閑話:法王庁
「あの。今更なんですけど、法王庁ってどんな組織なんですか」
砂漠の大地にレイの疑問の声が染みる。
アルビノ砂漠の中でも飛びぬけて危険地帯である悪魔の巣。その中心部たる迷宮前で暢気に宴を開いている中、ふと、『招かれた者』である少年は尋ねた。
素っ頓狂な発言を聞いていたのは、ごく一部だ。多くの者は飲めや歌えやの乱痴気騒ぎ。酒の類は一切無いから、素面であれなのかと未成年組は戦慄し、距離を置いていた。特に騒いでいるのがローランで、今にも脱ぎそうなのを少年のようなマクスウェルに羽交い締めされている姿は滑稽でもある。
そんな中、数少ない正気を保っていたミストラルはレイ達の傍で食事をしていた。より正確に言えば、隙あらばレイに対して距離を詰めようとし、それをリザやシアラが防ぐという攻防戦が繰り広げられていた。静かな死闘に冷や汗を浮かべるレイは、場の空気を変えるべく、前から抱いていた疑問を口にした。
「ちょ、ちょっと主様。法王庁の神官を前に何とんでもない事を口にしているのよ」
慌てて遮ろうとするシアラだが、話を振られたミストラルは人好きのする笑みを浮かべて構いませんと返した。
「伝道は神官の務めです。教会の教えに興味があるのでしたら、是非、私にやらせてください。それこそ、手取り足取り―――」
「―――エトネもしりたい、です」
妖しげな振る舞いをするミストラルの間に割り込んだのは無垢な瞳を向けるエトネだった。山暮らしが長かったこともあり、エルドラドにおける常識について異世界人であるレイと同じぐらい疎かった。
「まあまあまあ。こんな幼気な子に教えるなんて」
何が嬉しいのか、赤く染まった頬に両手を当て、小首を傾げる姿は体のラインを強調する修道服と相まって形容しがたい淫靡さを醸し出す。レイはエトネを盾にしつつ、お願いしますと言った。
「それでは。まず歴史のおさらいから始めましょうか。法王庁はかつて冒険王エイリーク様と旅をした者の一人が始まりです。神々との対話が出来なくなって久しい時代、エルドラドの各地で精霊や古代種の龍、あるいはモンスターと言った人ならざる者への信仰が各地で見られるようになりました」
「モンスターって、あのモンスターを神様のように信仰していたんですか?」
「ええ、その通りです」
一瞬、レイの頭の中で漫画やアニメで出てきそうなヤギの頭を被った呪術師が生贄を捧げている、悪魔崇拝のようなイメージが浮かび上がった。
表情から察したのか、ミストラルが気落ちした様子で続けた。
「驚くのも無理はありません。何しろ、今よりもモンスターの活動が活発で、今のような世界規模で活動するギルドが無い時代。モンスターという言葉の通じない相手が人間の生活圏のすぐ傍に居るのです。日々、死と隣合わせの生活を強いられていた人々は、精神の安寧を得るために、モンスターを神格化したのです」
一般人では低級モンスターですら厄介な害獣だ。それが中級、上級ともなれば、生きた災害とでも呼ぶべき存在になる。そのため、当時の人々はモンスターを自分たちの上に置くことで精神の均衡を保ち、生贄を出す事で多数を生き残らせる方法を選んだ。その為の理由付けとして彼らを崇めるようになったとミストラルは説明した。
「でも、ギルドが無くて冒険者が居なかったとしても、国によっては自前の軍隊ぐらいはあったんじゃないんですか」
「もちろん、ありました。ですが、その頃のエルドラドは乱世の時代でしたので、民を守る為に兵を使うよりも、土地を奪うために兵を使う為政者が多かったのです」
13神たちが直接介入できなくなった無神時代の始まりは、大地に流れる魔力が減少しだした時代でもある。それは世界中で不作が続き、自国の民を食べさせるために他所から奪う戦争が頻発していた。為政者たちは食料を手に入れるために軍を使い、民を守る意識に欠けていた。むしろ、口減らしの意味で黙認していたのかもしれない。
