのだろう。残念ながら、学術都市にレイの知り合いと呼べる冒険者は『紅蓮の旅団』ぐらいしかおらず、彼らは全員地上に帰還している。


「やっぱり、難しい頼みなのか。……共同でボスに挑戦して欲しいなんて」


 気落ちしたレイの言葉が雑踏に溶け込む。視線の先にあるのは、昨日も潜った堅牢な扉だ。


 分厚い、地響きを立てて開かれる門の先にはラビリンス中央部上層のボスが二体待ち構えている。レイはボスと戦うにあたって、仲間を集めようとしていた。


『ぎゃははは! 本っ当にてめぇは頼りねえな。冒険者相手にお願いなんて、足元を見られて軽く扱われるに決まってんだろ。重要なのは腕っぷし。言う事を聞かない奴は力づくで首根っこひっ捕まえて縦に振らせりゃいいだろ』


 錆びた歯車を無理やり回すような不快な声が頭の中でする。影法師の声に、レイは雑踏の中だから思考で返した。


(黙れよ、影法師。そんなやり方で一緒に戦ってくれたとしても、最後の最後に闇討ちされるかもしれないだろ。だいたい、その程度の奴が戦力になると思うのか?)


『……はっ。言うじゃねえか。だったら聞くが、なんで仲間集めなんざしてんだ。一人で挑めばいいじゃねえか。似たようなことは一度やってんだろ』


(ネーデの時の事を言ってるのか。だとしたら、あの時とは状況が違う。ここのボスモンスターは二体、いや二種類出てくるかもしれないんだぞ)


 レイが言葉を変えたのには理由がある。


 二体ではなく、二種類出るという事が冒険者にとっては非常に厄介な話なのだ。


 多くの冒険者にとって厄介な戦いというのは、自分よりも強いモンスターと戦う事では無く、複数の種類のモンスターと戦う事である。冒険者が徒党を組み、役割分担を決め、個々人の苦手な部分を補って戦うのはそうする事が生存する確率を高めてくれるからだ。


 同じ事が出来る集団というのは、その事が通じなければどれだけ強くても呆気なく瓦解する。別々な事が出来る者達が集まると、個人のレベルが弱くても格上のモンスターと戦い勝つことも可能になる。


 この理屈がモンスターにも適用される。例えば魔法を反射するモンスターが居るだけで、魔法という選択肢は無くなってしまう。そこに壁のように分厚く、防御力の高いモンスターが居るだけで守備は完璧だ。等級が低い集団でも、一気に手こずる相手に変わってしまう。スタンピードが危険な理由は、膨大な数を相手にする事と同時に、複数の種類のモンスターと同時に戦う事になるからだ。


 ラビリンスではあらゆるモンスターが出没し、コロニーを形成している。気位が高く、縄張り意識が強いモンスターは同種とだけ共に行動するが、逆に縄張り意識が薄かったり、冒険者と戦い敗北し手数を減らした手負いのモンスターは徒党を組む事がある。


 そしてラビリンス中央部上層のボスモンスターは必ず二体現れる。同種同士という事もあるが、十種類のモンスターから同じ種類が選ばれる確率は一パーセント。残りはほぼ別種同士なのだ。


(僕の持っている攻撃手段が通じないボスモンスターが出たら、その瞬間に詰んでしまう。昨日戦ったクアッドケンタウロスだって、逃げに徹されたら追いつけなかったと思う。僕に足りない物を補うのが、仲間なんだ)


 レイがボスモンスターを倒して地上に戻るという選択肢を思いつきながらも、すぐに実行しなかった事情がこれだ。


 一人で挑んでも、相性の問題で倒せない可能性があった。あるいは、石化や麻痺の力で身動きが取れなくなり、自殺も出来ない状態で放置される可能性もある。一人でボスに挑むのは、大変なリスクを伴う行為だ。


『それで仲間集めっていうのは理解できるが……土台無理な話だろうな。見知らぬ奴と一緒に戦う難しさは、この一月で嫌というほど理解しただろ』


(……それは、まあな)


 影法師の正論に思わず言い淀んでしまった。


 影法師が指摘したことは、『紅蓮の旅団』との合同訓練会の事だ。


 クロノやヨシツネのように迷宮初心者じゃない無いレイは、一月の間数日おきに別の冒険者と組んでモンスターと戦っていた。その内訳はバラエティに富んでおり、蹴り技主体の格闘家、回復魔法を使いながら接近戦をこなすヒーラー、範囲指定の攻撃魔法ばかりを覚えていて仲間ごと吹き飛ばしかねない魔法使いも居た。


 そんな冒険者たちと共に戦う上で徹底的に行ったのが、自分の得手不得手をきちんと理解して、相手にも正確に理解してもらう事だ。相手の事を知らなければ、自分の事を知ってもらわなければ命を預けるには不足だ。


