S10_6_5 人狼遊戯
2026年6月5日に受信した報告書です。
平行世界報告書
餐啓10年6月5日 報告者:名無しの時空領犯者
報告内容:特殊異変_永久人狼遊戯
どこのだれかはわかりませんが、これを読んでいるでしょう。
本日は餐啓10年4月頃から観測され始め、現在なおその影響を与え続けている、
『永久人狼遊戯』現象
について報告させていただきます。
一見これは普遍的な遊戯に感じる方もいるでしょう。
しかし、この現象はそれ以上に恐ろしく、また、私自身と周囲の人の
心理的安全性を脅かし続ける、言わば悪魔の遊戯と言っても過言ではないと言えます。
前置きは此のくらいにして、早速本題に入らせていただきます。
この人狼遊戯、其方の世界では主に人狼ゲームと呼ばれているもので
簡単に言うと、人狼ゲームと人狼遊戯は全く同一の遊戯と言えます。
この辺りは、此方側の世界にあまり外国語という概念が存在しないため、
こういった呼称になっているのでしょう。
人狼遊戯は本来、人狼側・市民側に分かれて心理的な攻防戦を繰り広げる、対話型遊戯と
知られているはずです。此れは此方の世界、其方の世界でも同一の基本的な取決でしょう。
そして、最初に市民側に数人、人狼側に数人、
そして複雑化する場合は、占師、狂人等の新たな役割も追加して
遊戯をするものと伺っております。
市民側は占師などの助言をもとに、人狼を炙り出し、投票によって処刑する。
人狼は見つからずに市民を喰い殺せば勝利です。
ここで今後の報告内容を説明する上で要点となる、『狂人』という役について説明させていただきます。
狂人とは、主に人で在りながら、人狼に仕える従者のような役で、遊戯中は最初、市民側として始まり、
市民として過ごす中で人狼の仕事を補います。こちらも人狼と関わっているのが見つかった場合、
市民によって処刑されます。
つまり、市民を騙し、人狼に媚びを売り、人を殺す狂ったヒトを演じるのです。
ここまで長々と語らせていただきました。
ここまでの内容から何が言いたいのかという事についてですが、
この『永久人狼遊戯』、通常の人狼遊戯と異なる点が存在しているのです。
詳しく言うと、取決自体も若干ですが、変更されている点が存在しています。
先ほど市民側と人狼側に分かれると報告しましたが、
此の遊戯に最初、市民は存在しません。最初に分かれる役割は『狂人』、『人狼』のみ、
いやここは私の見解ですが、最初期は『狂人』のみの役振りしかないのではと考えます。
簡単に此の事象の大まかな流れについても説明させていただきます。
先ほども報告したとおり、『狂人』のみの誕生から村は始まります。
ある年、村の中に出所不明の病が流行します。
これに感染した狂人がのちに人狼と呼ばれるようになリます。
感染者には、ある特徴が見られます。それは、『人間不信・被害妄想』といった症状になります。
一見、感染者は周囲の人々と変わらない、何の変哲もないように見えますが、
実際その心身の状態は非常に不安定であり、噂などによってその物体・人物に対する偏見的な考え方を持つようになり、
次第にその歪はとても大きなものへと変貌します。
その後次第に感染した狂人はヒトを殺し、喰うようになりました。
感染者はその人物に対する嫌悪感により存在自体を抹消したいと
考えていることが後の研究でわかりました。
(榊仇の宮研究所報告プログラム_サンガイ41ネン【古来人狼遊戯史実解明研究の概】参照)
その時の突発的な感情により人を殺し、己で喰らうことにより、自分自身で嫌悪の対象となるモノを抹消したという達成感を得ると言われています。
つまり、一般的な人狼遊戯において、人狼が一人だった場合、毎晩の犠牲者が一人で済んでいる原因としてこの達成感により、病の症状が治まる為だと考えられています。
次第に人々は村での立て続けの殺人・遺体損壊事件に頭を悩ませました。
そこで、独自の観点からその人物が感染者か否かを判断するようになりました。
そして、感染者はある特定の人物に嫌悪感を抱きやがて喰い殺す、
その手伝いを非感染者で行うようになりました。
これが現代人狼遊戯の狂人の始まりです。