モンスターも迷宮から流れ込む魔力が少なくなれば、外に餌を求めて這い出てくる。飢え死にを避けるために、時にはモンスター同士で食い合い、そして人間を襲うのは当然の流れだった。だからこそ、リスクをコントロールする意味を込めて生贄を差し出すという風習が辺境の村々で誕生しても、何ら不思議ではなかった。
「そういった土着信仰では本当の意味での救済に到れない。法王庁の開祖はそう考えたのです。本当の意味で寄る辺となる信仰をいまこそ取り戻すべきだとお考えになられました。冒険王との旅を終えると、開祖は無神時代が始まるよりも前の、失われた13神の伝説を蒐集しだしました。かつて、エルドラドに降り立った神々の言葉や行動を記録し、整理し、そこから教義を見出し、一つの宗教として統合しようとしました」
無神時代が始まる前。
神々と直接対話が出来た時代。
エルドラドの宗教世界は群雄割拠といえた。何しろ、13の神々全てに別個の教会が存在していた。一つの街に複数の教会が設立され、信者獲得の為に辻に立つ神官たちが互いを詰る始末。
それぞれがそれぞれの教義を掲げ、時にはそれが火種となって争いになっていた。
そんな状況は無神時代が始まると、潮が引くように終わりを迎えた。信徒たちは神に見捨てられたと嘆き、その責任を他者になすり付け暴動が起き、為政者たちは国を守る為に宗教を弾圧する羽目になった。
結果として各教会が収めていた書物や口伝は失われてしまった。今でも残る、顔の無い13神の像は、その時の名残を伝えるためのデザインだ。
燃え尽き、廃墟となった神殿から欠片のような神の言葉を拾い上げ、13神への新たな信仰へと至らせたのが法王庁の始まりだった。
「開祖の考えに冒険王は酷く関心を寄せたそうです。それこそ自分の体が動けば、共に冒険の旅に繰り出していたかもしれません。ですが、その時の冒険王はご高齢。若かりし頃のように体は動きません。そこで彼は自分の信頼できる冒険者を数人選抜し、開祖の旅に同行するように命令したのです。それがギルドの前身にあたる冒険者組合において初めて結成されたパーティーにして、『神聖騎士団』の前身にあたる組織です」
開祖の回顧録によれば、冒険王が選んだ冒険者は四人。その中で最も強かった冒険者に『聖騎士』と二つ名を与え、最も信仰心の篤かった冒険者に『聖女』と二つ名を与えた。
かくして開祖を含めた五人は、失われた13神の伝承を蒐集するための旅に出た。それは苦難と困難の歴史だったと回顧録は語る。冒険王の活躍により、世界中でモンスターに対する反抗の機運が高まってきたとはいえ、まだエルドラドは今と比べても相当な危険地帯。加えて戦乱の時代が続いていたことで人心が乱れ、野党や盗賊へと身を落とす人々も多かった。
開祖はそんな人々に向けて神への信仰心を説いて回った。それは多くの人間の心を揺り動かす事は無かったが、少なくない人間の心に変化を生み出す事は出来た。自らの行いを省み、悔やみ、改めようと申し出る者が開祖の前で跪くようになると、いつの間にか旅の仲間が増えて行った。
「開祖は冒険王と旅をしたときに得た力は一切使わず、言葉だけで降りかかる悪意を沈めていきました。それに導かれるように考えを改めた人々は開祖の後ろに並び、彼の弟子を名乗るようになりました。いつしかそれは、集団となっていきました」
そんな開祖の旅にも終わりは訪れた。元々、高齢という事もあり、二度目の旅に体が耐えきれなくなった。彼の体調を慮って、『聖騎士』たちは一カ所に留まるようになった。その噂を聞きつけた、かつて開祖の教えを受けた人々が集まり出すとそこは村と呼ぶには大きな集団となってしまう。
