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S10_6_7私が生きた爪痕を残させて下さい。

あちら側の世界にはカタカナ言葉がないため、

できるだけわかりやすく、ルビを打っておきました。

平行世界報告書

餐啓10年6月7日     報告者:お隣りの名無しさん


報告内容:私が生きた爪痕を残させて下さい


異なる世界の住人の皆様、こんにちは。

弐界(にかい)からお送り致します。其方の世界の此の土地は確か...日本というのでしたっけ?

やはり壱界(いちかい)の情報は此方には余り伝わりませんので、記憶での記述となってしまいます-_-;

おっと、話が脱線してしまいましたね、今回報告させていただきます内容ですが、


壱弐境界(いちにきょうかい)乱雑生成(らんざつせいせい)現象(げんしょう)


について報告させていただきます。


早速ですが、本題に移りましょう。

壱弐境界というものをご存じでしょうか?

壱弐境界とは、

要するに壱界(其方側の世界)と弐界(此方側の世界)の境界の一般的な名称(呼称)です。

細かく分けると、もう少し複雑な言い回しになります。

まず分かり易いよう、順番に説明させていただきます。


まず、其方側の境界域の始まりは『イ域』と呼ばれています。

基本的に『イ域』は、人里離れた集落や山間の農村などに多く生成されていると言えます。

私たちヒトに害は特にありません。(まぁ、其方側基準での話ですが...)

『イ域』は、主にあまり、ヒトに手の付けられていない場所に出現するそうです。


次に『ロろいき』です。この境界域は少し危険な点もあるのですが、順を追って説明します。

『ロ域』の特徴としては、先ほどの『イ域』から少し進んだ、

山の中の獣道や登山道などに出現するという点です。

先ほど危険な点もあると報告させていただいた通り、この境界域まで来た場合、本当に稀ですが、

強制的に境界中心部(境界点)に引き摺り込まれ、帰れなくなる事象が確認されております。

私達の世界、つまり弐界では、この事象を『引界(いんかい)』と呼ばれているのですが...

確か其方側の世界では何と言ったか...

あっそうでした。確かこの現象のことは『神隠し』と呼んでいるんでしたよね。

まぁこの『引界』自体は不規則な境界点の膨張と収縮の繰り返しによるもので、

原理は解明されています。

壱界ではおそらく発表はされていないと思われますが、簡単に説明すると、

境界点には膨張期と収縮期が存在しており、収縮期の開始直後になると、

境界域が一時的に境界点へと吸い込まれ、一部の境界域は完全に消滅します。

(時間が経てば復活します)

要するにその収縮による吸引でヒトやモノノケの類を境界点に集めてしまうのです。


ちなみに『イ域』では、境界点からの距離が遠すぎて吸引されないので安心してください^^


壱界最後の境界域は『ハ域』になります。

『ハ域』は、基本的にヒトが立ち入らない

山奥の住宅などが一切ないような場所に生成されることが多いです。

また、例外的に、かつてヒトの生活があった場所、

例えば廃村・廃屋等の人工物にも生成されることがあります。

『ハ域』は、危険区域とされ、あまり近寄るのはお勧めしません。

(壱界の人達はフツーに近づいてますよね...本当に尊敬します...)

特に廃屋に関しては厄介で、常に膨張と収縮を繰り返しており、

その波数は極めていびつで大変危険です。

この境界域に『引界』してしまった場合、ほぼほぼ戻るのは不可能でしょう。

先ほども説明させていただいた通り、

極めて此の境界域自体が不安定なため、吸引されてしまうとその存在は抹消され、

膨張と収縮を繰り返す境界域と境界域の間に

飲み込まれた結果、グシャグシャに摺り潰され、跡形もなくなってしまうと言われています。


長くなりましたが、ここまでが壱界の境界域となります。


続いて、境界点についても報告させていただきます。

境界点は、境界中心部分の一般的な呼称であり、専門的な境界學の書物には

基本的に『境世央部(又は境世点部)』と書かれています。

先ほどの『ロ域』、『ハ域』でも説明しましたが、

膨張期、収縮期があり、現段階では未だ研究途中ですが、

かつて不規則な周期によるものだと思われていましたが、

現在ではある一定の周期があるのではないかと、

弐界の帝憲大學区_境界學部の研究者は発表しています。

(帝憲大學区は壱界で言うところの...えぇっと...確か東京大学?的な立ち位置だと

思って頂いて構いません。)