村の長は、村民の中から感染者の補助をする『狂人』を数人選び、殺人を助長させていました。
この狂人という役割ですが、今考えても、当時としても、とても滑稽なものでした。
狂人に抜擢されると、まず感染者に誰に対する嫌悪感を抱いているのかという点を
会話の中から見つけ出す必要があり、
ここで誤った人物を見出した場合、のちにその狂人も殺されることが多かったようです。
狂人が行った補助として文献に多く残るのは、
武器の提供、食料の確保などの直接的なものでなく間接的な補助が多くあったという点です。
これはつまり、感染者自身の達成感を感じさせるためであり、
もし仮に狂人が誤って対象となる人物を殺害した場合、その狂人もろとも喰われるようです。
此処から考えられることは狂人という役割の本来の姿は、感染者の世話、
いや、其方の世界の言葉を使用するのであれば、メンタルケアとも言えるものだったのでしょう。
報告したいことがまだまだありますが、順を追って説明いたします。
時代は進み、狂人制度も習慣化し、殺人という行為が罷り通る村になりました。
通常の殺人では死体が残るため、事件として発覚しやすいものですが、
この事象は感染者が死体を喰らうところまでが一連の流れであるため、
当時の役藩所(其方の世界の表現では役所、警察署に近い)には話は拡がることはあったとしても、
物的証拠が見つからないことがほとんどでした。
その村ではすでに非感染者全員が狂人として補助をしていました。此処である疑問が浮かぶでしょう。
全員が狂人の場合、感染者は誰に嫌悪感を抱き、そして、狂人はなにを補助するのか?という事です。
答えは単純かつ残酷ですが、人狼は自分に仕えていた(狂人イ)に自然と嫌悪感を抱くようになり、
抹消しようとします。
その補助には新たに振り分けられた(狂人ロ)が任命され、狂人が狂人を殺す、
なんとも滑稽で残酷な方法へと次第に変化していきました。
感染者からの一方的な嫌悪感により、殺される対象になった狂人共は、
ここで初めて自分自身を市民として呼称し始めました。
その後、市民は次第に増えていき、感染者・狂人に抗い、戦うようになりました。
市民の中には新たに占師を名乗るものが現れるなど、元の村とは別の場所で暮らすようになり、
独自の文化で村を繁栄させましたが、
そんな平和な世界がいつまでも続くわけがありません。
元々、殺される対象であった身であるため、ある日、村に感染者と狂人が紛れ込みました。
紛れ込んでからは、毎晩投票によって、生贄を一人選び、葬ることにより、
もしかすると生贄に選ばれたヒトは感染者かもしれないという、
信憑性の欠片もない方法で選別を始めました。
長々と語りましたが、つまりこれが現代人狼遊戯の根本であり、
仮に選別により、感染者を排除したとしても
引き続き元々の村からまた感染者が紛れ込み、
殺戮が始まるという恐怖に怯えながら生活をするという事になります。
要するにこれが『永久人狼遊戯』の概要であり、
現代人狼遊戯とは本来の一連の流れのほんの一部を簡略化し、遊戯化したものであると言えます。
最後になぜ今此の『永久人狼遊戯』についての報告書を纏めたのかという事についてですが、
私自身、調べたところ先祖の生まれがこの村だそうです。
私の先祖は遥か昔に狂人として実際に殺害の補助を行っていました。
そして、実際に殺害対象に選ばれた、
私の先祖は村から逃げるようにこの場所に隠れ棲むことになったそうです。
最近家の周囲では物騒な事件が後を絶ちません。
なんでも、連続殺人鬼が人を殺して喰っているそうです。
怖いです。恐ろしいです。切ないです。
今家に誰もいないのに物音がします。まずいでs
にげれにあい
たすけてくださいてすけr
さいごにわつぃのけんかいですg
このじけんはいまだしゅうそぅぢておないとかんがえられまs
たすヶてくだs
人狼ゲームってこんなイメージなのでしょうか...?
ただ、この報告書、気になる点は、外国語の有無です。
おそらくこの世界にはカタカナ言葉は存在していないのでしょう。
それにしても、筆者は書いてる途中で投げ出してしまうなんて...ね
どこに行ってしまったのでしょうか??