「いまではそこを聖地と呼び、法王庁の本拠が置かれています。開祖はそこで死ぬ間際まで13神への信仰に関する聖典を書き上げました。それが今日まで続く、法王庁の教義となっております。世界に平和を、世界に光を、世界に祝福を。それが私達の役目です。……どうやら、エトネちゃんには難しい話だったみたいね」
いつの間にか、エトネはレイの膝の上で丸くなって眠っていた。寝息を立てる少女がぶるりと体を震わせると、レティが毛布を持って掛けて来た。
「歴史の話はこれぐらいにして、法王庁という組織がどんな組織かという話に戻りましょう。まず、法王庁は13神を敬う宗教組織、国家間の争いや対立を仲裁する国際組織、そしてギルドや国でも手の回らない辺境の地において平和を保つための防衛組織の三つを有しているのを覚えておいてください」
「……随分と手広く活動されているんですね」
レイの返しにミストラルは苦笑した。その際に胸元を強調するせいで、視線があらぬ方向に向かいそうになる。慌てて右を向けば、リザの晴れた大空を思わせる青い瞳が絶対零度の視線を放ち、左を向けばシアラの摩訶不思議な金色黒色の瞳が射殺さんばかりの視線を放っていた。
「そうですね。ですが、これも仕方ない流れだったのです。開祖がお倒れになった後、開祖の薫陶を一番受けていた弟子の一人が代表となりました。その者は、開祖の教えを世界中に広めるために法王庁の設立を宣言しました。といっても、その当時の法王庁は今ほどの規模はありません。あったのは、開祖と危険な旅を潜り抜けた冒険者たちです」
法王庁の始まりは武力にあった。
幾ら開祖の考えが素晴らしくとも、まだ人心の乱れは残り、人の命は紙吹雪のようにあっけなく吹き飛んでしまう。そんな明日をも知れぬ人々に向けて、13神を信じましょうと教えた所で聞く耳を持たない。神に祈りを捧げた所で、神が助けてくれる訳ではない。
「ならば、実際に救われれば、人々は話を聞くのではないか。初代法王はそう考え、『聖騎士』に命じたのです。神に祈りを捧げれば、本当に救われるのだと教えなさい、と」
かくして『聖騎士』と『聖女』を含めた冒険者達に一つの任務が与えられた。それは世界中を周り、救いを求める人々を助けて回るという内容だった。祈っても救われないのではなく、祈れば救われると世に知らしめろと彼らは送り出された。
その旅は開祖との旅以上に困難に満ちていたはずだ。世界中、どこを見渡しても助けを請う人々で溢れ、冒険者組合はまだ対応しきれていなかった。冒険者組合がギルドと名前を変え、発展を遂げるには、『科学者』が登場するまで待たなくてはいけない。
ギルドが小規模で、訪れる国々も協力を惜しむ中、それでも彼らは懸命に戦った。全ては開祖の教えを広めるため。それは一種の狂信とも取れる行動だった。だが、そんな狂信ですら、絶望に沈む人々の目には新鮮に映った。
「いつしか、13神に祈る事を始める村々が増え、それは次第に街へと広がり、国へと波及していきました。『聖騎士』たちに救われ、あるいは活躍を耳にした人々が彼らに協力を申し出、中には冒険者へなった者が大勢いました。数を増やしたパーティーは名を改めました。その名が《神聖騎士団》です。世界初のクランの誕生です」
「ああ、それで名前がパーティーなのに団と付いているのですね」
ミストラルはその通りですと手を打った。まるで教師に褒められた生徒のような気分だとレイは思う。
「こうして人々の間に13神の教えが伝わり、聖地に人々が足を向けるようになると、残念な問題も起きるようになりました。新興宗教に対する弾圧です」
元々、土着信仰に対する否定から生まれた13神への信仰は、対立と軋轢を生んでしまう。信者獲得の為にと武力を知らしめたのも問題があった。幾つもの死線を潜り抜けた結果、『聖騎士』は単体での戦闘力で、ギルド内最強となってしまった。それはエルドラド中の存在と比較しても、相当上位に食い込むことになる。