さらにこの収縮による吸引により、流れ着いた、壱界・弐界の建造物群が積み重なり、

内部には複雑で乱雑的な街が生成されているとも発表されています。


続いて、弐界側の境界域について説明させていただきます。

弐界側一番端は『ヒ域』と呼ばれています。

基本的には壱界の『イ域』と同様に山中の集落等に生成されます。が、

一つ違うのは、弐界側のが境界点波数が不安定なことが多く、

『ヒ域』でも『引界』の事象は確認されているので、注意が必要です。


次に『フ域』です。『フ域』も『ロ域』と同様に、獣道などの場所に生成されることが多いです。

『フ域』の特徴としては、その境界域に短時間の滞在は大丈夫なのですが、

長時間(参時間以上)の滞在は大変危険です。

三時間経過すると同時に、滞在者は9割9分2厘の確率で幻覚・幻聴の症状を引き起こし、

惑わされた、滞在者は自分から存在の抹消へと駆け出します。




最後に『ミ域』ですが、


大変危険です。()()()()()()()()()()()()


『ミ域』は、足を踏み入れた瞬間にそのモノのカラダを断裂させ、粉々に粉砕します。

これは、先ほど報告した通り、弐界側の境界点波数の不安定さが原因となっています。


境界点波数という指標はそもそも、”境界点波数針計器”と呼ばれる、

弐界の仔宮コミヤ サイという研究者が開發した計器が記録する

瞬間的な指標で、開発者の名前から一般的には”仔宮針計器(コミヤ振針計測器)”と呼ばれています。

弐界側の不安定な波数にも対応できるよう、座標記録保存器を内蔵しており、

常に計器の座標を記録することで、収縮期による吸引時でも

自らの計測地点を保存した座標と照合し、常に同一地点で計測を行うことができます。


しかし、この『ミ域』では、波数の振幅が大きすぎるため、このコミヤ式が使えず、

大型のコミヤ式弐千號(にせんごう)(通常のコミヤ式の伍倍の大きさ)を

使用していますが、それでも吸引による消滅が後を絶ちません。


ですが安心してください。『ミ域』は現在、弐界で観測されているものはたったの一つのみであり、

その観測に使う計器を新たに開発中との情報もあります。





以上、長くなりましたが、境界域、境界点の報告となります。

私がこの報告書を作成しているのには訳がありまして...


実は最近ですが、私の友人がミ域に引界しました。

私自身、大変心を悼めましたが、引界した以上安否確認はできず、

実質的に弐界では死亡として扱われます。理不尽ですが、こうなった以上仕方がありませんので、

弔いの会の準備をしている途中、その友人から壱通の送信が確認できました。

内容は意味不明な文字の羅列とともに、一つの動画と画像が送信されていました。

私は彼の電子記憶保存装置(メモリーカード)暗号(パスワード)が奪われたのだろうと思ったのですが、

その動画・画像を見た瞬間にその考えは消えました。


私は恐れながらも好奇心に負け、動画を再生しました。

そこにはおそらく『フ域』にて道に迷い、参時間以上経過しているであろう友人の姿が映っていました。

映っていたといっても、首から提げる映像保存写機(ビデオカメラ)のようなもので撮られている、一人称視点の動画です。

そこには、幻覚・幻聴に苦しみ意味不明な言動・行動に及ぶ友人の姿が映り、とても見続けられるような内容ではありませんでしたが、

動画の再生時間的にはまだ続いていました。

その後急に雑音が酷くなり、画面も砂嵐に近くなったところで、画面には血飛沫が上がるとともに、

おそらく友人の断末魔が響きました。私は言葉を失いましたが、よく目を凝らすと、ミ域の奥に社殿のようなものがあることが分かりました。

その社殿について、現在の境界學の學門書を読み漁りましたが、そのような記載は一切なく、そのような記録がされた記事もありませんでした。


衝撃的な内容の動画を閉じ、画像に目を移しましたが、その画像も極めて不可解な画像でした。

映っているのは、友人の姿と何層にも折りたたまれた巨大で歪な楼閣といった雰囲気でしょうか。

私は、一瞬でそれが収縮によって吸引された、太古から現代に至るまでの建造物群なのだと直感的にわかりました。




この動画・画像は弐界政府・壱界政府にはまだ公表をしていません。

この動画・画像の存在を私は命に代えても守り抜くつもりですが、

この報告書を通じて発覚するのも時間の問題でしょう。


この報告書を読む画面の前のあなたへ。

世界はとても大きく、広い。ただ、

未だ判明していない事実も多く隠している。

境界域という存在、平行世界という存在、

その認知をしている人は全世界のごく少数でしょう。

おそらく私は知りすぎた可能性があり、今後間違いなく消息を絶ちますが、

この報告書によって、未知の事実に興味をもち、探求する、

セカイにギモンをイダク人材が現れることを願って、

報告を終了し

1:本当にあった怖い受信者 26/06/07 20:24:34

ID:RIRIRI


境界点でオフ会するで

とりまフ域集合で

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