(実際、理に適ってるんだよな。互いの得手不得手を理解すれば、自ずと自分たちが取れる戦法とか連携手段とか思いつくし、倒せない相手と遭遇した時の撤退の判断がしやすくなる。逆に、それを知らない相手とぶっつけ本番でボス戦を挑むなんて自殺行為と同じだ。誰だって引き受けたがらないよな)


 考えに納得すると、レイは見つめていた門の方へと歩き出した。これ以上仲間集めに奔走しても時間の無駄になる。タイムリミットまでは残り三十分ぐらいだ。


 レイは死が訪れる前に、どんな組み合わせのボスが現れるのか、それを確認する事にした。


(できれば、もう少し道具を揃えたかったけど、いまからモンスターを狩りに行っても間に合わないな。それは次に持ち越しだ)


 負ける事を想定しての考えでは無い。ただ、この時点でボスを倒して地上に戻っても時間的な猶予があまりなく、ヨシツネも死んでいる可能性が高い。今回は仲間集めとボスモンスターがどんなのか確かめるだけに止めようとレイは考えていた。


『登場するボスモンスターは昨日てめぇらが倒した後に生成されたんだよな。だとしたら、《トライ&エラー》で幾ら繰り返しても変わる事は無いのか』


(ん? まあ、そうなるな)


『なら聞くが、どんな組み合わせのボスモンスターが厄介なんだ。てめぇらの事だから、事前に幾らか下調べしたんだろ』


(そりゃしたけどさ。お前、聞いていないのか)


『まあな。興味が無かった』


 あっけらかんと言われてしまえば、返す言葉も無い。レイは門に着くまでの暇つぶしとして、影法師に語り始めた。


(超級ボスモンスター五種、上級モンスター五種、合わせて十種類のモンスターから二体選ばれるのは話したよな。ヨシツネの聞き込みの結果、やっぱり超級ボスモンスター同士の組み合わせが厄介だって意見が多いな。特に厄介なのは超級のグランドメイジ同士の組み合わせだって言われてるよ)


『はぁ? 同種同士の組み合わせならそこまで脅威になんねえじゃねえのか?』


(普通ならな。ところが、グランドメイジは互いを補完できる組み合わせなんだ)


 レイは歩きながら、ヨシツネが収集した情報をかいつまんで説明した。


 グランドメイジは名前の通り、魔法を使うモンスターだ。物理攻撃の類を一切使えず、それに対する対処法もほとんど持っていない、魔法に全能力を特化したようなタイプだ。


 そんな一点突破型のモンスターが超級に認定されているのは、切り札を持っているからだ。


 名前の通り魔法を操るグランドメイジは、冒険者で言う所の旧式魔法の超級を連発できる。これだけでも脅威なのに、グランドメイジはあらゆる魔法攻撃を吸収する性質がある。厄介な事に吸収した魔法をエネルギーに変換し、自身の力を回復するのだ。


 モンスターも魔法を使えば力を消費する。回復する手段は体を休めるか栄養を取る事だけだ。それがグランドメイジは他者の魔法を吸収する事で力を回復するのだ。


 たとえそれが、自分と同種のモンスターであっても吸収できる。


『それじゃ、まさか……片方が撃った魔法を吸収して力にして、それを魔法にして撃てばもう片方がまた吸収するのか。そうやってずっと連鎖していくのか?』


(そうなるだろう、というのがシアラの見立てだな。流石に使った力をそのまま吸収するわけじゃないが、それでも魔法を発動、巻き込まれて吸収回復、またしても魔法発動という流れは十分あり得る)


 脳裏に浮かぶのは、視た事も無いモンスターが雷の魔法を周囲に撒き散らしている光景。雨のように降る雷は味方グランドメイジをも巻き込み、しかし味方の力を回復させるアシストでもある。


 旧式超級魔法が間断なく放たれれば、それを対処するのは非常に難しい。


 グランドメイジが二体出現するのは、間違いなく脅威だ。


(他にも厄介な組み合わせはあるけど、っと。話してたら着いたよ)


 レイが足を止めたのはボスの間に続く扉の前だ。昨日は見物人が大勢押し寄せていたが、今日は誰一人姿を見ない。ここから中層に降りる事は難しいため、興味が失われてしまったのだ。


 レイは誰にも注目されていない内に、扉の方へと近づいていく。すると、レイの事を察知した門がひとりでに動き出した。


 地響きを立てながら開かれていく門に、デッドエンドスポットの住人が気づき始めた。昨日の今日で、新しく挑戦する奴の顔を見ようと通りに人が集まっていく。だが、レイは注目される前に扉から中へと入っていた。