得体の知れない新興宗教が単一で最強の武力を保持しているという状況は、近隣諸国の為政者には歓迎できなかった。不安と不信による弾圧の嵐が吹き荒れようとする中、法王庁は一つの決断を下した。
それは《神聖騎士団》の所属を法王庁だけではなく、ギルドにも登録するという決断だ。当時、『科学者』の来訪によって急速に規模を拡大していったギルドは商業や流通の面においても各国に対して影響力を与えていた。そのギルドに《神聖騎士団》の手綱を取らせると宣言することで、ギルドと法王庁が手を組んだことを示した。
これによってギルドを敵に回す事で、魔法工学の道具や魔石の輸入、それに冒険者たちの派遣などで世話になっていた国々は法王庁への弾圧を自粛するようになった。かくして一件落着―――とはならなかった。
「レイ殿は魔法工学の兵器はご存知ですか」
「ご存知も何も、実際に使ったことがありますよ。アマツマラで起きたスタンピードの際に、偶然使う機会がありました」
レイの説明に目を丸くしたミストラルはどうでしたかと尋ねた。
「……とんでもない武器ですね。あの時、津波のようなモンスターに襲われて、我武者羅に引き金を引いてましたけど、あっけなく倒れて行くモンスターを見て自分が強いと錯覚をしてしまいました。まるで、箒でごみを吹き飛ばすように、簡単に倒れていって、思い返してみれば、怖くもありました。あれが、モンスターでは無く、人に向いたらと考えると」
手にした兵器は重かった。だが、その重さと奪った命の量は絶対に吊り合わない。口にしてから、あの戦場で倒れていたのが人間だと想像して背筋を凍らせた。すると、震えるレイの手を、ミストラルがそっと重ねる。
白く、たおやかな、温かみを帯びた指先が羽毛のような繊細で触れると、レイの凍り付いた背筋を、別の感覚が震わせた。
「おかわいそうに。さぞや、大変な目に遭ったのでしょう。どうか、その悲哀をこの身にぶつけ、晴らしてくださっても―――あら、あら、あらー」
無言のまま両脇を掴んだリザとシアラに引きずられていく『聖女』。向うの方では結局全裸になって踊っている『聖騎士』とその仲間達が見えたが、視界に入れないように努力する。
「もう! 『科学者』ノーザンが生み出した兵器はレイ殿の仰る通り、人に向ければ一瞬で多くを死に至らしめる危険な兵器でした。それを知りつつも、各国は求め、求めるがままに『科学者』は作りました。かくして、人類の黄金期は終わりを迎え、戦乱は苛烈さを増しました。このままでは何もかもが滅ぶと考えたギルドは法王庁に、各国の為政者たちを説得するように依頼してきました」
地道な説教をするのは法王庁の神官たちには慣れた事だ。
ギルドから依頼された法王庁は時に人々が争う戦場に赴き、時に銃後を守る民衆の前に立ち、時に厚い城壁に守られた王たちに跪き、戦争の愚かさと悲惨さを訴えかけた。それがどれぐらい効果があったのかは定かではない。ただ、いくつかの戦争が法王庁の呼びかけにより停戦へと運ばれたことは事実だった。
もっとも、兵器による戦争を終結させたのは『機械乙女』の登場だと歴史は語っている。それでも、法王庁の活躍は人々の心に影のように残っており、法王庁が国家間の対立における仲裁役を頼まれるようになる所以となった。
「それから時代が移り、モンスターの活動が消極的になると穏やかな時代が付注ぐようになりました。不作の時代も終わると、《神聖騎士団》も形態を変える時期を迎えました」
その頃にはもう、初代法王も初代『聖騎士』も初代『聖女』も居なくなっていた。彼らの後を継ぐように、弟子や新たな冒険者が名前を受け取り、更に後代へと託して行った。
とはいえ、《神聖騎士団》の役目は時代と共に変わろうとしていたのは事実。人数を減らし、少数精鋭の集団となった。
「いまでは『聖騎士』の称号はその時代における最強の冒険者に与える名誉のような物になっていますね。ギルド預かりだった身柄も、いまでは法王庁とギルド、双方から重大な問題や厄介事を解決するための雑用係となってしまいました」
「雑用係って言う割には強すぎる気がしますが。あの人、昼間ここに道案内するまでの間、遭遇するモンスターを一撃で粉砕していましたよ。超級モンスターがあんな風に倒されるの、初めて見ました」
「まあ、確かに。ローランは歴代の『聖騎士』の中でも飛びぬけて強いと思います。……その分、頭がお馬鹿な事になってしまいましたが。……話を戻しましょう。モンスターの活動が縮小すると、今度は冒険者の方に変化が起き始めました。それは冒険者の定住化です」
それまでの冒険者は、地上に這い出たモンスターから人々を守る為に、彼方此方旅をして回る渡り鳥のような面を持っていた。一カ所に定住することなく、街から街へと渡り歩き、モンスターの活動が活発な地域を攻略していた。
それが迷宮からモンスターが這い出て来なくなると、迷宮の近場の村や街に定住し、迷宮に潜り魔石やモンスターから回収できる素材、更には迷宮から算出される薬草や鉱石を持ち帰って糧とするようになった。
そうなると問題なのは、迷宮が近くに存在しておらず、流れてやって来たモンスターがコロニーを形成し繁殖し、軍が動くほどの状況に陥っていない辺境の村々だった。冒険者を雇うほどの資金を持っておらず、かといってモンスターの被害を甘んじて受け入れれば村が壊滅するという状況。縋れたのは法王庁しかなかった。
法王庁はすぐさま対策を講じた。神官の中から選抜し、村に定住しつつ、村人を守れるだけの実力があり、なおかつ村の青年たちを教導できるような人材を神官として送り込んだのだ。これが武装神官の始まりだった。
「以上が法王庁という組織の概要ですわ。何か、質問やあるいは教義に関する論争がお望みなら、是非一席場所を設けます。私たちの天幕で、朝まで、じっくりと」
「それぐらいにして頂戴! うちの主様を口説かないでちょうだいよ、この色呆け『聖女』! 大体、『聖女』の癖に破廉恥でしょ、アンタ!!」
薄い茶色の瞳を濡らし、豊満な体をくねらせ、しなを作るミストラルに対してシアラが顔を真っ赤にして激怒した。横ではリザが淫靡な空気に当てられ耳を赤くしつつも肯定していた。
「ちょっとは神官らしく、慎ましい所を見せないさいよ!」
「あら、あらあら。それは偏見という物よ。それに、この身は神に捧げたのです。つまり、神に捧げた以上純潔を保っていれば、私がする行為は淫らな振る舞いとはなりません」
「なんていう酷い屁理屈! それでも神官なの!?」
「ええ、これでも神官ですわ。ただ、幼い頃からちょっと耳年間な友人に吹きこまれ、ちょっとその類の書物に傾倒し、ちょっと男女の交わりを盗み見し、ちょっと妄想を拗らせてしまった、ごく普通な『聖女』ですわ」
「どこが普通よ、主様、この女、ど変態よ! ただの変態じゃない、どが付く変態よ!」
シアラの鋭い罵声に、ミストラルは陶磁のような滑らかな肌を朱くさせ、くぐもった嬌声を上げ体を震わした。
「ん……やりますね、シアラさん。容赦ない、真っ直ぐな言葉攻めとは。やはり、魔人種の責めは噂に違いません」
「魔人種に誇りとか感じてないけど、変態の代名詞みたいに使わないでくれる!!」
その後も、シアラの一方的な罵倒に、ミストラルは体を震わしていた。レイは眠ったエトネを抱きかかえ、リザとレティと共にその場を後にしたのだった。
読んでくださって、ありがとうございます。
次回から、『招かれた者』の閑話となります。