 どのような仕組みになっているのか不明だが、扉はまたしても勝手に閉じていき、レイをボスの間に閉じ込めてしまった。


 暗闇に灯りが生まれる。


 壁際にあった松明に火が灯ると、ボスの間の全景が見えてきた。それは前回と全く違う光景だった。


 前回のボス戦、クアッドケンタウロスとジェネラルオーガとの戦いの時、この空間には背丈を越える岩がゴロゴロと散乱していた。見通しが悪く、死角の多い場所だった。


 それが今は、どこまでも見通しの良い、遮蔽物なんて何もない開けた空間となっていた。身を隠す事なんて出来やしない。


 ヨシツネが手に入れた情報の中に、ボスの間も出てくるボスモンスターに応じて姿を変えるという物があった。これが今回のボスモンスターにとって戦いやすい空間なのかもしれない。


 レイは龍刀を抜き放ち、フィーニスの影を呼びだすと鎧にして纏った。そして、敵が襲ってくるかもしれないと構えていた。


「話の続きなんだがよ」


 すると、影から影法師の声が響いた。レイは明らかに嫌そうな顔をして、


「あのな。もうじき戦闘が始まるから、お喋りは後にしてくれないか」


「いいじゃねえか。すぐに済む話だ。さっきの組み合わせが厄介な組み合わせなのは、パーティーでの話だろ。そうじゃなくて、()()()()()()()()()()()はいないのか?」


「……いるよ」


 影法師の言葉に、ヨシツネが収集した情報の中にあった名前を思い出す。


 厄介なボスモンスターの組み合わせというのは、パーティーによって違いが出る。近接偏重のパーティーなら、ジェネラルオーガとアルバトロスゴーレムの組み合わせだと接近戦が封じられてしまう。魔法偏重のパーティーなら、グランドメイジが居るだけで全滅するリスクがある。


 だが、そんな彼らでも口を揃えて簡単に倒せるボスモンスターが居ると答えていた。


 対処方法さえ間違えなければ、それこそ低級魔法の一発で倒せる相手だ。


 しかし、それはパーティーで挑む場合の話だ。


 個人で挑む場合、そのモンスターは最悪の化身となって現れる。


 付いた二つ名は『ソロ殺し』。


 べちゃり、と。近くで水音がした。レイがそちらの方を向くと、地面に銀色の水たまりが広がっていた。天井に張り付いていたのが落ちてきたようだ。


 瞬間、全身の肌が粟立った。


「ぎゃははははは! こいつは傑作だなぁ! 今のてめぇにとっちゃ、最悪の相手がお出ましだ」


 影法師の下卑た笑い声に、こいつがヨシツネの話を聞き流していたのが嘘だと気づいた。それどころか、こうなる事を予感していたから、あんな質問をしたのかもしれない。


 銀色の水たまりが震えると、それは一点に集中しだす。粘液は見えない手でこねられるように姿形を変えると、一人の人間になった。


 髪の色は黒に白が混ざる。幼げな相貌には刃で付けられた傷が痛々しく残り、体を覆うのは皮膚を剥いでむき出しとなった筋肉のようなグロテスクな鎧。手には紅蓮に輝く日本刀が握りしめられていた。


 それが誰を模しているのか、言うまでも無かった。


 無機質な瞳と視線が交わると、それはレイに向かって飛びかかる。レイは龍刀を振るって応戦すると、影の鎧から刃が飛び出してくる。


 空間を削る勢いで迫る刃に、レイの影も応戦した。同じ数の刃が伸びると、相手の攻撃を防いだ。


 しかし、それは相手にとって目くらましに過ぎない。影の刃と刃がぶつかっている隙に、レイの視界から消え、背後に回っていた。無防備な背中に向けて紅蓮の刃が振り下ろされる。


 だが、刃が落ちるよりも前に、レイの鎧の一部が蓋のように開くと、腰に差してあったダガーが影の手で取り出された。バジリスクの魔短刀(ダガー)は刀身から雷を放つと、背後の襲撃者は雷撃に吹き飛ばされる。


 喜ぶ暇はレイに無い。何故なら視界の先に、まったく同じ存在が迫っているのに気づいたからだ。刃に紅蓮の炎が絡みつき、それが振り下ろされようとする。レイも同じように龍刀に炎を巻きつけ、振り下ろした。


 互いの放った炎の刃が空気を焦がし、激突した。


 炎と炎とは互いを糧のように貪り合い、空中で花開く様に爆発した。瞬間、薄闇に支配されていたボスの間が明るくなった。松明の灯りだけでは分かりにくかった、敵の姿がくっきりと見えてしまった。


 レイの背後に回り襲いかかった存在は、レイと同じ顔をしていた。


 レイの正面に立ち炎の刃を放ったのは、レイと同じ顔をしていた。


 そこから導き出される答えは一つしかない。


「最悪だ……本当に最悪だ。ミラースライムがボスモンスターかよ!!」


 歯を食いしばったレイのうめき声を浴びても、同じ顔をした存在は微塵も揺るがず、絶望を具現化したような姿をしていた。


読んでくださって、ありがとうございます。

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